●●●HYPER REPORT●●●

医療と医学のための高速ネットワーク

吉田 敏 大分医科大学 実験実習機器センター

NTTマルチメディアネットワーク実験に臨んで
 大分県が参加している今回のネットワーク実験で、大分医科大学とアルメイダ病院(市医師会立)とが、6Mbpsの帯域で結ばれ、実験できるようになりました。今回は、恵まれた帯域を使えるので、国立がんセンターなどで行われているハイビジョン画像を使った遠隔病理診断(主に1.5Mbpsで)を、6Mで使ってどれくらいのことができるか、を確認することも一つのテーマです。

 学内では、これ以外にも、ドミニカ医療支援のビデオ画像をオンデマンドで見れるようにする、とか、感染症サーベイランスの情報提供をハイパーテキストでする、などの実験予定もありますが、これらは今のインターネットに向けた医大のサーバーで実現可能なものであり、担当者が実現に向けて努力しています。

URLは、http://www2.coara.or.jp/oita-med/

 今、遠隔医療については、保険適用を目指して厚生省のワーキンググループが来年の答申に向けた作業に入っていますので、かなり現実味を帯びた実験なのですが、しかし、まだ様々な問題点をかかえているようです。これらはおいおい別のところで議論していきたいと思いますが、それを議論するための「電子会議室(掲示板)」を実験網のなかに立ち上げています。(http://www2.coara.or.jp/oita-med/でアクセスできます)関心のある方や関係者はご遠慮なく書き込んでいただきたいと思います。書き込まれたら自動でメールでお知らせする、という仕組も作っています。

これから考えること
 2つのレベルで考える必要があるでしょう。1つは、この大分県の実験は、一般市民が参加できるような実験、というスタンスだと思うので、この医療実験でもごく一般の医療機関、医院が参加できるように、実用的な仕組をつくることです。もう1つは、技術的にもっと先端的なものもとりこんで、新しい可能性を示していくことです。前者に関しては、これから128Kbpsの専用線や64Kbpsのダイアルアップでの接続が安く効率良くできるようなOCNが始まれば、かなり実用的になってくると思いますし、多くの医療機関や医院が参加すれば加速度的にその必要度は増してくるでしょう。もちろん繋がればよい、というものではなくて、繋げたあとのコンピュータシステムの最適の設定が重要で、それをすすめるにはしっかりしたサポート体制が不可欠です。そのためにも最低のコミュニケーションの手段としての電子メールの普及が重要でしょう。そのなかで、ネットワークで発言しコミュニケートするという習慣を身に付けることがまず大事ではないでしょうか。そのためにもかなり専門化したサポート体制の確立が医療分野では特に必要です。別のプロジェクトでアルメイダ病院と他の地域の病院を結んだ豊の国医療情報ネットワークも動いています。NTTの実験網もこれらのプロジェクトと融合して、より広く運用されて多くの医療施設が参加してこそ、有意義な地域ネットワークになると思います。
 もう一つの先端的な技術の導入では、最低「ハイビジョンクラス」の画像を見ることでは、かなり普及が見込める程度の予算範囲に入ってきています。しかし、超高画質の画像を扱うにはまだまだ導入できる部署は限られています。むしろ、画像圧縮と展開の技術の新しい発展に期待したいと思います。特に、スケーラブルな対応が期待できるウェーブレット変換による画像処理はますます普及が望まれます。画像全体でもそこそこの画質で見えて、特に見たいところは一部を強拡大しても画質の低下がなく結果として超高画質が得られる、という方法です。
 今回は主に遠隔医療診断支援の一つを検証しましたが、これらの技術は、在宅医療介護への適用や、研究用のカンファレンスや、オンライン教育にも適用可能であることはいうまでもありません。これらは実用的に128Kbpsや64Kbpsでやれる仕組を考える段階です。無駄な帯域消費をしないためにもバーチャルLANの仕組を地域的に作り上げることも重要ではないかと思います。
 これから3月まで、まだやることはあります。10〜20人規模の集団の複数サイト同士でのカンファレンスの在り方なども検討して見たいと思います。