まだ頭が痛いが、研究室に顔を出した。沢田助教授と打ち合わせした後、インターネットで文献の検索をする。二日酔いと仁美に振られたショックで集中力がなく、目的とする文献がなかなか見つからない。
気分転換にいつものチャットルームを覗いてみた。馴染みの相手JJが出てきて、30分ほどチャットしたが、仁美から声はかからなかった。
(当然だよな)
またまたガックリ来て、その日は仕事にならなかった。
夕方、バイト先のコンビニに出かけて行ったが、ほとんどぼんやりしていて店長にどやされた。
バイトが済んで、アパートに帰ると小さな小包が郵便受けに挟まっていた。
「なんだろう?」
小包を手にして部屋に入りながらひっくり返してみた。差出人の名前がなかった。上着を脱いで床にあぐらをかいて座って小包を開いてみた。中から錠剤が入った小さな瓶が出てきた。腎換丹という聞いたこともないラベルが貼ってある。発売元は中国らしい。知らない漢字がいくつか書かれていた。
封筒に日本語の説明書きが入っている。
『素晴らしい人生をあなたに送る魔法の薬です。1回1錠を服用ください』
ただ、その一言だけが書かれてあった。
(こんなもの注文した覚えはないのに)
瓶を放り出して、布団に入った。目を閉じても仁美の顔が浮かぶ。
(2度しか会っていないのに、しかも振られてしまったのに、どうしてだろう。ぼくは仁美に一目惚れしていたのだろうか?)
眠れなかった。