大分農業文化公園
目指すは農業の博物館


大分県知事 平松守彦

「日経 アーキテクチュア」(日経BP社発行)
2001年6月11日号
「CLOSE UP建築・大分農業文化公園中心施設・複数の棟を一つに見せる」から

 
 農業文化公園をつくろうと考えたきっかけは、南仏・モンペリエ市の郊外にある「アグロポリス」という博物館を見学したことだ。この博物館では、古代のもみ殻や、伝統的なパンづくりの方法などを展示して、子どもたちに農業のことを伝えている。大分県も21世紀は、農、食、アジアの時代を迎える。農業のことを多くの人々に理解してもらうため、都市と農村の交流が必要だ。その拠点となる「アグロポリス」をつくろうと考えた。  
 公園は、東京ドームの25倍の広さがある。この中に、キャンプ場、市民貸し出し農園、薬草園、ハーブ園などを設けている。公園の中心施設となる建物には、様々な機能がある。研修棟や展示ホールには勉強したい人々が集まり、テナント棟には一村一品運動でつくった各地の特産品を持ち寄る。農業の魅力を若い人たちに見せて「ひとつ、おれも農業をやってみよう」と、農業の就労意欲を高める狙いがある。  
 国際日本文化研究センターの川勝平太教授が、この公園を「古代人があこがれたアルカディア(桃源郷)」と新聞のコラムに書いてくださった。施設の中から公園を見ると、ダム湖と山並みが借景となって、確かに桃源郷のよに見える。建物の軒も高くて気持ちいい。素材は金属だけど不思議とうまくマッチしている。  
 こうした自然との関係が、洗練された自然との付き合い方だと思う。湯布院の温泉などもそうだが、風呂から庭を眺めると、ススキが植わっていて、その先に月が見えて、タヌキが出てきたりする。あるがままの自然を見せている。だが、部屋の中はベッドに洋式トイレと、今の快適な暮らしにあわせている。建物の側にいる人には、手が込んでいることを感じさせない。流行のテーマパークのように、狭いところでこちょこちょしていない。この建物は、だだっ広いことがとりえで、凝った細工をしていないところがいい。(談)

大分農業文化公園へ