『毎日新聞』 2003年6月25日号より連載・全25回
2003年7月16日号<12>

地域の自立戦略【12】
「アジア九州経済圏構想」

〜九州を「地域国家」に〜

前大分県知事 平松守彦


 「21世紀はアジアの世紀」とよくいわれていますね。90年代に入って、台
湾や韓国などが高度背長軌道に乗り、シンガポール、香港の1人辺りの所得
は2万ドルを超え、イギリスなどを上回っている。東アジアのGNP(国民総生
産)は将来、ヨーロッパを上回り、アメリカの2倍になるなんて言われるが、
案外的外れではない、と思うんだよ。

 アジアは世界の成長センターなのは間違いないんだから。それで、ローカ
ル外交を始めてから、ずっと温めていた構想がある。それはヨーロッパを統
合したEU(欧州連合)と同じような、AU(アジア連合)。これが実現す
ればアジアのみならず、世界経済にとっても素晴らしいことになると思う。

 私は、このAUへの第1歩、布石として、九州を一つのリージョン・ステ
ート(地域国家)として考え、そこでアジアの各地域との間で経済・文化交
流を進め、九州アジア経済圏を構築しようというプランを描いた。

 当時としては壮大なプランで実現できるのか、との批判もあったと思う。
しかし、94年九州各県知事、アジア10カ国、21地域の首相が参加して大分県
別府市で開いた「第1回アジア九州地域交流サミット」が大成功で、昨年
(02年)のカンボジア・サミットまで、フィリピン・マニラ市、中国。南京
市、福岡市などで8回も開くことが出来た。この地域交流サミットの成功に
AUの萌芽を見ることができる。

 この各回ごとのサミットの内容については、後で詳しく述べるとして、
まずはなぜ「アジア九州経済圏構想」が必要なのか、だ。

 日本の地図で見ると、九州は日本列島の南端にある。東京が日本の中
心で九州は外縁部にあると考えるのは錯覚だ。

 地図をひっくり返して見てみましょう。九州-朝鮮半島-中国大陸-イン
ドシナ半島-フィリピン-台湾-沖縄を結ぶ環東シナ海経済圏の要の地点に
九州があることがわかる。

 この経済圏で形成する国々の人口伸び率は47.7%、GDP(国内総生
産)の成長率は5.8%でいずれも世界でトップ。まさに21世紀はこの地域
が世界経済の成長センターになることを確信している。


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