『時事評論』 2002年1月10日 2002・1月号  より

”LOVE&BUY 商店街”
大分県知事 平松守彦


 今年の流行語大賞は小泉首相の「聖域なき構造改革」。「米百俵」「恐れず、ひるまず、とらわれず」も入った。まさに「流行語宰相」だ。
 だが、道路公団の民営化などは行財政改革であり、国民が切望する景気回復には直接結びつかない。むしろ景気は底割れし、米国テロ以降、海外旅行も急速にしぼみ、歳末商戦を控え、とくに過疎地域の商店街から聞こえるのは悲鳴ばかり。「小泉デフレ」も陰の流行語であることをご存じか。
 「プロシューマー」という言葉がある。アルビン・トフラーが「第三の波」で使った造語だ。「生産者=プロデューサー」と「消費者=コンシューマー」を合わせ、生産者は同時に消費者ということだ。中小企業の社長は製品を作る生産者であると同時に消費者だ。商店経営者も商品を販売すると同時に、商品を買う。景気回復のための財政支出はもはや限界で、民間設備投資も大幅減。そこで頼りは世界有数の貯蓄率のみだ。国民一人ひとりが財布の紐をゆるめて消費の拡大を図るしかない。プロシューマーである中小企業者は政府に対策を要望するだけでなく、自ら消費者として商店街で買い物をするといった自助努力をやってもらいたい。
 大分県ではこの年末に〃LOVE&BUY商店街〃運動を呼びかけている。まず”隗(かい)より始めよ”で、県職員が地元商店街で買い物をすることを呼びかけた。私も商店街で孫のCDや散歩用のスニーカーを買う。小泉改革がいくら進展しても商店街に春は来ない。景気回復のためには、国民一人ひとりが貯蓄から消費にカネを回し、GDPの過半を占める個人消費を拡大する努力が必要だ。
 かつてオイルショックで一人の消費者の行動が連鎖反応して全国でトイレットペーパー騒ぎを引き起こしたことがある。たとえ小さな消費支出運動でも大きな消費回復の波となり、景気の自律的な回復につながることがあり得る。この歳末は全国の市町村、県の職員、銀行員、中小企業経営者はこぞって商店街で買い物をしよう。小泉総理をはじめ閣僚の方々、また、中央官庁に勤める官僚の皆さんも”LOVE&BUY商店街〃運動に率先して参加していただきたい。
 景気をわれわれの力で呼び戻そう。