第11章 ジョージとの生活

 水本がいなくなってずっと泣いていたカルロスが、水本が戻るとぴたりと泣きやんだ。可愛い声でママ、ママと擦り寄ってくるカルロスを見ていると、男に戻るわけにはいかないと思った。水本は、麻薬取締本部に戻るまでの間にひとつの決心をしていた。
 「ドクター・シュレーダーから報告が入っていますが、男に戻るんですね?」
 ジェシカが書類を見ながら水本に尋ねた。
 「いえ、わたし、女になります」
 そばで聞いていたジョージが驚きの表情を浮かべて水本を見た。
 「わたしもそれがいいと思いますね」
 ジェシカはニッコリと笑って水本を見つめた。
 「ジェシカ、どういうことですか?」
 ジョージが口を挟んだ。
 「あなたは驚くかもしれませんが、アキは男なのです」
 「そんな! 信じられません!!」
 「事実です。ドクター・シュレーダーからの報告書を見なくても、アキの股間を見せて貰えばすむことです」
 ジョージは茫然として立っていた。
 「女になっても、日本へは帰りますか?」
 「とても無理です」
 水本は首を横に振った。
 「それでも女になると?」
 「・・・・はい。家族も大事ですけど、今のわたしにはカルロスの方がもっと大切なのです」
 「あなた、立派な母親ね。その気持ちなら、女になっても大丈夫でしょう」
 「はい」
 「手術の方は、わたしの方が手配しましょう。あなたがミゲルの立ち回り先を教えてくれたくれたお礼にね」
 「女の戸籍までは・・・・無理でしょうね?」
 遠慮がちに聞いてみた。
 「それも用意しましょう。カルロスのために」
 ジェシカは水本に笑顔を向けた。
 「ありがとうございます」
 「ジョージ! 彼女を宿泊先にお送りして」
 「了解しました」

 ジョージに付き添われて麻薬取締本部を出た。水本の腕に抱かれてカルロスがはしゃいでいた。
 「俺に抱かせてくれないか?」
 ジョージはそう言うと、ほとんど強引にカルロスを水本の手から奪い取って抱き上げた。カルロスは、泣きもせずにはしゃぎ続けた。
 「いい子だ」
 ジョージはカルロスを抱いたまま車へと向かって歩いていった。カルロスを水本に戻して運転席につくと、エンジンを掛けながら水本に尋ねた。
 「カルロスのために女になるのか?」
 「え、ええ」
 水本は小さく返事を返した。
 「俺は、カルロスの父親に相応しくないだろうか?」
 「えっ?」
 ジョージの言っている意味がわからず、水本は首を傾げた。
 「両親が揃っている方が、カルロスにはいいんじゃないかと思ったんだが」
 ジョージは間接的に水本にプロポーズしているわけだ。
 「ジョージ? あなた、何を言っているのかわかっているの?」
 「わかっているつもりだけどね」
 「わたし、男なのよ」
 「女になるんだろう?」
 「それはそうだけど・・・・」
 「俺じゃ、イヤか?」
 ジョージにファックされていることを思い浮かべて、マスターベーションしたことを思い出してイヤじゃないと思った。けれど、すぐには返事は返せない。
 「ちょっと待って。ちょっと考えさせて」
 「考えたって結論は変わらないんじゃないか? アキが男だと知っていて、しかもカルロスを息子として可愛がってくれる男なんて、この先現れると考えているのか?」
 その通りだと思った。
 「でも・・・・」
 「キミを誘惑する口実だとでも思ったのか?」
 その危険もある。しかし、ジョージなら騙されてみてもいいかなと水本は思った。
 「いいえ」
 「じゃあ決まりだ。ただし、正式な返事は、キミが女になって、女の戸籍を手に入れてからにしよう。いいね?」
 「ええ」
 水本は、ジョージの肩に身体を寄せた。

 麻薬取締本部が用意したホテルの一室のベッドの上で、水本はジョージのペニスに舌を這わせていた。
 (大きいわ。すっごく大きい。すごい、すごい)
 水本は一心に舐め続ける。
 (わたし、やっぱりこれが好き。こうしてあげるのが好き。そして・・・・)
 この大きなジョージのペニスが自分のアヌスに突き刺さることを想像して、水本は興奮していた。アヌスがひくつき、何だか濡れたようになっているのを感じていた。
 (アア、体が熱い。この火照りを止めてくれるのは、ジョージのこの雄々しいペニスしかないわ)
 水本は、舌を離してジョージに跨った。先端が当たると、アヌスがひくひくしているのがわかる。進入してきた。イヤ、違うと水本は思う。水本のアヌスが銜え込むようにして奥へ奥へと導いているのだ。
 (ハアア、もう、最高!! わたし、やっぱり、こうされるのがいい!!)
 ジョージが突き上げてくる。快感が水本の身体を突き抜けていく。
 (口からペニスが出てきそう・・・・)
 それほど奥へ入ってきているという感覚がしていた。水本のペニスの先端から、透明な汁が脈打つように出始めた。わずかに勃起ししたり萎えたりを繰り返す。
 (これくらい。これくらいが続くのがいい)
 ジョージが起きあがってきた。水本はゆっくりと後ろに倒れて背中をベッドに付けて、両足を大きく広げた。ジョージの顔が迫ってきた。
 「愛してるよ」
 「わたしも」
 唇が重ねられ、舌が進入してくる。水本はその舌をこの世で最高のものを味わうように受け止め吸った。
 ジョージが腰を動かし始めた。抜けんばかりに引き抜き、串刺しになるのではないかと思うほど奥まで突き抜かれる。20センチ以上あるからそのストロークが長く長く感じられた。
 「ああっ! はううっ! いいっ!!」
 頂点へ向かい始めた。
 「来て! 来て、ジョージ!!」
 「おううっ!」
 体の中で爆弾が破裂したと水本は感じた。
 「あああ・・・・ん・・・・」

 隣の部屋に寝かしていたカルロスが泣き始めた。急いでカルロスの元に行こうとして、水本はハッと気づいてショーツを穿いた。カルロスはまだ膨らみを気にする年令ではないけれど、女でないものが付いていることをはっきりと見られるわけにはいかないのだ。
 抱き上げると、水本の乳房を両手で掴んで乳首に吸い付いてきた。ジョージに吸われるのとは違った喜びが沸いてくる。
 (カルロス。あなたのためにわたしは女になるのよ)
 そう思いながら、ジョージとの交合を思い出す。
 (違うわ。カルロスは言い訳。わたしはわたし自身が女になりたいんだ。そうだわ。わたし、わたしのために女になるんだ)
 水本はすっきりとした気分で、女に性転換する決意を新たにした。

 カルロスを寝かしつけてジョージの元に戻ると、ジョージが手を差し伸べてきた。ベッドの中に入るとキスされる。ジョージはもう一度するつもりのようだ。水本だって何度もして欲しい。ジョージに身を任せた。
 ジョージは、水本の全身に舌を這わせる。水本のペニスにも。ミゲルはそんなことはやってくれなかった。興奮して、固く勃起しているのがわかる。
 「だ、駄目よ。ジョージ!」
 ジョージの口の中に出してしまった。ジョージはゴクリと飲み干して、水本の顔を見てニヤリと笑った。
 「ごめんなさい」
 「謝ることなんてないさ」
 ジョージはそのまま水本のアヌスを舐め始めた。
 「ジョージ・・・・」
 「ここが君のワギナだ。ボクはクンニをしてるんだよ」
 そんな風に考えているんだなあと水本は思いながら、くすぐったいような快感に酔っていた。
 今度はバックから責められた。正常位の時よりも深く深く挿入されて、水本は何度も行った。水本のペニスからはもはや何も出なくなって痙攀するだけになった。

 「俺のアパートメントに来ないか?」
 服を着ながら、ジョージが尋ねた。
 「あなたのアパートに?」
 「ああ、その方が便利だし、安全だろう?」
 「あなたがそうして欲しいって言うのなら」
 「俺はどちらでもいいけど、アキがそれを望むなら」
 「ジョージはホントにどちらでもいいの?」
 「わかった。わかった。俺のアパートメントに来て欲しい。これでいいか?」
 「わたしもそうして欲しいわ」
 「じゃあ、決まりだ。ただし、ジェシカが許してくれたらだな」
 「すぐに許しを貰って」
 「わかったよ」
 ジョージは携帯電話を取り出してジェシカに電話し始めた。
 「ジェシカ? ジョージ・ヤングです。はい、無事届けましたが、ここは安全上、問題があるようで。ヒトの出入りがですね。中南米からの移民も結構利用しているみたいで、危ないと思われるのですが。あそこは交通の便が悪いでしょう? いえね。うちだったら、本部にも近いし、部屋にも余裕がありますから、どうかなと思ってですね。彼女は男ですよ。まさか、そんなことはしませんよ。大丈夫です。俺にその気はありませんから。じゃあ、俺が預かると言うことで。失礼します」
 「そんなことって、どんなこと?」
 ちょっと意地悪そうな顔をして水本が尋ねた。
 「さっきしたようなことさ」
 「もうしてくれないの?」
 「ジェシカと約束したからなあ」
 「意地悪!」
 「して欲しいのか?」
 「ええ」
 顔を赤らめて下を向く。
 「よし! アキに無理矢理迫られてやむなくと言うことにしておこう」
 「あ、ずるい。あなたが誘ったのよ」
 「誘って欲しいって顔をしてたから」
 そう言って、ジョージはニヤリと笑った。
 「・・・・そう言うことにしておいてあげる。ジョージの名誉のために」
 「アキはいい女だ」
 「ありがとう」
 水本はジョージに抱きついてキスした。

 水本はカルロスを連れてジョージのアパートメントに移り暮らし始めた。ジョージは、仕事で数日帰ってこないことも毎日帰ってくることもあった。帰ってきたときは、水本を一晩中でも愛した。
 場所がアメリカに、相手がミゲルからジョージに変わったけれど、同じような生活だった。ミゲルが麻薬を製造密輸するのに対して、ジョージはそれを阻止するのが仕事だったわけだが。