「晨」2月号(平成13年2月1日発行)
「地方分権とIT革命」
大分県知事 平松守彦

 
 

   21世紀の幕が開けたが、この新世紀は地方分権時代、IT革命の時代である。地方分権推進一括法が施行され1年になろうとし、いよいよ実行の段階である。これからは、巨大な中央政府の権限と財源を地方に移して、国は通過と外交と国防等限定的なものとし、福祉、教育など他はすべて地方に任せるようにすべきである。

 
 私は、地方分権の基本は、権限の移譲つまり「分権」だけでなく財源の「分財」および人材「分人」の三つがそろってはじめて分権となると考えている。ところが市町村は今の規模では、財源も人材も不足する。また、行政課題を見ても、介護保険、廃棄物対策など広域行政が必要な分野がますます増大している。このため、地方分権を進める受け皿として、市町村合併を一層積極的に推進することが必要である。また、県も47都道府県を見直しブロックごとの道州制とすべきである。

 
 ところで地方が自立するための大きな障壁となっているのが、人、モノ、情報の東京一極集中である。ITによる変革の波はインターネットの爆発的普及等により住民生活や産業活動、地域社会などあらゆる分野に変革をもたらしている。地方においても東京と同じ情報を共有する必要がある。全国どこでもITの恩恵を受けられるよう地域間の情報通信格差の是正が重要である。

 
 このためにはまず、第1に情報通信基盤の整備が不可欠だ。情報通信基盤の整備は、民間事業者により進めていくことが原則とされており、その結果として、地域における情報格差が拡大されることが懸念される。近年光ファイバー、CATV、xDSLなどの広帯域・高速な通信回線が民間事業者により整備されているが、整備に当たってはまず、東京、大阪で、次にその他の大都市,更にその次にやっと地方の県庁所在地ということになる。ましてや過疎地域の町村まで整備されるのはいつのことか分からないというのが現状である。地方公共団体の情報通信基盤整備に対する助成措置の充実強化が望まれる。

 
 本県では、1990年に、全国に先駆けて県内同一料金でアクセスできる「豊の国情報ネットワーク」を構築し、1996年には、大分市内の病院と離島等のへき地診療所を高速回線で接続し、専門医による医療相談を行うシステムを確立した。さらに2000年度には、光ファイバーによる全県的な高速・大容量のネットワーク網の整備に着手し、まず、県と県南地域10市町村及び大野竹田地域の9市町村とを結び、医療診断、生涯学習、防災情報等各種のシステムを整備中である。このネットワークは本県における電子自治体実現のための基盤となるものであり、低コストの利用料金での通信回線として活用されることになる。

 
 第2点目として、情報活用能力の向上である。
 
 IT革命の恩恵を享受するためには、まずもって個々の人々がインターネットを自由に繰ることができるということが要請される。いかにITを自分の生活の必需品として、また企業活動に利用できるかということである。

 
このため本県では、1月から県民6万8千人を対象とするIT講習を「豊の国IT塾」、(Oita−IT・Academy)おおいたITアカデミーと名づけ、開始した。これに先駆け昨年の11月から12月にかけて、私を含め三役、各部局長が6回のIT講習を受講した。  

 
 IT革命により全国どこにいても瞬時に同じ情報を得ることができる。ITは時間と距離を克服する。また、これまでは中央からの情報を受けることが中心であったが、双方向のインターネットを使うことにより、地域独自の情報を全国、世界に発信できる。ITはあくまでも手段であって目的は住民一人ひとりがいつでもどこでも情報通信の利便を享受し、豊かさを実感できる地域社会の実現、即ち真の地方分権の確立であることを忘れてはならない。