第11章 コンパニオン

 料金は、30分ごと1万円になっていて、入った金額をコンパニオンと店で折半することになっていた。店の取り分が多いんじゃないかと思ったけれど、店の中にある備品をいくら使ってもいいし、下着以外の服はただで貸してくれると言う。そう言う意味では、経営者は良心的だと言うことかもしれない。
 「おまえは可愛いが、アナルファックまでしないと、指名が少ないかもしれないぞ。指名が少なきゃ、実入りが少ない。月に100万は無理だな」
 そう言われていたので、ぼくはマンションに帰ると早速肛門の拡張をした。ジェリーを塗ったシリコン棒をゆっくりゆっくり肛門の中に入れた。痛かったけれど、しばらくじっとしていたら痛みはなくなった。安心して、体を洗ってベッドに入った。
 「月100万円、月100万円」
 お父さんの言った言葉など忘れていた。

 翌日午後4時半、店に行くとやってきたコンパニオンに紹介された。
 「今日から働く、美智子だ。よろしくな」
 出勤してくるコンパニオンに、いちいち紹介した。
 「美智子です。よろしくお願いします」
 「淳よ。よろしく」
 「真理子よ」
 「幸子」
 ぼくの他にコンパニオンは7人いた。淳さん、真理子さん、幸子さんの他は、あかりさん、ひかるさん、舞子さん、優子さんだった。あかりさん以外は、一見するととても男には見えなかった。優子さんは性転換者で、他の6人にはペニスがある。3人は睾丸も残っていると言った。ぼくはその仲間入りだ。
 「新人が入った。いいねえ。えっ! フェラまでしか駄目? じゃあ、ひかるさんにする」
 そう言う会話が聞こえてきた。やっぱり稼ぐためにはアナルファックができないといけないなと思った。それでも、初日は二人に指名された。
 「ホントに男なの?」
 二人ともぼくの姿を見て一様にそう言った。
 「最後までやらせてくれよ」
 「まだ駄目なの。ごめんなさい」
 そう言うしかなかった。

 仕事が終わって、北崎から残るように言われた。
 「毎日コーチするからな」
 アナルファックができないと、収入が少ない。ぼくはすぐさま返事をした。
 「お願いします」
 店が始まる前に浣腸はしておいた。肛門を舐めるお客がいると言われていたからだ。実際に二人目のお客は、ぼくのペニスや陰嚢に舌を這わせたあと、肛門にまで舌を入れたのだった。
 北崎のコーチを受ける前になって、もう一度浣腸した。
 「仰向けはきついだろうから、今日は俯せで尻を上げろ。バックでやるときの体勢だ」
 尻を上げると、北崎が肛門にジェリーを塗りながら指を入れる。
 「1日でだいぶ広がっているな。何回拡張した?」
 「昨日1回。今日、店に来るまでに4回しました」
 「なかなか熱心でいい。拡張棒を貸してみろ」
 借りていた拡張棒を北崎に渡した。ジェリーを塗ってゆっくり入れてきた。違和感はあるけど、痛くはなかった。
 「いいようだな。じゃあ、一段大きなものを入れてみるぞ」
 「おねがいします」
 痛かった。痛いけど、歯を食いしばって我慢した。
 「今日はこれを持って帰って練習しろ。いいな」
 「はい」
 その拡張棒を入れても痛くなくなったのは三日後だった。一週間目、直径が3センチのものがようやく痛みなしに出し入れできるようになった。
 「4センチのものが入らないと、アナルファックは無理だな」
 「たった1センチに違いでしょう?」
 「その1センチが大きいんだ。何なら、入れてみるか?」
 「はい。入れてみてください」
 自信ありげにぼくは言った。だけど、とても入らなかった。イヤ、入ったんだけど、あまりの痛みにぼくは悲鳴を上げていた。
 「そうだろう? 急がば回れだ。ゆっくりやろうぜ」
 北崎はにやりと笑った。

 一週間分の給料を貰った。11万だった。
 「アナルファックだできれば、その倍にはなるぞ」
 そう言われて、ぼくは肛門の拡張に励んだ。さらに一週間後、4センチの拡張棒が痛みなしに入るようになった。
 浣腸して、肛門を綺麗にしてから、北崎にそのことを告げた。
 「俺が最初の客になってやろう」
 「えっ!? 北崎さんが?」
 「心配するな。ちゃんと料金は払う。金を払わないでやると、オーナーがうるさいからな」
 コーチしてるんだから、ただでもよかったんじゃないかと思ったけれど、北崎は2万円を財布からとりだして、受付に支払った。
 「今日は、お客とコンパニオンの関係だ。楽しませてくれよ」
 そう言って、北崎はシャワーを浴びた。
 「そう緊張するなよ。まずは、キスからだ」
 ディープキスにはもう慣れた。キスというのは、相手が男でも女でもホントに気持ちがいい。
 北崎は、ぼくの乳房を弄び、ペニスを口の中に含んだ。
 「さあ、フェラをやってくれ」
 ぼくは屹立した北崎のペニスを口に銜えた。
 「上手くなったじゃないか」
 この2週間、毎日毎日フェラチオをやって少しは上達していた。
 「ありがとう。前立腺マッサージは?」
 「やってくれ」
 ジェリーを付けて肛門を揉みほぐし、ゆっくり指を入れた。前立腺をなぞるようにしていると、ペニスの先から透明な液体があふれ出てきた。時々真っ白な混濁した液体も混じっていた。臭いからするとザーメンが混入しているようだ。
 「もういいぞ。美智子、コンドームをしてくれ」
 ぼくは、コンドームを付けてやった。4センチの拡張棒よりは小さいような気がする。大丈夫。ぼくは自分に言い聞かせた。
 「バックで行こうか?」
 「はい」
 ぼくは北崎に背を向けて尻を上げた。北崎が、ぼくの肛門にジェリーを塗る。ゆっくり揉みほぐしたあと、熱いものがあてがわれた。
 「行くぞ」
 ぼくは、力を抜いて挿入に備えた。
 「いつでもいいわ」
 入ってきた。少し痛むが思ったほどでもない。
 「力を抜くんだ」
 痛みのために力を入れたようだ。ぼくは口を開いて力を抜いた。
 「そうだ。よし入った。うん、いい感じだ」
 拡張棒は冷たさと固さを感じていたが、本物のペニスは暖かく、固いはずなのにどこか柔らかさを覚えた。
 「動かすぞ。痛かったら、言え」
 「はい」
 ゆっくりとピストン運動が始まった。僅かな痛みがあったが、すぐに快感にかき消された。そう、もの凄い快感があるのだ。自分でも信じられなかった。
 「あっ、あっ、あっ、あっ、ああ。いいっ!」
 思わず、そう叫んでいた。
 「美智子、おまえ、ホントに女と寝たことがあるのか? 根っからのホモのように見えるが」
 「そんなことどうでもいい。とにかくいいわ」
 北崎は、ピストン運動を続けた。射精の直前のような快感がずっと続いていた。うっすらと目を開いてみると、ぼくのペニスの先から透明な液体がしたたり落ちていた。
 「ううっ!!」
 北崎がぼくの中で弾けた。
 「ああん・・・・」
 意識の真ん中にぽっかりと穴が空いたように感じ、ぼくはベッドの上に突っ伏した。北崎がぼくの背中の上にのしかかってくるのを感じた。
 ヒクヒクと肛門が痙攀するのを感じていた。その間、快感が波のように寄せては返していった。
 「よかったぜ。さすがは処女だ」
 「わたしは処女だったのね」
 「もう違うがね」
 「そうか。そうよね」
 「感じたか?」
 「もの凄く感じた」
 「そうか。しかし、いちいち感じていたら、商売にならないぞ。適当に肛門を締めて、行かせるんだ。おまえは行った振りをしていればいい」
 「分かったわ。ああ、でもよかった・・・・」
 「あと15分ある。しばらく休んでいろ」
 北崎は服を着て出ていった。ぼくはしばし微睡んだ。
 「おい! 美智子! お客だ。起きろ!!」
 今寝たと思ったのに起こされた。時計は確かに時を15分進めていた。

 アナルファックができるようになって指名が増えた。毎日、5、6人を相手にした。30分1万で、アナルファックまでこなすものもいるが、大抵は60分2万コースだった。つまり、1日5,6万がぼくの手に入ることになった。月に20日店に出て、100万が手に入った。
 税金を取られないから、丸々ぼくの収入になる。後ろめたさがなければ、こんないい商売はない。
 コンパニオンの中には、店と折半という条件がイヤで、独立していくものもいた。だけど、ぼくはずっと店に留まった。最初の男、北崎から離れがたかったからだ。ただ、北崎の方はそうは思っておらず、女の恋人がいて、ぼくの片思いに終わりそうだ。

 このニューハーフヘルスで働き初めて2年半が経過し、ぼくは21になった。貯金は1000万を越えていた。指輪やネックレスなどの装飾品や服を買わなければ、もっと貯まっていただろう。
 こんなところで働けるのも若いうちだけだ。せいぜい30まで。30までにできるだけため込んで、できればこのニューハーフヘルスのような店のオーナーになる。この店のオーナの様に。できなければ、スナックでもいい。ニューハーフのやっているスナックも結構繁盛していると言うから。
 そんなことを考えていた。