『時事評論』 2001年11月10日 2001・11月号  より

道州制が国を変える
大分県知事 平松守彦


 今、全国市町村で合併論議がヒートアップしている。小泉構造改革の目標は「官から民へ、中央から地方へ」。だが、現状では地方分権の受け皿となる市町村の規模は小さく、財源の大部分は地方交付税と補助金。少子高齢化で人口が1,000人にも満たないところもある。
 そこでクローズアップしてきたのが市町村合併だ。全国243地域で研究会が立ち上げられ、参加市町村も1,247団体と全国の4割に迫る勢いだ。大分県でも58市町村の8割を超える49市町村が参加し、14ブロック案をたたき台にして議論が進んでいる。
 だが私は、市町村合併と並んで道州制への移行なくして、地方の真の自立はできないと考えている。
 地方分権は権限を中央から地方に移すことだけではない。自主財源を持ち、地域のことを自らの判断で行えるようにすることこそ真の地方分権だ。分権と並んで「分財」が必要である。現在の税制では国と地方の税収配分は6対4だが、支出べースでは国4、地方6と逆転する。何故か。国税の一定割合が交付税として地方に交付されたり、各省からは補助金が支出されたりするためだ。国の予算編成時期ともなると各県知事が上京して予算獲得に奔走する。その成績で知事の力量が評価されるため、地元国会議員を巻き込んだ激しい予算分捕り合戦が毎年、霞が関で展開される。これでは地方の自立はない。
 そのためドイツの共同税のように、まず地方が国税、地方税をまとめて徴収し、国に一定部分を上納し、残りを知事が住民と優先度をつけて予算配分をしたらよい。現状では東京都を除き道府県内の税収で支出をまかなえるところはない。一案として全国を8つのブロックに分け、九州であれぱ九州府を置いて国の出先機関や8県を一つにまとめる。当分は全国8ブロック間の収支を若干調整する必要があるが、将来はそれぞれのブロックが自立する。地域が豊かになれば減税が行われ、事業の実施に当たっては行政の説明責任に基づく十分な情報公開の下で、事業の優先度が住民の意思で決められる。
 これが新しい地方行政の姿であり、小泉さんが構造改革で志向する新しい国のありようではないだろうか。