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 『・・・・と言うわけで、レッドイーグルの橋爪恭介と言う男のは実在せず、榊三郎が警察や他の組織から自分を守るための架空の人物でした。その愛人である女性から保護の要請があり、下諏訪へ警視庁のメンバーを派遣したわけでありますが、榊の手に掛かってこのような事になってしまったわけです。しかし、榊三郎を追いつめることができたのです。残念ながら、保護を求めた女性を道連れに自殺を図り、逮捕することはできませんでしたが、レッドイーグルの詳細を記録したMOを手に入れることができました。このMOによって、レッドイーグルが壊滅されるのは時間の問題と思われます。・・・・』

 「小沢さん、テレビ写りがいいじゃないですか」
 「そうかな?」
 小沢、佐野、そしてマサヨはあるホテルの一室にいた。
 「手柄を独り占めね」
 「まあ、そう言うな。君に杉田正美の脳が移植されたなんて言えないし、停職中の佐野を使ったなどと言えば、大問題になる。しかも犯罪者とは言え、かなりの男たちを殺しているんだからな」
 「それもそうですね」
 「佐野! 仕事には復帰してくれるんだろうな」
 「そのつもりですが・・・・」
 「わたしはだめですよね」
 マサヨが横から口を挟んだ。
 「残念だが・・・・」
 「ジャイアンとコンビを組みたいのになあ」
 「その姿じゃ、無理だ。諦めてくれ」
 「もう一度警視庁に入り直すって言うのはだめですか?」
 マサヨのそんな問いに、小沢はハッと気がついたようにマサヨの顔を見て言った。
 「それならできないこともないな。やってみよう」
 「やった。是非お願いします」
 「ところで、君たちふたりはどうするんだ?」
 小沢がふたりを交互に見ながら言った。
 「どうするって言いますと?」
 「互いに信頼し合った男と女がいるんだ。この先どうするか、聞いておきたい」
 佐野とマサヨは顔を見合わせる。
 「この先どうするかって、仕事のことじゃなくて、プライベートのことですか?」
 「あたりまえだ。君たち、愛し合ってんだろう?」
 小沢のそんな言葉に、ふたりは言葉がでない。
 「今は、男と女だ。何も問題はない」
 「・・・・知ってたんですか?」
 「知ってたさ」
 「もしかして、知っててわたしの脳をこの体に移植したの?」
 マサヨの問いに、小沢は肩をすくめる。
 「そんなことはどうでもいいだろう。で、どうする?」
 マサヨは佐野の顔を見る。
 「許されるのなら、是非結婚したいと思っています」
 「許すも許さないもないだろう。何が問題なんだ?」
 「だって、この雅代は橋爪の女だったんですよ。それが警視庁の刑事と結婚だなんて」
 「誰もそのことを知らないじゃないか」
 「あっ、そうですね」
 「結婚するときは、俺を仲人にしてくれよ」
 「もちろんです」

 マサヨは、小沢の計らいで警視庁に入り、女性刑事として再び佐野とコンビを組むことになった。レッドイーグルは消滅したが、覚醒剤はなくならない。人間の弱さに入り込む覚醒剤との戦いは、未来永劫に続きそうだ。マサヨは、佐野と連れだって新宿の街を歩きながら、そう思う。

 1年後、マサヨはウエディングドレスを着て、佐野の隣に立ち、神父の言葉を聞いていた。
 「汝、佐野豊は、大石雅代を妻とし、健やかなるときも病めるときも、富めるときも貧しきときも、死が二人を分かつまで、愛し合うと誓いますか?」
 「はい」
 「汝、大石雅代は、佐野豊を夫とし、健やかなるときも病めるときも、富めるときも貧しきときも、死が二人を分かつまで、愛し合うと誓いますか?」
 「はい」
 「それでは指輪の交換を」
 マサヨは佐野を見つめる。佐野もマサヨを見つめる。互いの薬指に結婚指輪が光った。
 「新郎、花嫁にキスを」
 マサヨは佐野にキスされて体が痺れた。
 夜のことを思った。マサヨは、佐野とはまだ寝ていない。乗鞍の別荘以来、素肌すら佐野の前には晒していなかった。
 マサヨの体は男を知っている。しかし、マサヨは処女のようなものだ。
 「どんな感じがするんだろうか?」
 マサヨは期待と不安が入り交じったような気持ちで、佐野の長いキスに応えていた。
 「おふたりさん、ちょっと長すぎやしないか!」
 同僚たちが冷やかす。佐野は頭を掻き、マサヨは顔を赤らめた。
 「雅代。永遠に一緒だ」
 「ジャイアン。愛してるわ」

 マサヨは白い鳩が飛んでいく大空を見ながら心の中で叫んだ。
 「雅代さん、あなたはもう孤独じゃない。わたしと佐野がいつも一緒よ」