三 行財政改革の進め方

 1 スリムな行政制度の確立に向けて

 第二番目に考えなければならないことは、財政事情が厳しくなるわけですから、これからはスリムな政府、スリムな行政制度をめざして努力しなければならないということです。人員を抑制し、県債も減らしていく。今度の予算においても、県債は五・四%減らし、この中で重点的に公共投資をして、また、県都大分市に一極集中でなく、各市町村にも公共投資がバランスよく行くような考え方で予算を執行していくことは当然です。政府でも一府十二省庁を進めていますが、これからできる総務庁の中に今までの自治省とか郵政省が入るとか、建設省と運輸省と国土庁が一緒になって国土交通省になるとか、どうも役所を足したり引いたりしているような感じがします。これで本当に政府の公務員数が減るのか、また、各機関は簡素化されるのか、県民、国民の期待はそこにあるわけですが、これがまだはっきり見えないところがあります。
 大分県でも、「行政改革推進会議」を設置して、定員の抑制、機構の整理統合を行ってきましたが、今年度から外郭団体、県出資の公社などの整理統合も進めていきたいと考えています。

 2 地方分権の推進が先決

 政府の行政機構改革の実を上げるのには地方分権しかありません。国はなるべくその権限を地方に任せる。国が道路から港湾から、農業から福祉から、すべてをやっていくということになると、ますますお金がかかるし、やり方が効率的でなくなる。地方のことは地方に任せていくというやり方が一番良いのではないかと思います。現実には、ある程度権限の委譲が進み、財源の一部も委譲しつつあります。しかしそれに必要な人員を地方自治体が増やしていくということになれば、これまた行政改革に逆行することになります。国の権限が県に委譲され、県の権限を市町村に渡す。今度は市町村はそれに必要な人員を増やす。それだけの分を国と県が減らさなければなりませんが、これがなかなか難しいということになると、地方分権が進めば進むほどそれだけ機構・人員が拡大していく。これでは分権の意味がありません。ですから行政改革の一環として地方分権をどう進めるかというのが、これから私どもに課せられた大きな問題です。
 私は地方分権には、分権、分財、分人の三つが重要だと申し上げてきました。これがそろわなければ本当の自立した行政はできません。地方分権の基本は、その地域で上がった税金でその地域のサービスを賄うということです。これが地方自治の原則です。大分県なら大分県で、県下から上がる国税、地方税を全部集めて、その範囲内で福祉サービスをやったり、道路をつくったり、農業政策を実行するということが、本当の地方分権の姿ですが、大分県だけでそんなことはやれない。従ってある程度、広い行政範囲でないとできません。私の考えでは、九州は一本になって、九州で上がるすべての税金で九州各県全部の行政サービスをするという方式を取らざるを得ないと思います。しかし、今九州が独立したとしてもとても税金で支出全部を賄うことはできず、一兆円程度赤字となります。それに対し、関八州といわれる東京、千葉、茨城、群馬、栃木、埼玉、神奈川の各県であがる国税、地方税で、財政支出を賄うということになれば、二十兆円くらいの黒字になります。
 従って今、日本を道州制にして完全な地方分権にしますと、九州地域においては、住民税などの税金を上げなければなりません。反対に関東ブロックでは税金が下がることになります。ちょうど国鉄を分割してJRにしましたが、その結果、JR九州は赤字になって料金を上げることになり、JR東日本は料金を下げることができたのと同じことです。どうしても九州はインフラ整備が弱いわけですから、企業にしても人間にしても、東京なと大都会に集まって若者はなかなか地方に定住しようとしない。従って税収は落ちてくるということで、全体を独立採算制にすることは難しい。完全な地方分権をするとすれば、その前に交通体制をはじめ社会のインフラストラクチャーの整備を必ず先行させることが必要です。そしてイコールフィッティング(平等)の上に地方分権を行わないと、いつまで経っても本当の分権国家は成立しないことになる。このように考えますと、これから地方の首長に課せられた大きい宿題は、地方分権・行政改革に備えていかに急速にインフラを整備するかということになります。また県や市町村の行政単位を拡大化して分権・分財・分人の三条件の基盤を整えるかということです。

 3 介護保険等の広域処理

 介護保険制度が平成十二年から実施されますが、各市町村で介護保険サービスの認定をするということになると、小さな町と財政がある程度ゆとりのある町とその取り扱いに差が出る恐れがあります。介護認定の業務が、ある町は緩やかであり、ある町では非常にシビアになるというように、福祉にばらつきができると大変なことになりますから、少なくともこれは平等に処理ができる体制を考えなければなりません。そのためには、市町村がある程度、広域圏を組んでその中で共同して処理できるようなやり方を考えないと介護保険制度の円滑な施行はで きないのではないか。この意味から、また、地方分権を進めるためにも、行政の広域化を図っていき、九州全体を連合体にしていかないと、分権はできない。大分県では、大野郡が広域連合制度第一号として発足しました。これから学校の統廃合や、どこかに文化施設をつくるといった場合、全部の町や村に皆同じような文化施設をつくるのは非効率ですから、広域圏の中で一つつくっていく。そのためにはみんながスムーズに交流できるように、地域内の道路を良くしていかなければなりません。また、福祉の面でも、特別養護老人ホームは全部の市町村にくるわけにいきません。みんな自分の生まれたところで死にたいでしょうが、自分の住む町村に全部特養ホームをつくってくれといってもそれはできない相談です。だからある程度まとまったところでつくる以外にありません。しかし、特養ホームのない地域の人も通うのに便利なような地域内の道路整備や体制を整えることが必要です。そのため、広域連合をした地域に対しては、県が一億円上乗せする制度を創設して道路設備を進めているところです。
 要は、行政の広域化を積極的に進めながら、交通体系はじめ社会資本の整備を早急に進め、地方分権の受け皿づくりと行政改革・行政の効率化を推進していかなければならないと考えているところです。各市町村長さんにも広域連合に向けての取り組みをよろしくお願いします。

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