第13章 ロストバージンだぜ

 俺の男性器と島本香の女性器を入れ替えるという手術を受けて3ヶ月がたった。勃たなかった彼女のペニスが勃つ日がついにやってきた。
 その朝、目覚まし時計が鳴る前に俺は彼女に叩き起こされた。
 「香! 起きろ!!」
 「どうしたの?」
 眠い目を擦りながら、彼女を見た。彼女の顔が泣き出しそうに歪んでいた。
 「いったいどうしたのよ?」
 「勃ってるんだ。ほら!」
 彼女はトランクスを下げて俺に見せた。彼女のペニスが臍に付きそうなくらい勃起していた。
 「すごい。朝立ちしたのね」
 彼女が時計を見た。
 「時間があるね。やってみようか?」
 「時間はあるんだけど・・・・」
 「なんだ? どうしたんだ?」
 「始まっちゃったの」
 「えっ! 始まったって、・・・・生理がか?」
 「ええ」
 退院してからずっと基礎体温をつけていた。先月からきちんとした2相性を示していたから、そろそろ生理になるかもしれないよと医者に言われていた。
 2週間前、高温相になっていたから、そろそろ生理が始まると思って一昨日から用心のために生理用のナプキンをあてていた。俺には予兆というものがわからなかったからだ。
 昨日の夜、ベッドに入る直前、わずかにピンク色の下り物があり、始まったことを自覚していた。ただ、彼女が飲み会で遅く帰ってきてそのまま眠ってしまったから、まだ知らせていなかったのだ。
 「そうか。始まったのか。・・・・と言うことは、子供を産めるな」
 そう言われて、俺は子供を産める身体になったのだと改めて気がついた。
 「そのためにはあなたとセックスしなければならないわ」
 「もう、できるね」
 「ええ。でも、今日はダメよ。生理中はセックスしたくない。それはあなたもわかってくれるでしょう?」
 「・・・・わかったよ。でも、これはどうしたらいいんだ?」
 勃起したままのペニスを俺に差し出した。
 「これはね。膀胱におしっこが溜まって勃起する神経を刺激しているだけよ。おしっこしてくれば、萎えてしまうわ」
 「そうなのか。じゃあ、トイレに行って来る」
 彼女はトイレに駆け込んでいった。すぐにトイレから叫び声が聞こえた。
 「香! どうしたらいいんだ? 出ないよ」
 勃起したままでは小便は出ない。彼女はそのことを知らないのだ。
 「深呼吸して、気を落ち着けて」
 しばらくして再び彼女が叫んだ。
 「だめだよ。このままじゃあ、便器の中にやれないよ。ああん、出そうで出ない。何とかしてくれ」
 「便器に座ってやったらいいわ。先を押さえてしたら、外には撒き散らさないから」
 「わかった」
 トイレから音がし始めた。どうやらうまく小便ができたようだ。キッチンにたっていると、ホッとした表情で彼女がリビングに戻ってきた。
 「いやあ、参った、参った」
 俺は彼女に向かってフフと笑いを浮かべた。
 「どうだった? 勃起した印象は?」
 「そうだな。別の生き物がここにいるって感じかな?」
 「そんなふうに感じたことなかったけど、へえ、そんなふうに感じたの」
 俺としては彼女の印象がよく理解できない。それは元々男だったものと、女から男になったものとの違いだろう。
 勃起したと言うことで、彼女はそれまで以上に明るくなった。

 「なあ、コンドームすればいいだろう?」
 夜になって彼女が俺に迫ってきた。
 「あなたの言うことは何でも聞くけど、これだけは譲れない。絶対にイヤ!」
 昔、ナンパした女で、生理中の方がいいと言っていた女がいた。けれど、俺は絶対そんな気分にならない。これまで彼女の言うことならなんでも聞いてきたけれど、これだけはいやだった。断固拒否の姿勢を貫くことにした。
 「せっかく勃起したのに」
 恨めしそうに彼女は天を向いたペニスを見つめている。
 「代わりに、フェラして、出してあげるわ」
 「ホント?」
 「もちろん」
 俺は少し萎えて半立ちになっていたペニスにしゃぶりついた。すると、すぐに固く勃起してきた。俺は舌を使って舐め回した。
 「ああ、なに? この感触・・・・」
 彼女が腰を動かす。硬度がさらに増してきた。堅くてしかも柔らかさのあるこの素晴らしいものが俺は好きだ。俺は懸命に舐め続けた。
 「あ、いい。香、何だか行きそうな感じだよ」
 「行って! わたしの口の中に全部出してちょうだい」
 吉田にフェラチオをしてやったことはある。けれど、ザーメンを飲み込んだことはなかった。俺は俺のものだったペニスから放出されるザーメンと飲み込もうとしていた。そう思うと俺の気持ちは高まっていた。経血と共に愛液が溢れているのを感じていた。
 「ああ、行きそうなのに行けない。香! 何とかして!!」
 ばちばちに緊満しているのだけれど、直前で留まっているようだ。口にくわえたまま、ペニスシャフトを指でしごいてやった。
 「あ、いい。行く。行くよ」
 彼女が身体を痙攀させた。粘っこい液体が俺の口の中にドクドクと注ぎ込まれてきた。少し咽せながらもそれを一滴たりと零すことなく飲み込んだ。彼女はハアと力を抜いた。
 「どうだった?」
 「気持ちよかったよ。こんな気分になったのは初めてだよ。男になってよかった」
 「よかったね」
 女の方がいいと聞いているけどと俺は思っていた。少なくとも俺は、フェラチオで行かされたときよりも、アナルファックで行かされたときの方がいいと感じていた。
 (だから、女の方がいいはずなのだが・・・・。そうか、彼女は女として男とセックスしたことがないのだ)
 俺とは二度やったことがあるだろう。しかし、初めの時は酔っていたし、二度目はレイプだったわけだから感じなかったのだ。
 (女の方がいいよと言ったところで、もう元には戻せないし、彼女はレズだから男に抱かれるなんてことは考えもしないだろう。これでいいんだ)
 満足して眠り込んだ彼女の胸に頬を埋めて眠った。

 生理が終わるまでの間、毎日フェラチオをして射精させてやった。それが妻の役割だと思ったし、そうするのが好きだったからだ。
 生理が始まって6日目、俺の初めての生理が終わった。普通のショーツを穿くとホッとした。逆流しなくてサラサラだというものを使ってみても、あの気持ち悪さは経験したものでなければわからないものだった。
 帰宅した彼女に、終わったよと囁くと、満面の笑顔を俺に向けてきた。股間が盛り上がっているのがはっきりと確認できた。

 夕食の片づけ、入浴を終えてリビングに行くと、彼女がテレビを消して立ち上がった。差し出されてきた手を取って俺はにっこりと微笑む。
 「紐は?」
 「女になる日に縛られたいのか?」
 「えっ?」
 「おまえの腟が俺のものだったとき、おまえに二度犯されたけど、おまえのものになってからは初めてだろう? つまり、おまえは処女だってことさ。おまえは処女を失って女になるわけだよ」
 「あ、そう。そうなのね」
 「だから、縛りはなしだ。今日はノーマルなセックスをしよう」
 「わかったわ」
 彼女が俺を抱きしめる。胸に筋肉が付いてずいぶん厚くなったなと思う。そこに乳房があった痕跡はまったくない。唇が重ねられ舌が差し入れられてきた。柔らかく温かいその舌を俺は懸命に吸った。彼女の右手がベビードールの上から俺の左の胸を揉み始める。左手が俺の尻を撫でる。
 (ああ、いいなあ)
 抱き上げられベッドに運ばれて、ベビードールを脱がされた。その間にも彼女の舌が俺の身体をはい回る。全身の皮膚という皮膚が彼女の舌によって舐め尽くされていった。
 ショーツがおろされ、俺は全裸にされる。アヌスが舐められた。俺は腰を浮かせる。そのまま今度は俺の女に舌が移動してくる。
 「香。すごくいやらしいよ」
 「馬鹿! 元々あなたのものよ」
 「そうだったな。けど、こんなに濡れたことはないぞ」
 「あなたが上手だから」
 女だったしレズだったわけだから、女の敏感なところがわかる。吉田のクンニもうまかったけれど、彼女の方が数段うまい。
 クリトリスを舌先で激しく舐められたとき、俺は行ったような気がした。イヤ、行ったのだと思う。一瞬、自分が何をしているのかわからなくなっていた。気がついたとき、彼女はまだクンニを続けていた。
 彼女が這い上がってきた。彼女の固く屹立したペニスが俺の股の間を上ってきた。俺は身体を入れ替えて、その雄々しいものにしゃぶりついた。既に先走り汁が出ていた。
 (わたしのもの。わたしの中に入ることになるなんて、思ってもみなかったわ)
 俺の唾液でペニスも陰嚢もびしょびしょになるほど舐めあげてから、俺は這い上がった。
 「おい、おい。まさか騎上位でしようなんて言うんじゃないだろうな?」
 「悪い?」
 「初めてするんだから、やっぱ、正常位だろう?」
 「拘るのね。いいわ。正常位で行きましょう」
 再び彼女と俺は体位を入れ替え、俺は仰向けになって膝を立てた。彼女が膝の間に入ってくる。
 「あれ? あれ?」
 彼女が戸惑いの表情を浮かべる。
 「どうしたの?」
 「どこ?」
 「どこって、わかるでしょう?」
 「ちょっと待って。あれ?」
 焦りが見えてきた。
 「ペニスバンドを使ったときのことを思い出してよ」
 「なんだか違うんだよ」
 「違う! そこは!! もっと前よ」
 「・・・・ここか?」
 ヌルリとした感触がした。先端の太い部分が入った。アヌスで受け入れるのとまったく違った感触がする。
 「そこよ。ああ・・・・」
 かつて存在しなかった場所に、かつて俺のものだったものが入ってきた。何とも奇妙な気分だ。
 「ああ、すごく柔らかいんだね。香はどんな感じ?」
 「何とも説明できない変な感じよ」
 「何とも説明できない変な感じ?」
 「そう。説明のしようがないわ」
 「そうなんだ。・・・・あっ、絞まった」
 何が絞まったんだろうと俺は思っていた。
 「あ、また絞まったよ」
 「何が?」
 「何がって、おまえの腟がだよ。わからないのか?」
 俺は首を横に振った。
 「ほら、また今も絞まったよ」
 自分で締めたという感触はない。ただ、骨盤の奥にモワッと沸き上がる奇妙な感じが脊髄から脳天まで達してきているのは確かだった。
 彼女は、俺の奥まで押し込んだままジッとしていて、俺の腟が収縮を繰り返しているのを楽しんでいるようだ。
 「こんな感覚初めてだよ。男になってよかったよ」
 女の絶頂を知らないくせに比べるなよと言ってやりたかったけれど、俺は黙っていた。俺が女としての絶頂を迎えられれば、男と女のどちらがいいか自ずと結論は出るのだ。
 彼女が腰を動かし始めた。奇妙な感じが快感へと変貌を遂げてきた。
 「ああ、いい。はあ・・・・、はあ・・・・あ」
 彼女が俺の両腕を拘束するようにして抱きしめ、さらに腰を前後させた。上り始めたのがわかる。俺は頂点へ向かって一気に駆け上がっていった。
 「香、香。何か、よくわからないけど、行きそうな気がするよ」
 俺にも彼女の気持ちがわかる。フェラチオで行くときと、腟の中で行くのは違った感覚がするのだ。
 「まだよ。もう少し我慢して。一緒に行きましょう」
 「だ、だめだ。我慢できそうもない。だめだ!」
 彼女が俺の中で跳ねた。どんと突き上げられるような衝撃が俺を襲い、俺は一気に頂点へ達した。
 「は、はあん・・・・」
 腰が勝手に持ち上がってきて、身体が硬直したように動かない。そうして、今度は腰が前後に動く。俺の身体を俺はコントロールできない。
 「い、いいいっ・・・・」
 俺は目の前にあった彼女の唇に吸い付いていた。

 長い時間が過ぎ去ったような気がする。彼女が俺の中からずるりと抜け出ていった。
 「どうだった?」
 「よかった。ものすごく」
 俺は彼女の胸に頬を埋めた。
 「初めてなのにうまくできたよ」
 「あ、そうか。あなたも初めてなのよね」
 彼女も男になって初めて女とセックスしたわけだった。
 「上手だったわ。行っちゃったもの」
 「そうか。よかった。俺も満足だよ」
 彼女が俺にキスした。

 いつの間にか抱き合って眠っていた。
 (女になっちゃったわ)
 感慨深い夜だった。彼女は男になったことにすごく満足した様子だった。俺は、やっぱり女がいい。与えられる性が好きだ。

 翌日から毎晩のように俺たちはセックスした。いろいろの体位を試し、縛りも再開した。縛られて貫かれ行かされるのが一番だ。
 その縛りを彼女が躊躇する日がやってきた。俺が妊娠したのだ。初めてのセックスから3ヶ月になろうかという日に、そのことがわかった。
 彼女は天にも昇らんばかりの喜びようだった。勿論俺も嬉しくて飛び上がった。
 「そうだ。妊娠したことを報告しなきゃ」
 「そうだな。報告に行こう」
 誰に報告するか? 足は自然とある場所に向かっていた。