『毎日新聞』 2003年6月18日号より連載・全27回
2003年8月6日号<24>

地域の自立戦略【24】
「地方分権」

〜税体系の見直しから〜

前大分県知事 平松守彦


 先に地方分権には「分権」「分財」「分人」の三本柱があると言った。簡単に説
明したい。

 まず分権(権限移譲)だが、国と地方の役割分担を見直し、国の役割は外交、防
衛、通貨に限定し、住民に直結する事務は地方に任せるため権限と財源の再配分を
行う、これが原則だ。

 これまで地方の行財政能力の弱さが指摘されてきたが、大分県は95年から県の権
限を市町村に移譲してきた。3年間で24事務。項目にして343だ。安心院町のグリー
ンツーリズムなど規制緩和の効果は表れた。更に同年、当時導入された広域連合制
度を活用し、全国で初の大野郡(8町村)広域連合もスタートさせた。この流れが
99年の地方分権一括法へと進み、現在「平成の大合併」が進行中である。

 私は将来、県制度も廃止し、全国を七つのブロックに分けるべきだと考えていた。
九州は8県で「九州府」。いわば廃藩置県ならぬ「廃県置州」だ。トップは九州府
知事。人口1500万人、GDP(国内総生産)はオランダ並み、石原慎太郎東京都知事
を抜いて全国一の知事となる。何も全国一斉に道州制に移行する必要はない。一国
二制度で九州から始めればよい。知事在任中に、各県の知事にこの「九州府」構想
を明かしたが、幾人から賛同を得た。

 次いで分財(財源移譲)。地方分権を実質的に機能させるには、現行税制を地方
が自立できるような制度に変える必要がある。国が地方に金を回す「三割自治」で
は、地方の生殺与奪は国の思うがままである。

 九州府が実現したと想定した場合、現行税制では税収は8兆1000億円、歳出は9兆
8000億円(95年)で赤字である。このままなら増税か、行政サービスの低下が問題
になる。

 税体系を根本的に考えなければならない。注目すべきはドイツで連邦、州、市町
村が平等かつ安定的な財源確保を可能とする租税体系を作り上げていることだ。
ドイツ税制の特徴として共同税がある。売上税、所得税、法人税(租税総額の70%)
が中心だが、これについては日本の地方交付税とは逆に、州が徴収し、一定割合を
連邦に交付していることだ。まだ他にも参考となる税制を行っており、研究する必
要があると思っている。


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