第1章 訪問の理由

 俺は蝋燭一本の灯で照らされた薄暗い部屋の中にいて、蝋燭が立てられている丸いテーブルを前にして椅子に腰掛けていた。古びたエアコンから流れ出てくる風に蝋燭の炎が揺れていた。
 丸テーブルと椅子しか置かれていない部屋は狭く、恐らく4畳半くらいの広さだろう。天井もかなり低い。立ち上がって手を伸ばせば、天井に手が届きそうなくらいだ。エアコンの設定が高いのか、それともこの窮屈さのせいか、俺は少し汗ばんでいた。
 (遅いな。いつまで待たせるんだろう?)
 俺は腕時計を見た。腕時計を見るのはこれで3度目だ。この部屋に案内されて、すでに10分が経過していた。タバコを出して吸いたかったが、灰皿がおいていなかったし、この部屋の狭さでは息が詰まりそうで諦めていた。
 (ホントに遅いな。何やってんだろう?)
 俺は再び腕時計を覗き込んだ。さらに5分が経過していた。イライラが募り、俺は貧乏揺すりを始めた。右奥のドアが開いたのは、それから数分後のことだった。
 「待たせたな」
 真っ黒なマントを羽織り、真っ黒なフードをかぶった老婆が入ってきた。声からすると男かもと思ったのだが、老婆だと判断したのは、フードから覗く皺のある顔にはその年令には似つかわしくない化粧が施されていて、やはり皺のよった手から伸びる骸骨のような指の先には血のように赤いマニキュアが塗られていたからだ。
 「話を聞こう」
 まるで血が滴る肉を食ってきたばかりのように思える真っ赤な口紅が塗られた唇がそう言う。
 俺は、この場所に来た理由を語り始めた。

 俺のことなど関係ないが、この際だから簡単に述べておこう。俺の名は西達郎、19才。京都にある某私立大学の一回生だ。俺の生まれは神戸市で、3歳の時に父親の仕事の関係で京都へ移り住んだ。それ以来ずっと京都住まいだ。
 上に兄、下に妹がいる。兄は俺と違って優秀な男で、現在京都大学理学部に所属している。来年の春卒業予定で、将来はノーベル賞を貰うぞと言って頑張っているが、それもあながち夢物語ではないような気がする。妹は高校1年生だが、成績はトップクラスで、将来は医者になりたいなんてほざいている。が、それも実現しそうだ。
 そんな勉学優秀な兄弟に挟まれて俺は肩身が狭い。スポーツは万能だが、学業成績は今一歩。可もなく不可もなくと言ったところだ。
 「お兄ちゃんを見習いなさい」とか「どうして、あなただけできないの?」とか言われるのがイヤだった。
 大学に進学するにあたって、そんな親の元を離れて東京の大学にでも進んでひとり暮らしをしたかった。けれど、俺はそうはせずに地元の大学を選んだ。親がひとり暮らしを許してくれなかったこともあるが、もっとも大きかった理由は、彼女と、裕子と別れたくなかったからだ。
 裕子は現在、俺よりふたつ年下の17才。地元の女子校に通っている。イヤ、通っていた。別に退学した訳じゃない。一応まだ高校には在籍はしている。どうして通えなくなったかというと、通うに通えなくなったからだ。彼女は、今、病院のベッドに横たわっている。人工呼吸器を取り付けられて・・・・。
 彼女にはまったく意識がなく、呼吸も止まってしまって、医学の手によって生かされている。最初からそうだったわけではなく、初めはただ意識がなかっただけだ。
 半年前、高校1年の終業式の日、いつもなら自分から起きてくる裕子がベッドから起きてこなかった。不審に思った母親が裕子の部屋を開けてみると、裕子はベッドの上でまだ眠っていた。
 「裕子! 裕子!! 起きなさい。遅刻するわよ」
 母親が何度揺すっても裕子は目を覚まさなかった。すぐに救急車が呼ばれて、裕子は病院へと運ばれていった。
 採血、CT、脳波検査などありとあらゆる検査が行われた。しかし、その検査のすべてが正常だった。いや、脳波検査では眠った状態だと言うことだ。
 「眠ってしまうような薬物も検出されないし、どうして意識がないんでしょう? 訳がわからない」
 医者は首を傾げるばかりだった。京都大学の付属病院でも検査して貰った。それでも原因はわからず、裕子は眠り続けた。
 時間がたつにつれて裕子の状態は次第に悪化していき、呼吸しなくなり、先月から人工呼吸器が装着されている。
 「このまま行けば、亡くなってしまうでしょう」
 医者からさじを投げられた状態で、裕子はただ死を待つしかなかった。

 医学がダメならと裕子の両親は、どこからか探してきた祈祷師に裕子を見て貰った。
 「裕子さんの身体には魂がない。魂が抜け出てしまっている」
 「魂がない? どういうことですか?」
 「人は死と共に魂が抜け出る。裕子さんの場合、身体は死んではいないのに、魂が抜け出てしまったのです」
 「裕子はどうなるのでしょうか?」
 「死にます。イヤ、魂がないのですから、すでに死んでいるのと同じなのです」
 「死んでいるのと同じ! 何か方法は? 生き返らせる方法は?」
 「死んだものを蘇らせる方法はありません」
 冷たい宣告だった。他の祈祷師にも頼んでみたらしいけれど、答えは似たり寄ったりものもだったと言うことだ。
 俺との交際を快く思っていなかった裕子の両親も、裕子が死ぬとわかってからは俺が面会に行くことを許してくれ、そんなそれまでの経緯を詳しく話してくれたのだった。
 「裕子! 死なないでくれ」
 俺は裕子の手を握りしめて裕子が生き返るのを祈った。しかし、俺の願いは届かず、病状は進行していき裕子の死が訪れるのをただ待つしかなかった。

 裕子と俺の出会いは2年ちょっと前だった。中学3年になった裕子の両親が、高校受験のために俺の兄貴を家庭教師に雇ったのだ。
 「すごい美人だぞ」
 兄貴は顔をほころばせながら、裕子のことをまるで自分の恋人のように自慢した。
 「兄貴には和世さんがいるだろう?」
 和世さんというのは、兄貴の高校時代の同級生で婚約者。兄貴が大学を卒業したら結婚することになっていた。
 「はは、まあな。しかし、美人だぞ。将来が楽しみだ」
 何が楽しみなんだろうと俺は思っていた。

 そんな話をしてから2ヶ月目、当の裕子が俺の自宅を尋ねてきた。兄貴が裕子を俺に紹介したというわけではなく、兄貴が出した宿題を持っていただけだった。
 「これ、今日までに仕上げるようにって言われていたんです。先生に渡しておいて下さいますか?」
 「あ、ああ、いいよ」
 俺はうわずった声で答えた。俺は裕子の顔を見てそのあまりの美しさと言うか可愛らしさに圧倒されていた。簡単に言うと、俺は裕子に一目惚れしたのだ。
 「お願いします」
 そう言い残して去っている裕子の後ろ姿を、俺は見えなくなるまでずっと見送っていた。俺はその夜、しっかりと網膜に焼き付けておいた裕子の顔を思い浮かべながらマスを掻いた。

 兄貴を通じて交際したいと紹介して貰おうとも思ったけれど、兄貴に言えば、もっと勉強して成績が上がったら紹介してやると言われるに決まっていた。兄貴はそう言うヤツなのだ。それに、兄貴に恩を売らせたくなかった。
 俺はその翌日、授業が終わると部活をさぼって裕子の通う中学校へと向かった。校門で声をかけるのはまずいと思った俺は、校門から少し離れたところで待ち伏せして、出てきた裕子のあとをしばらく尾けてから、偶然を装って声をかけた。
 「やあ、こんちは。昨日の宿題。確かに兄貴に渡しておいたから」
 できるだけ明るく、かつ下心など隠した口調でそう言った。
 「あ、すみません」
 裕子はピョコンと頭を下げた。セーラー服の胸元から水色のブラジャーがチラリと見えてドキリとさせられた。胸が高鳴っているのを押さえて、練習していたとおりに言葉を続けた。
 「兄貴の教え方、どう?」
 「わかりやすくって、とっても上手よ」
 ニッコリと笑う裕子のほっぺたにえくぼができた。
 「へえ、そうなの?」
 「先生によく似てらっしゃるのね」
 「そりゃ、兄弟だから」
 「何年生なんですか?」
 「オ、ぼ、ぼくかい? 2年だよ」
 「じゃあ、ふたつ年上ですね。将来はやっぱり京大に行くんですか?」
 そう尋ねられて俺はちょっと答えを躊躇った。見栄を張るべきか? それとも正直に答えるべきか? まるでハムレットの心境だった。
 「ぼく、兄貴ほど優秀じゃないから」
 それが俺が出した結論だった。
 「そうなんですか? でも、いい大学に進むんでしょう?」
 「あ、ああ。そのつもりだけど」
 そう答えたのが運の尽き。俺はそれまで以上に勉強に励むことになってしまった。
 「西さんのおうち、こちらじゃないでしょう? これから、どこかへ行かれるんですか?」
 「あ、そのう、実は・・・・」
 俺は頭を掻く。俺の顔はきっと真っ赤になっていたと思う。告白しようと思うのに、次の言葉が出てこなかった。
 「わたしに会いに来たとか?」
 鞄を両手で持って歩きながら、前を見たまま裕子が言った。そんなことを言うのは、きっとそんな男がたくさんいるからだろうなと思った。
 「・・・・実はそうなんだ」
 「ホントに?」
 裕子が俺の顔を覗き込んできた。
 「ホントだよ。この前うちに来たとき、君の顔を見て、ひ・・・・一目惚れなんだ」
 「ビビッと来た?」
 「そう。全身に震えが走ったよ」
 「わたしね。小学校の時から、そんなふうに何度も何度も言われたわ」
 気取った感じもなく裕子はそう言った。そうだろうなと俺は思った。裕子ほどの美人なら、誰も放っておかないはずだ。そんな男の中には、俺よりも格好良くて頭がいい男がいるに違いないと思って俺は意気消沈した。
 「他のみんながすごく格好いいって言う男の人だっていたわ。成績がいつもトップの人もいたわ。でもね。今までわたしの方がビビッと感じたことはなかったの」
 (俺もそのひとりだよな)
 項垂れてしまった俺の歩みは自然と遅くなった。裕子は振り返って俺の方に歩み寄ってきた。
 「わたしがビビッと来たのはあなたが初めてだわ」
 その言葉の意味がしばらくわからなかった。俺は裕子を前にして口を半開きにして立っていた。
 (俺にビビッと来た? 俺に?)
 心臓が張り裂けそうになった。
 「そ、それって・・・・」
 何分かがたったような気がしたが、ほんの数秒後だっただろう。ようやく言葉が出た。
 「わたしもあなたに一目惚れってことよ」
 ポット頬を染めて裕子はそう言うと、向きを変えて走り出していった。俺は茫然とその場に立ちつくした。

 どうやって家に辿り着いたか覚えていない。気がついたら、自分の部屋の中にいた。
 「彼女が俺に一目惚れだって?」
 俺は机の上に置いてある鏡を覗き込んだ。すごくいい男というわけじゃない。中の上と言ったところだろう。
 (兄貴に惚れたというのならわかる。何で俺なんだ?)
 俺を追っ払うための嘘ではないかと思った。いや、絶対にそうだと思った。しかし、その疑問を打ち破ったのは、その直後に掛かってきた裕子からの電話だった。
 《嘘や冗談じゃないのよ。わたし、ホントにあなたに一目惚れなの》
 俺は舞い上がった。しかし、釘を刺された。
 《わたしのことが好きなら、わたしを幸せにするように努力してね》
 彼女を幸せにする努力って何だろうと俺は思った。裕子ははっきりとは言わなかったが、まず第一に裕子以外の女にうつつを抜かさないこと。これは必要なことだろうと思った。女にとって裏切りほど心に傷を与えるものはないだろうからだ。第二に、男としてしっかりとした収入があること。貧乏じゃあ女を幸せにはできない。霞を食って生きるわけにはいかないのだ。と言うことは、しっかり勉強して、いい大学に行かなければならないと言うことだ。
 第一番目に必要なことは自信がある。一生、裕子を裏切らない自信だ。しかし・・・・。問題は、第二番目だ。兄貴のように京大に受かることはまず無理だろう。無理だが、できるだけ、いい大学に入ろうと俺は猛勉強を始めた。
 その結果、何とか様になる大学に入るとができた。その報告を聞いて裕子は自分のことのように喜んでくれた。なのに、俺が大学に入学する前に裕子が倒れたのだった。
 「裕子・・・・、まだ処女なのに・・・・。このまま死んでしまうなんて」
 俺と裕子の仲は清いものだった。キスすらもしたことがない。せいぜい手を握り合う程度だ。
 嘘じゃない! ホントの話だ。裕子と一緒にいたら、そんな淫らなことを考えもしなかった。ただそばにいるだけで俺は幸せだった。裕子の笑顔を見ているだけで俺は幸せを感じていた。裕子の顔を思い浮かべてマスを掻くくらいは許してくれ。
 それなのにこんなことになるなんて。今の裕子は、人形のように半開きした目で天井を見つめているだけで、俺に微笑みかけてくれることはない。
 神様には慈悲って言うものがないのか! 俺は神様を恨んだよ。だけど、どうしようもなかった。

 同じような病気の人がいないか、いたら回復した人がいないか、俺はインターネットを探しまくった。けれど、同じような病気に掛かった人間はいなかった。そもそも裕子の意識がないのは病気ではないのだろう。
 諦めかけていたとき、難病に取り組んでいるグループのチャットで、どんな願いでも叶えてくれるという人物がいることを知った。それまで歩けなかったものが歩けるようになったり、目が見えなかったのに、見えるようになったとか言うのだ。
 「大阪・・・・」
 胡散臭いと思った。しかし、藁をもすがる思いで連絡を取ってみた。
 《一ヶ月先まで予約で一杯です》
 「一ヶ月! そんなに待ったら、彼女は死んでしまう。何とかなりませんか?」
 《死に瀕している彼女を救いたい。そうおっしゃるのですか?》
 「はい」
 《・・・・そうですか。それなら、話だけでも聞いてみましょう。何かお役に立てるかも知れません》
 「申し訳ありません。我が儘を言って」
 《明後日、午後8時にいらしてください》
 「助かります。どうぞよろしくお願いいたします」

 ファックスで送られてきた地図を頼りに俺はその人物に会いに行った。立ち小便やゲロの臭いがたちこめる路地の奥に狭い階段があって、それを下っていくと真っ黒なドアに小さな窓が付いていた。呼び鈴を押すとややあってその小窓が開いた。
 「どなた?」
 「今日、会う約束していた京都の西です」
 「どうぞ」
 そうやって俺は今老婆と向き合っているのだ。

 「祈祷師が彼女から魂が抜けてしまっていると?」
 老婆がそう俺に聞き直した。
 「はい。そう言われたそうです」
 「電話で持ってくるようにお願いしたものは?」
 「ここに」
 俺はポケットから裕子の髪の毛の入った封筒を取り出して老婆に差し出した。老婆は封筒の中から裕子の髪の毛を取りだして、水晶玉の前に置くと、何やら呪文を唱え始めた。
 長い時間が過ぎ去り、老婆が口を開いた。
 「ふうむ。やはり、裕子さんの身体から魂が抜け出てしまっているようですね」
 改めてそう言われて、俺の身体から力が抜けた。
 「何とか助ける手段はありませんか? どんな願いでも叶えてくれると聞いてここに来たんです」
 俺はテーブルに頭をこすりつけた。
 「わたしもいろいろと皆さんお願いをかなえてきましたが、死人を生き返らせることだけは無理です」
 「裕子はまだ死んじゃない! まだ生きている!!」
 俺は涙声で叫んだ。
 「魂が抜けてしまっていると言うことは既に死んでいると言うことです。祈祷師にもそう言われたのでしょう?」
 「魂を、裕子の魂を呼び戻すことは? もし呼び戻せれば、生き返るでしょう?」
 ドラゴンクエストやファイナルファンタジーでは復活の呪文がある。無理だとは思ったけれど、俺は切羽詰まっていた。
 「できればそうしてあげたい。けれど、それは無理です」
 (あああ・・・・、やっぱり)
 しかし、俺は諦めきれない。
 「どうして?」
 「人は死ぬとその瞬間に新たな生命として生まれ変わります。裕子さんの魂は、すでに新たな身体を得ているはずです」
 今まで聞いた話では、誰もそんなことは言ってなかった。
 「裕子は生まれ変わっていると?」
 「そうです」
 「生まれ変わった身体から魂を抜きだしてくれば?」
 「それは可能です。ただ、魂を抜き出せば、その身体の持ち主は死ぬことになるのですよ。殺人と同じなのです」
 俺は言葉に詰まる。
 「それに、地球上だけでも毎日何万人もの赤ん坊が生まれます。探し出すのは非常に困難です」
 「生まれ変わるのは、日本人だけじゃないんですか?」
 「もう一度日本人に生まれることの方が稀です。さらに・・・・」
 「さらに?」
 「人間に生まれ変わるとも決まっていませんから」
 俺は愕然となった。
 (裕子はきっと人間に生まれ変わっている)
 生まれ変わり自体、信じたわけではなかった。ただ、裕子の魂が裕子の身体の中にないとすれば、そう祈るしかなかった。
 「今の裕子は? 今の裕子はどういう存在なんですか?」
 「蝉の抜け殻のようなものです」
 「抜け殻・・・・。裕子を生き返らせることは絶対に無理だと?」
 「その通りです」
 「そんな・・・・。せっかくここまで来たのに・・・・」
 俺は泣き出していた。男が泣いちゃいけないなんて誰が言ったのだろう? 頭の古い人間だろう。愛する女のために泣くのがいけないなんて誰にも言わせやしない。

 「それほど愛しているの?」
 俺は頷いた。
 「手がないこともない」
 しばらくして、老婆がぽつりと言った。
 「えっ? どんな方法ですか?」
 「彼女が処女だというのは間違いないですね?」
 「間違いないと思う」
 俺は裕子と関係を持ったことがない。俺が裕子と出会う前に処女を失っていたという可能性は残るが、あの潔癖な裕子が、男と関係を持っていたなどと言うことは考えられなかった。
 「いいでしょう。ある方法をお教えしましょう。ただ、その方法を実行するためには犠牲を伴います」
 「どんな犠牲だって厭いません。教えてください」
 「あなただけではなく、他人をも巻き込むことになりますが、それでもやりますか?」
 「他人を巻き込む?」
 「そうです。何の関係もない他人に迷惑をかけることになります」
 俺はジッと考えた。俺だけが犠牲になるのなら、すぐにでもどんな方法でもやりたい。しかし、他人を巻き添えにするとなると・・・・。
 すぐには決心が付かなかった。
 「方法だけ、お教えしましょう。それを実行するか否かはあなた自身が決めて下さい」
 そうだ。その通りだ。老婆の教えてくれる方法をよく聞いて、やるかやらないかはじっくり考えてから決めればいいのだ。
 「お願いします」
 「その方法とは・・・・」
 俺はゴクリと唾を飲んだ。