第6章 初体験

 夏休みになった。一年前は、サッカー部の練習や合宿で、休む暇もなかった。だけど、今年は何もすることがない。宿題を早々と済ませると、毎日釣りに行ったり、街に遊びに行ったりした。
 そんなある日のこと、街を歩いていると、後ろから声をかけられた。
 「ああ、坂口さん。誰かと思った」
 私服のワンピースを着た坂口さんは、とても高校1年生には見えなかった。
 「祐樹君、一人?」
 「は、はい」
 いつものように笑顔でぼくにそう言う坂口さんに、ぼくはどきどきしていた。
 「お茶でも飲まない?」
 「お茶ですか?」
 「そう。そこの喫茶店に入ろうよ」
 「父兄同伴でないと」
 そう。喫茶店には父兄同伴じゃないと入っちゃいけないと、校則に書いてある。
 「わたしが父兄代わりよ」
 「えっ!?」
 「こんな服来ていると、社会人に見えるでしょう?」
 「あ、そうですね」
 普通の高校生より大人びている坂口さん。社会人に見えないことはない。ぼくは、坂口さんについて喫茶店の中に入った。
 「なんにする? チョコレートパフェ?」
 「コ、コーヒーを」
 「コーヒーなんて、飲めるの?」
 「飲めるよ」
 「ホント? じゃあ・・・・。すみません。コーヒーふたつください」
 「かしこまりました」
 店員さんは、ぼくたちに関心を示さずに注文を受けると奥へと消えていった。
 「ホントにサッカー、辞めちゃったのね」
 「う、うん」
 「勿体ないわ」
 「でも、レギュラーになれなきゃ・・・・」
 「レギュラーになるだけがスポーツじゃないでしょう?」
 「でも・・・・」
 ぼくは項垂れる。
 「・・・・そうよね。やってる以上、レギュラーになりたいよね」
 「うん・・・・」
 運ばれてきたコーヒーは苦かった。ぼくは、時々上目遣いに坂口さんの様子を窺った。肩まで伸びた髪の毛は、艶があって綺麗だ。中学の時と違って、眉を整えていて、今日は外出のために化粧をしていた。大きな目が輝いていた。小さな唇が可愛い。
 あの唇でキスされたんだと思い出すと、ぼくは勃起していた。坂口さんに悟られないように、右手でコーヒーカップを持ちながら、左手は股間を押さえていた。
 「今から、何かするの?」
 「い、いえ、なにも?」
 「わたしとデートする?」
 「坂口さんとですか?」
 「坂口さんなんて他人行儀だわ。敦子って呼んでよ」
 「そ、そんなことできません」
 「いいじゃないの。わたしのファーストキスを奪ったんだから」
 「あ、あの・・・・。奪っただなんて・・・・」
 「ふふ。嘘よ。わたしの方から、キスしたんだもんね。・・・・祐樹君のこと、ホントに好きなのよ」
 「あ、え、・・・・・」
 「祐樹君って、ホントに可愛いわ。一緒にちょっと歩きましょう?」
 有無を言わせず、坂口さんは、勘定を終えるとぼくの腕を取った。

 街の中をしばらく歩いたあと、坂口さんはぼくをバスに乗せた。
 「どこ行くの? もう帰るの?」
 「ええ。帰りましょう」
 そう言われて、ちょっとガッカリした。もう少し一緒に歩いていたかったからだ。
 「そっちじゃなくて、こっちだよ」
 家に帰ろうとすると、坂口さんがぼくの手を引っ張った。
 「どこ行くの?」
 「わたしの家」
 「坂口さんの?」
 「そうよ」
 「どうして?」
 「いいから、ついてきて」
 バス停から、10分ほど歩くと、二階建ての家に着いた。表札に坂口と出ているから、坂口さんの家に間違いない。
 「ちょっと待ってね」
 そう言って、坂口さんはバッグの中から鍵を取りだした。
 「誰もいないんですか?」
 「お父さんは、単身赴任。お母さんは、お買い物なのよ」
 「そうですか」
 「さあ、入って」
 「お邪魔します」
 大人なら、男と女が二人きりになると言うことが、どう言うことなのかすぐに分かっただろう。だけど、この時のぼくは何にも知らなかった。言われるままに坂口さんの家に上がった。

 「ジュース入れるわ。そこに座ってって」
 リビングは、16畳のぼくの家よりは少し広いように感じた。外出していたから、庭に面したカーテンが引かれていた。
 「開けなくてもいいわ」
 カーテンを開けようとすると、坂口さんがぼくを制した。
 「でも暗いよ」
 「すぐに締めるからいいの」
 「そうですか」
 時計は午後3時。まだ締めるのには早いのはないかと思った。だけど、開けなくてもいいと言うから、ぼくは手を止めてソファーに戻った。
 「ハイ。これ、青森から送ってきた100パーセントのリンゴジュースよ」
 「へえ、100パーセントですか」
 ぼくは、ストローでジュースを飲んだ。さすがに美味しいジュースだった。
 「祐樹君、わたしのこと、好き?」
 坂口さんがぼくの横に座り直してそう聞いた。
 「あ、は、はい」
 「ホントに?」
 「・・・・はい」
 「じゃあ、キスして」
 「えっ!?」
 「早く」
 坂口さんは、目を閉じて顎をあげた。小さくて可愛い唇が、ぼくの目の前にあった。柔らかくて暖かそう。そう思っていたら、坂口さんが、うっすら目を開けて、ぼくを方に手を回して唇を合わせてきた。
 「坂口さん・・・・」
 「敦子って呼んで」
 「で、でも・・・・」
 坂口さんは、ぼくをソファーの上に押し倒すと、着ていたブラウスを脱ぎ始めた。
 「な、何をするんですか」
 「わたしのこと、嫌い?」
 「嫌いじゃないけど・・・・」
 「男と女がすること、知ってるでしょう?」
 知っている。何もかも。ちびだと苛められているから、ぼくは精一杯背伸びしていた。だから、セックスのことも子供がどこから産まれてくるかと言うことも知っていた。だけど・・・・。
 「知ってるのね。じゃあ、わたしを抱いて」
 「そ、そんなこといけないよ」
 「いいの。わたしは祐樹君のことが好き。祐樹君もわたしのことが好き。だからセックスするの。分かった?」
 坂口さんは、ブラウスに続いてブラジャーも取った。お姉ちゃんはデカパイだけど、坂口さんの乳房はやや小振りだ。だけど、お母さんとお姉ちゃん以外の女の人の乳房を初めて見た。ぼくは、もの凄く興奮していた。
 「吸って」
 「えっ!? どうするの?」
 「赤ちゃんみたいに乳首を吸うの。舌で舐めてもいいわ」
 どうしていいのか分からなかったけど、言われるままに乳首を吸い舌を這わせた。
 「あ、いいわ」
 どんな感じがするんだろうなと、ちょっと醒めた気持ちで坂口さんの反応を窺っていた。
 「祐樹、服を脱いで」
 「ぬ、脱ぐんですか?」
 「そう。早く!」
 服を脱いでトランクス一丁になった。坂口さんは、ぼくの目の前で一糸まとわぬ裸になっていた。
 「トランクスも脱ぐのよ」
 「恥ずかしい・・・・」
 「わたしも裸になっているでしょう?」
 女の人は、外見に変化がないからいいけど、男のぼくはペニスが勃起していた。見られたくなかった。だけど・・・・。
 「じれったいわね」
 あっと言う間にトランクスを脱がされてしまった。
 「へえ、体の割に大きいのね」
 手で隠していたけれど、しっかり見られてしまった。
 「さあ、来て」
 ソファーの上に仰向けになった坂口さんに手を引かれて、ぼくは坂口さんの上になった。
 「こんなことして、ホントにいいの?」
 「心配しないで。大丈夫よ」
 「どこ? どこに入れたら?」
 坂口さんの腟の入口を捜した。だけど、分からない。
 「もう少し下よ。違う。そこは下過ぎるわ」
 焦れば焦るほど分からなかった。坂口さんがぼくのペニスを握って誘導しようとした。
 「あ、だめだ。出ちゃう」
 「ちょっと我慢して」
 入った。何だかふわっと包み込まれるような感触がした。その感触も1秒以内だった。
 「あ、あうう」
 ぼくは射精してしまった。坂口さんが、不満げにぼくを見た。
 「出ちゃったよ」
 「初めてだから仕方ないわよ」
 「すみません」
 「ティッシュ、取って」
 ぼくは床に転がっていたティッシュを取って坂口さんに手渡した。坂口さんは、ティッシュで股間を拭うと、ぼくのペニスを銜えた。
 「さ、坂口さん」
 「黙ってて」
 フェラチオって言う行為のことも知っている。それがこんなに気持ちのいいものだとは知らなかった。ひとしきり舐めたあと、坂口さんは、体位を入れ替えて、ぼくの目の前に股間をさらした。
 「シックスナインは知ってるでしょう? 舐めて」
 従妹がおむつを替えるとき、女の子のそこは見たことがある。つるっとしていて、可愛かった。だけど、目の前にある坂口さんの持ち物は、毛が生えている上に茶色の舌のようなものが貝の足のように飛び出ていた。ひどくグロテスクに思えた。
 「早くう」
 仕方なく、そのグロテスクなものに舌を這わせた。ぼくの放ったザーメンの臭いがした。だけど、途中で止めるわけにはいかないように思え、ぼくは一生懸命舌を動かした。
 「そこ。そこがいいわ。そこ、知ってる?」
 「どれ?」
 「小さな隆起があるでしょう?」
 「これ?」
 舌でそれを舐めた。
 「それよ。クリトリスって言うのよ。女の一番感じるところよ」
 「へえ、これが・・・・」
 クリトリスって言葉自体は知っていた。初めて見るクリトリスをぼくは感慨を持って眺めていた。
 「さあ、もう一度やってみましょう」
 ぼくのペニスは復活していた。正常位に戻って、再び坂口さんがぼくを誘導する。今度は大丈夫のようだ。
 再び柔らかく包み込まれた。
 「動かして。そう。うまいわ」
 ぼくは、一生懸命腰を動かした。
 「ああ、いい。いいわ。もっと、もっと強く突いて!!!」
 ソファーがぎしぎしと軋む。
 「坂口さん、また出そうだよ」
 「いいよ。出して。わたしの奥深くにそそぎ込んで」
 快感が股間から頭のてっぺんに届いてきた。
 「で、出るう・・・・」
 「い、いいわ・・・・」
 ビクビクとぼくのペニスが痙攀した。坂口さんがそれに合わせて、体を痙攀させる。ぼくは坂口さんの上に覆い被さった。
 「祐樹君、上手かったわ」
 「ホントに?」
 「ええ。最高だったわ」
 4時過ぎまで、ぼくたちは抱き合っていた。勿論途中でぼくは萎えて抜け出てしまったけれど。
 「祐樹君。誰にも内緒だよ」
 「い、言いません」
 「じゃあ、遅くなると、お母さんが心配するから。・・・・祐樹君?」
 「何ですか?」
 「また、しようね」
 「は、はい」
 「お母さんがいないとき、連絡するからね」
 「はい」
 ぼくは嬉しくて、スキップしながら家に戻った。

 あとで聞いたところによると、ぼくは童貞だったけど、坂口さんは処女じゃなかった。
 「ホントは、祐樹君と最初にしたかったんだけどね」
 悲しげにそう言った。はっきりとは言わなかったけれど、テニス部の先輩に、無理矢理犯されたらしい。その後、何人かの男と寝たとも言っていた。
 「わたし、祐樹君が好きなの。チャンスがあれば、祐樹君に抱いて貰いたいって思ってたの。こうなれて嬉しいわ」
 坂口さんは、ホントに嬉しそうに、そう言うのだった。

 坂口さんの母親は、土日になると、坂口さんを放り出して一人で遊びに行くようだ。だから、そのたびに坂口さんはぼくを自宅に呼びだした。勿論、直接ぼくに電話するわけにはいかないから、ぼくの家に寄ったときに、それとなくぼくにメモを手渡すのだ。
 夏休みの間、ぼくは坂口さんと5回寝た。ホントは6回チャンスがあったんだけど、生理だったからできなかった。坂口さんは、きちんと基礎体温を測っていて、危ない日にはコンドームを付けさせた。
 中学2年のぼくと高校1年生の坂口さん。ぼくたちは、悪いこどもだ。