ゆうせい 九州 1999.1.Jan Vol.56より

九州はひとつ

九州地方知事会会長 大分県知事 平松守彦



 私は現在、九州地方知事会の会長として、九州・沖縄、山口九県の国への要望事項
のとりまとめや、各県が連携して取り組む共同事業の調整をおおせつかっている。「
九州はひとつ」という言葉は九州の経済界や文化団体がよく口にする言葉であるが、
私も九州地方知事会においては、「九州はひとつ」をスローガンに九州の一体的な振
興を図るよう努力している。

 しかし九州は交通体系ひとつとっても、西九州と東九州の間には大きな格差がある
。西九州では九州縦貫自動車道がすでに完成し、現在新幹線の建設に向けて気運が高
まっているが、東九州では北九州から大分、宮崎、鹿児島に至る東九州自動車道はほ
とんど未完成のまま。鉄道にいたっては新幹線はおろか、日豊本線の複線化さえもで
きていない。交通体系の格差は九州の一本化を阻害する要因になっており、「九州は
ひとつ」ではなく、「九州はひとつひとつ」という人もいる。

 私は将来九州を循環する高速交通体系が整備され、九州内の物流、人流が活発に行
われるようになってこそ、はじめて九州はひとつになると考えており、九州内の循環
型交通体系整備を促進し、九州の一体的発展を図ることが、知事会長としての私に与
えられた最大の課題であると考えている。

 ところで、最近の景気対策をめぐる議論のなかで、よく言われるのが公共事業性悪
論である。公共事業のバラマキは景気対策には役立たない。地方の公共事業は費用対
効果からみて問題があると、中央の識者やマスコミから報じられる。しかし、例えば
東京・名古屋間と大分・鹿児島間がほぼ等距離であるにもかかわらず、東京・名古屋
間が新幹線で2時間であるのに、大分・鹿児島間は単線の日豊本線で5時間半もかか
る。同じ国内にありながら交通アクセスにこれほどの開きがあれば、相互交流による
地域住民の生活向上や産業振興のうえで、地域間に大きな格差が生じることは一目瞭
然だ。道路や鉄道について、地方への重点投資を国に求めることは、ないものねだり
というものでは決してない。地域住民の生活にとって、また地域の一体的振興をはか
るうえでも、交通アクセスの整備はシビルミニマムの要求である。

 また21世紀は地方分権の時代だ。私は分権の受け皿として、九州の各県の県境を
取っ払い、連合してひとつの州をつくる「九州府構想」を唱えている。それには、人
、物、情報が九州内で円滑に交流するような九州を循環する高速道路や新幹線ネット
ワーク等の整備が前提である。

 そのためにも、「九州はひとつ」のスローガンのもと、行政、経済界あげて、空港
、高速道路、鉄道など、九州の交通体系整備に一層取り組んでいきたい。