21世紀フォーラム議事録

 以下は、コアラ電子会議システム(coara.or.jp)の A050B10/94別府湾会議メイン/94BBC 会議室 に掲載されているフォーラムの議事録類(発言63番)です。  コアラの中は、ネットワーク論が盛んで、過去の貴重な電子会議が保存されています。  コアラの通信logの形態でお見せしますね。読まれて下さい。

発言0063(00004-尾野 徹 -TOORU )94-04-18 03:10* 56回*レスポンス10個 583字(文字 ):21世紀フォーラム IN SHINAGAWA ----本発言には関連発言が 1個あります。

えー、少し全体の話からはずれるかもしれませんが、せっかくいただいたデータなのでア ップしておきます。  先週、フロッピーを送ってきて下さいましたが、少々長いので、レスポンスでいくつか にわけてアップします。  テキトーに読み飛ばすなり、お願いします。

 昨年(1993年)の11月26日、松下電器の品川で行われたフォーラムの記録です。  21世紀フォーラム IN SHINAGAWA 「ここから未来ーハイパーネットワーク化がもたらす産業・社会の変容」 コーディネータが北矢行男さん、  パネラーは、浜野保樹さん、         富沢木実さん、        三浦さん(松下の方)        そして、私。 ---発言者(00004-尾野 徹 -TOORU )発言0063 終り---

@レスポンス 001(00004-尾野 徹 -TOORU )94-04-18 03:13* 51回 14247字:●北矢  本日のシンポジウムに際し、最初に簡単に私の方から問題 --------- ●北矢  本日のシンポジウムに際し、最初に簡単に私の方から問題提起をさせて頂いた 後、パネリストの皆様それぞれのお立場からまた問題提起をして頂き、議論に入りたいと 思います。  今日の日本の経済は、非常に深刻な不況の真っ只中にあって、大きな曲がり角に来てい るように思われます。当初はエコノミストの人達を中心に、単なる景気循環の立場とか、 あるいはバブルの調整過程というようなとらえ方が多かったのですが、今では根本的な、 構造的な問題であるという認識が強まっていると思います。  私も今日の経済の状況が、構造的な問題である限り、やはり簡単には克服出来ないので はないかと考えます。GNPの6割を消費者支出が占めている訳ですから、消費者の側面 から考えましても、以下に述べる5つ位の要因でやはり克服が相当難しいと思います。  1つは、先行きに対する不安が非常に大きい為に、当面はボーナスカットとか、残業カ ットとか、あるいは年齢と共に給料が上がらない、といった現象が出て来るでしょうし、 中期的には、雇用調整や失業の不安が現実に出て来るでしょう。長期的には、年金がちゃ んと貰えて、本当に老後生活出来るのだろうかといった不安があり、このような先行きに 対する不安が、消費を抑制していると思います。  それから2番目に、今日の商品とかサービスを前提とする限り、あまり買いたい物とか 欲しい物がない、ということが現実に起きている。本当の意味で生活に密着した、新しい 商品・サービスを提供出来るかどうかが問われていると思います。  3番目の問題は、特に大都市圏では、住居が狭いということもあって、家の中に物を置 くスペースが不足しているということです。仮にJリーグの試合をワイドテレビで見たい と思っても、住宅がワイドでない為に買えない、といったことが起きている。  4番目に考えられる問題は、バブルを通じて家計のストック化が高まったために、土地 が下がって行くといった資産のディスインフレ化がずっと続くようなことになりますと、 当然これが消費の抑制をもたらす、といったことであります。  そして5番目が一番重要なのですが、どうやら日本はある種の成熟した消費社会に向か いつつあって、シンプルライフということを基調とするような、新しいトレンドが出始め ている。  以上1番から5番のような不況原因を、本当に克服出来るのか、といったことが、今問 われているのだと思います。  また、供給者側と言いますか、企業側の条件を考え合わせても、やはり5つ位の構造的 な不況要因があると思います。  1つは、これまで日本を引っ張ってきたリーディング産業である自動車とか家電とかエ レクトロニクがある種の成熟化を遂げ、しかも円高の傾向の中で、急速に海外生産シフト を強めているということが挙げられます。  2番目は、戦後、日本の企業の強さの大きな裏付けになっていた資本コストの低さとい う条件が現在は崩壊し、薄利多売といったことは、これからはとても許されない現状にな っているということです。株式市場でも投資に見合った収益を求める声が、特に海外の機 関投資家から強くなっており、配当性向を高めるということも求められることになります 。  今まではキャピタルゲイン狙いということで、配当が低くても皆我慢していた訳ですが 、中長期的に株式市場がGNPに比例してしか伸びないということになれば、その配当に 関する非常に厳しい要求が出て来て、きっちり経営をして収益を上げることが求められる だろうと思います。  ですから安いコストで資本を調達し、それで設備投資をして、シェアを高め、また安い コストでどんどん設備を拡大して行くといったような企業の成長循環サイクルが断ち切れ たといった状況になったのだろうと思います。  3番目は、緊急避難的なコスト削減活動、広告費、交通費、交際費、さらには研究開発 とか教育研修費まで含めて、企業は一斉に削減活動に入っていますから、そのことが非常 に景気に大きく影響していると思います。  4番目ですが、戦後の日本を支えて来た肝心の金融システムが少しぐらついていること が景気に影響を及ぼしていると考えられます。  5番目には日本的経営とよく言われる、これまで強みを発揮して来た仲間意識に基づく 経営システムが、機能不全に陥っていることが挙げられます。  このように、消費者側の条件、供給者の条件、両方から考えましても、現在の状況は、 簡単に克服出来るようなものではない、と思います。  このような転換期としての厳しい状況の中で、一方でアメリカのインターネットを中心 に、段々と社会全体のハイパーネットワーク化ということが進んで来ております。そして 、こういう新しい、情報インフラストラクチャの整備を核とした取り組み、あるいはこう いう取り組みを上手く生かすことによって、これから大きな新しい産業社会、あるいは市 民生活のあり方が創出出来る、そういう可能性があると考えられる訳です。  例えば家庭のテレビが、よく言われるように電話とコンピュータと一体化したデジタル テレビになって、企業や家庭、あるいは家庭同士が接続されるということになれば、顧客 参画型の開発、生産、流通、あるいはリサイクルシステムというようなことが、展望され ます。  これまで企業は、自らの枠組で、自分の都合で一方的に生産した商品を、大量な宣伝告 知をすることによって、一方的に売って来ました。そのことが今、逆に制約条件になって おり、そういった意味で、新たな顧客参画型の開発、生産、流通、あるいはリサイクルシ ステムといったようなことが展望される、ということも、ハイパーネットワーク化の流れ と密接、不可分だろうと思います。  あるいは最近企業そのものがバーチャルコーポレーションと言いますか、仮想企業体と いったようなコンセプトが出て来ています。これまでの企業のビジネスのやり方というの は、自分たちのビジネスの展開を通じて、内部に経営資源を蓄積し、そういう経営資源の 蓄積を背景に、ノウハウをてこにして、色々なビジネスに進出して行きました。つまり、 自前で物事を進めて行く、ということがベースだった訳です。  これからはそれぞれの企業が、もっとも得意なことに集中すること、つまり、オンリー ワンを目指すという活動が中心になって来て、弱い部分は相互補完関係の中で物事を進め て行けば良いといった方向になって来る。そういうことが、コンピュータネットワークと いう新しいインフラの上では、日常的な形で、あたかも1つの企業体のごとく動いて行く のがバーチャルコーポレーションのコンセプトであります。  実際に、具体的な動きも出ています。最近のIBMとモトローラの、RISC(縮小命 令セットコンピュータ)型マイクロプロセッサーのパワーPCの開発も、バーチャルコー ポレーション的な活動だというように言われておりますし、アップルとソニーが提携して 、パワーブックを作ったというのも、そういう活動の一種だと言われています。  これは後で詳しく、浜野先生からお話をして頂けると思います、インターネット(世界 の152カ国に拡がるネットワーク、約180万台のホストコンピュータが接続、1000万人の人 達がアクセス)というネットワークのネットワークと言いますか、グローバルブレインと 言われるような基盤が拡大しつつあります。そこでは、例えばアメリカのパッケージソフ トの会社が、ソ連のコンピュータ科学者にインターネットを通じて日常的にコンタクトを 取り仕事を進めて行く、といったことや、インターネット上に、バーチャルコーポレーシ ョンと言われるような会社が出来て来る、といった全く今までは考えられなかったような 事態が、もう既にどんどん出て来ているという訳であります。  地域の側から考えましても、これまでは東京一極集中を嘆くばかりで、地域産業を起こ す具体的な手がかりがつかめず、地域が主体的にことを進めて行きにくい、という状況が あったと思います。しかし、こういう広がりのあるネットワークが次第に整備されて来れ ば、地域が主体的に発言し、あるいは地域の中から主体的に色々なビジネスを起こして行 くことも可能になって来る。東京のような集中した所と仮に手を組まなくても、地域間連 合の中で色々な新しい動きを起こすいうことも可能になって来る。この点については、後 で尾野さんから話をして頂けると思います。  このように色々な意味で現在の閉塞状況を突破するということと、今進行しつつあるハ イパーネットワーク化というのは密接不可分に関係しているだろう、と思うのです。  ここでは、これからのハイパーネットワーク化の進行が、産業や新しい社会にいかなる 影響を与えるのか。あるいは新たな産業社会を作り上げて行く為に、我々はむしろいかに ハイパーネットワークを活用して行くのか、ということを機軸にすえながら、4名の専門 家の方から問題提起をして頂き、議論を深めて行きたいと思います。  最初は社会の新しい情報インフラの立場ということで、浜野先生から、アメリカにおけ るハイパーネットワーク化の現状と将来、我国における情報産業社会化の問題等について 、お話し頂きます。

●浜野  ご紹介頂きました浜野です。私は最近テレビを見ている時間よりも、ネットワ ークにアクセスする時間のほうが確実に長くなりました。皆さま方の中でインターネット にアクセスされたことのある方は、まだ少ないと思いますので、インターネットについて 少し説明させて頂きます。  インターネットというのは個別に独立して存在するネットワークを繋ぐネットワークで す。先程北矢先生が言われたように、ネットワークのネットワークであります。ですから インターネットというネットワークそのものはない訳です。個別に独立的に存在している ものを繋いでいるのでアミーバ的に増えて行っています。現在毎月20%ずつの加入者が増 えてまして、2000年までには地球全人口の数よりも、ユーザー数が増えるという逆転現象 が起こるのではないかと言われる程、激しく増えております。将来的にはマスメディアと か、パーソナルメディアの電話が、全部そういったネットワークの1つのサービス、機能 、ファンクションになってしまうのではないかという意見もある位です。  このインターネットの勢力が、どういった所に影響を及ぼしているか、と言うことを示 す、こんなお話があります。最近、「ワイヤード」という雑誌に「ジュラシックパーク」 の原作者(マイケル・クライトン。現在、2作目「ライジングサン」も映画上映中)が「 メディアザウルス」という講演録を載せました。これは非常に面白い講演録で、その内容 は、要するに今のマスメディアは恐竜のごとくになっている、と言うのであります。  なぜ恐竜かと言うと、そこに非常に面白い比喩がある訳です。かつての恐竜は死に絶え て、化石燃料になって、新しい我々にエネルギーを与えてくれた訳ですが、そういった意 味でマスメディアは死に絶えて、今後のメディアの化石燃料になる、と比喩しているので す。ですから「現在のマスメディアは、明日の化石燃料である」という副題までがその講 演録には付いています。  要するにマスメディアは死に絶えて、これから出て来る新しいネットワークの化石燃料 に過ぎないのだということであります。特にマスメディアは、10年後に死に絶えるとまで 言っているのです。マスメディアはインターネットみたいなものの、化石燃料なんだと。 恐竜は、あまりにも体が肥大化し過ぎて、激しい環境変化に耐えきれずに、数万年も彼ら は文明を持っていたにもかかわらず、死に絶えてしまったようにマスメディアも死に絶え ると。現在ソ連が崩壊して、自民党も分裂しました。あれも恐竜化の現れだと思うのです が、全てのものにそういう恐竜化現象が出ている。マスメディアもその恐竜化現象の1つ であって、化石燃料を生かしながら、新しいネットワークは生まれて来るのだと、そうい う演説をジュラシックパークの作者は、アメリカのナショナルプレスクラブで行ったので す。私も同感であります。  こういった大変ラジカルな意見が出る背景には、非常にリアルな現実がある訳です。そ れはもう言うまでもなく、昨日おそらく月尾先生がおっしゃったと思いますが、ゴア(ア メリカ合衆国副大統領)が進めている情報のスーパーハイウェイ構想であります。  情報のスーパーハイウェイ構想というのは、日本から見るとただ高速の回線を引くだけ のように思われがちですが、実はあれは違う見方をすると、新しい国土を造っているので す。サイバースペースという言葉があります。これはネットワークで1つのスペースが、 新しい仮想の空間が出来るという意味であります。  先程北矢先生が言われたように、そのサイバースペースの中に会社を作り、サイバース ペースの中で、日本ではネットワークパブリッシングとか、ネットワークキャスティング と、出版事業とか放送事業が始まっている訳です。アメリカでは、サイバーキャスティン グとかサイバーパブリッシングという言葉で呼ばれています。  アメリカでは、既にゴアがどんどん新しい国土を広げて、サイバースペース上のエンク ロージャー、囲い込みさえも起こっています。ネットワークの速度が速まり、記憶容量が 増えるということは、実は国土が広がることなのです。その国土が持てなかった国は、お そらくたぶん21世紀の文明からは消えざるを得ないのではないか。そういった新しいフロ ンティアを作りながら、新しいビジネスを作って行くというアプローチが、ゴア構想の本 当の意味だと思います。  それではゴアの進めてるプロジェクトのイメージビデオがありますので、少しそれを見 て頂きたいと思います。        (ビデオ上映)  この領土拡張戦争に負けた国は、新しいビジネスは出来ない訳です。その次のビデオを お願い致します。   (ビデオ上映)  これまでの地図に引いた紙の上の国境みたいなものは、これまでのアナログの時代のビ ジネスには有効でありましたが、新しい領土であるサイバースペースの中でビジネスをす る際には、何の意味もない訳です。  例えば私の経験で言いますと、航空機のチケットをインターネットの中に入ったチケッ トサービスで買う訳です。インターネットの中では、一番安いチケットを、世界中のコン ピュータを捜し回って、安い順番からランキングしてくれるソフトウェアが無料で提供さ れているのです。  ですからそんなものがあれば、旅行代理店なんていうものは存在し得なくなってしまう 訳です。代理店というのは、もともとは非常にやりづらいことを肩代わりしてくれる所で すが、既に私はインターネット経由で、100万あまりのコンピュータでアシストされてい る訳ですから、私にとっては代理店が要らない訳です。今後、一番始めにこういったネッ トワークの社会で起こるのは、エージェントと付く会社が全て駄目になって行くだろう、 と私は考えます。広告代理店にしろ、旅行代理店にしろ、出版社も1つのエージェントな のですが、そういったものがどんどん衰退して行かざるを得ないだろうと思うのです。化 石化する、化石燃料になるしかないと思うのです。そういった形で、私達の社会は非常に 大きな構造変化が起こっています。  それでサイバースペースという新しい領土は、情報しか意味のないビジネススペースな のです。その中でデジタルの革命と、これまでに述べたような非常に高速のネットワーク とが結び付くとどうなるかと言いますと、これまでのアナログの世界では、情報の種類ご とにハードがあり、企業、産業界がぶら下がっていたのですが、それが、全部0、1で  基本的にはコンピュータで全て扱われますから、情報の種類、文字とか映像とかが全部継 ぎ目なくシームレスに扱えることになって、産業界もシームレスになってしまうのであり ます。誰でもが産業を行なえるようになる訳ですから、誰にもチャンスがあり、誰でも負 けるという状況が出て来ます。特にこれまでのマスメディアは、恐竜化して化石燃料にな ろうとしていますので、マスメディアのほうが危ないということが言えると思うのです。  そういった意味では、インターネットが果して、こういったゴアが進めてるような形で 、非常に強力な形で推進されるかどうかということは、非常に危うい訳です。インターネ ットのいちばん標準的な「インターネットコンパニオン」というハンドブックの前書きを 書いている、要するにパソコン通信のハンドブックの前書きを書いているのがゴアなので す。  そういったことで、アメリカには情報とか、新しいサイバースペースという領土が、本 当にビジネスとか政治的なイシューである、ということが分かる政治家が居る訳です。そ れも副大統領として居る訳です。今後そういった、本当に全くドラマチックに変わる、産 業構造も全て変換するそういった認識を持って、新しいビジョンの中で求心力を持ちなが ら進めて行く、そういった事柄というのは非常に大切で、果してそれが今、日本で本当に 真剣に議論されているのかどうかは疑問であります。  マスメディアが化石燃料になるのは、私は構わないと思うのです。それは歴史の必然で すから、そうなるしかないと思います。しかし、私が一番心配しているのは、このままで は日本が化石燃料になるのではないか、ということであります。 --レスポンス者(00004-尾野 徹 -TOORU )発言0063@レスポンス001-010 終り--

@レスポンス 002(00004-尾野 徹 -TOORU )94-04-18 03:14* 49回 12433字:●北矢  有り難うございました。非常に過激な問題を提供して頂き -------

●北矢  有り難うございました。非常に過激な問題を提供して頂きましたので、後でま た議論をしたいと思います。続けて尾野さんから、地域、あるいは市民生活の立場で問題 喚起をして頂きます。日本のパソコン通信がここまで普及してくるのには、大分の「CO ARA」という、地域パソコン通信の果たした役割が非常に大きいと思いますので、その 辺りの経験を踏まえたお話をして頂きたいと思います。

●尾野  大分の尾野です。浜野さんが世界の話をされた後で、急に地方というか、地域 の中でも特に東京から遠い地方の話をする訳ですから、その落差が大き過ぎて、私もどう いうように話そうか、悩んでいるのですが・・・(笑い)。  ハイパーネットワークということ、あるいはハイパーネットワーク化ということには、 色々な意味があると思うのですが、現在はその中身を詰めている最中だと私は思います。  1つには、単純に言うならば未来のネットワーク、未来のコンピュータネットワークと いう意味もあるでしょうし、もう1つは、人間関係そのものが、新しいネットワーク関係 に変わって行くということでしょうね。ヒューマンネットワークとでも言うのでしょうか 。  そういったことがコンピュータネットワークに裏打ちされ、新しいハイパーネットワー ク社会を作って行く。こういった発想だと思うのです。  大分という所は、かなり東京から離れておりますから、東京から離れている地方の悲哀 を常に感じて来ている訳ですね。「東京一極集中」この言葉がいつも頭の中にあります。  「大分県」と言って即座に皆様の頭に浮かぶのは、おそらく平松守彦という大分県知事 でしょう。彼は「一村一品運動」をやっておりますが、この発想が常に大分の中にはあり ます。従って何事をするにしても、「東京一極集中に対して、私たちはどうやって楽しく 地方を面白くして見せるか」といった考え方で物事を進めて行くのです。  たまたまそういった地域社会を作る為に、情報通信を使って考えてみてはどうか、とい うことで「COARA」は今から8年程前の1985年に設立されたのです。  その当時色々な紆余曲折がありましたが、結果的には地域社会の中に社会インフラとし てのパソコン通信ネットワーク、コンピュータネットワークを整備して行こう、というこ とで作られたのです。その時から既に「COARA」は社会インフラ化を一応目指して来 た訳ですね。  設立後色々な問題が出て来まして、それでも一個一個クリアして行くうちに、「なるほ どな、もし未来の地域社会がコンピュータネットワークで裏打ちされたものになって来る と、たぶんこういったことが見受けられるんだろうな」というような事例が、幾つも8年 の間に出て来ました。本日はそのことも少しお話しておきたいと思います。  松下さんも「シルクネット」というパソコン通信ネットワークをやっておられますが、 これは企業のネットワークです。それに対し「COARA」は地域社会の社会インフラ的 なネットワークです。両者の違いは、「COARA」の方が、社会インフラ化を目指して いる為、何となくやはり中立的で企業色がない、ということだと思うのです。ある意味で 言えば、利益を代表する団体からも等距離であるというような考え方ですね。  例えば地域社会の中で、ある企業が「我社がパソコン通信をやる」と言えば、敵対する 企業も「我社もやる」と言うに決まっています。また、あるメーカーがやると言えば、他 のメーカーもやるに決まっています。そうすると、お互いが引っ張り合いをしてしまいま すから、残念ながら地域はそれほど情報マインドが整っていないので、それらの足の引っ 張り合いで互いに潰れてしまう。こういったことが、全国で実は起こっているように見え ます。  私達が始めた頃は、まだパソコン通信という言葉さえなかったのですが、そういったこ とが多分に予見されましたので、出来るだけ全ての団体から等距離で活動して行こうと考 えました。マスメディアのグループからも、メーカーからも、そして県、または行政など からも中立であろうとしました。しかし行政の力は若干借りはしましたが・・・。  そういう訳で中立ですから、色々な方々が「COARA」には参加出来るようになった のです。例えば先程言いました平松守彦大分県知事も、参加し易い訳です。企業ネットに 参加するというのは、知事の立場ではとても難しいですよね。ところが中立だから「CO ARA」には参加出来る。また、国会議員の方々も参加して来ました。一人だけでなく、 複数の国会議員が参加して来るというような面白い地域社会が大分に出来てしまった訳で す。  当然そこには主婦や、会社員の方、またはOLの方など、色々な方々が参加して来ます 。そうするとその人達で構成される複合的な地域社会を、たまたま断面をスパッと切った 形で、そのまま「COARA」の中に垣間見てしまう、といったことになる訳です。例え ば高校生が平松知事に電子メールを出す、といった面白いことが起きるのです。そのメー ルの内容は「うちの家の前の最終バスがものすごく早い。8時で終わってしまう。これじ ゃ映画見てても、ゆっくり見れないんで、なんとかバス会社に交渉して遅くして下さい」 といったものなのです。そういったメールを高校生が平松知事に出す訳です。  平松知事も笑いながら、「こういった陳情事は受け付けられないけれども、とにかく云 々」という返事をすぐに返される。高校生と知事の間にも、メールのやりとりが起きるの です。または、東京の色々な方々と知事がメールのやりとりをするといったことも起きる 。  また外国の方々、例えば韓国に「COARA」メンバーがいるのですが、平松知事に「 一村一品運動がとても気に入った。韓国はセマル運動が駄目になっちゃうんで、その次に 変わる運動として一村一品運動をやりたいけど、韓国語で一村一品運動の本を訳して、あ ちこちに広報してよろしいか」といったメールを出して問い合わせるといったこともあり ます。  知事もそれに対し、許可の返事をする。そうすると、いつの間にか韓国に一村一品運動 のムードが広まって、頻繁に大分に一村一品運動の見学団が韓国からやって来る。別府温 泉ということもあって、頻繁に韓国の方々が観光地として大分に訪れるのです。  また国会議員のある方は、「永田町より愛をこめて」という名前の自分のコーナーを設 けて、湾岸戦争反対とか、消費税反対といったことに関して、一般の主婦の方と実際の議 論をしているのです。 その議論を見てみると、主婦の方々が「そんなこと言ったって、 絶対反対だ」と言えば、国会議員が「いや、湾岸戦争はこれこれこういうようなことで、 自衛隊を派遣しなければいけない」と言い切ったりしているのです。  以上述べたような、平松知事も含めて国会議員の方々と、市民生活、県民生活の方々が ダイレクトにコミュニケーション出来る、といった電子デモクラシー的な環境が「COA RA」には何となく整って来ているのですね。これも社会インフラとして、電子ネットワ ークがあるおかげだろうと思うのです。  そういったことが段々活発化して来ると、面白いことが次から次へと起こって来る。「 COARA」の会員は、半数が県外会員なのですが、半数の県外会員の方々にとって「C OARA」に頻繁にアクセスすると、大変電話代が高くつくと思うのです。この前料金が 値下がりして東京から大分まで1秒1円になりましたが、1時間通信すると3600円かかる 訳です。  大体パソコン通信なんていうものは、新聞を読むのと同じような感覚で文章を読みます よね。ですから1時間ぐらい通信するといくらぐらいになるか、ということがだいたいの 目安になるのですが、昔は1時間で8000円かかっていたのです。  そういったアクセス料金が高い所から大分に多くの方がアクセスして来られるものだか ら、大分の会員がとても心配しまして、県外の方々に大分の一村一品の産物を送ってあげ ようといったことになり、例えば麦焼酎とカボスをセットにして、送ってあげたのです。  そうしましたら県外の方々が大変驚かれ、「大分のニューメディアは一村一品が流れて 来るのか」と噂になりました。それに反応したのか、「一村一品って大分だけじゃないぜ 」ということで、例えば青森からは林檎、高知からはポンカンといったように、全国から 様々なものが集まって来るようになり、いつの間にか物々交換ネットワークにもなってし まいました。  このように、電子ネットワークで離れた所とコミュニケーションがしっかり行われて行 くと、物々交換も起こって来るのです。そして、人の往来も盛んになって行く。人の往来 が起これば、そこには当然人と人との契約が出来てきます。その契約というのは、1つは 結婚であったり、またはビジネスであったりと、様々です。  それだけでなく「何かが大分をキーにして頻繁に起こっている」ということが、電子ネ ットワーク上で見えて来るのです。  そして最後には、「どうせならば大分に住んでしまいたい。今度転勤するんだけれど、 大分に住みたいな」という話が出て来る。現実に、平松知事に「私の土地を探して下さい 」というようなことを、国際大学教授の公文俊平さんという偉い方が頼んでみたりとか・ ・・。また一般の方々でも、「今度転職することになったけど、大分に職がないか」とメ ールで問い合わせて来て、現実に転職して移り住んで来ている人もいます。これこそある 意味では、先程の浜野さんが言われた電子ネットワークの国土を拡張したことだと思うの です。  さらにもっと面白いことが起きているのです。大分出身で東京に働きに出ている方が、 とても多いですが、そういう方が段々と年を取られて来ると「Uターンしたかったんだけ ど、もう年取り過ぎちゃって、はっと気がついたら自分の息子が東京人になってしまって て、今さらUターンするぞと言えなくなっちゃった。一生俺はもう大分に帰れないや。だ けど電子ネットワークなら帰れるね」とおっしゃって、電子ネットワークで大分にアクセ スして来られるのです。こういう方々のことをオンラインUターン族と言っているのです けどね。こういった方々が、沢山増えて来る。ですから県外の人達が増えて来る訳ですね 。これこそまさしく、国土を電子ネットワーク上で拡張していったことになるのではない かと思うのです。  そういった意味も含めて、大分では電子ネットワークを物理的に広げることも考え、実 は大分県内全域に「豊の国ネットワーク」と言った市内電話料金で全部通信出来る、情報 道路を作ってしまったのです。これは約4年位前に作られました。ゴアさんの言うスーパ ーハイウェイなんかとはとても比べものになりませんが、それでも情報道路と銘打って、 大分県内に専用線を張り巡らし、大分県中のどこからでも、誰でも自由に、大分県人でな くても使える電子ネットワークインフラを作ってしまったのです。その情報道路の上に、 「COARA」のようなパソコン通信もあれば、県庁が持っている統計データベースのサ ービスもあれば、また中小企業のデータベースサービスもある訳です。  こういった情報道路インフラを、約4年前に完成してしまった。現在アメリカでは、ゴ アさんが「情報インフラを作るんだ、スーパーハイウェイを作るんだ」と一生懸命、言っ ている。余談ですが、今年の5月位でしたか、クリントン、ゴアの二人が、インターネッ ト上で個人的に電子メールを受け付ける、と発表したようです。それに対して世界中の人 達が彼らに電子メールを出して、あまりにも多い為に返事は絶対もらえない、といったこ とが明白になっているらしいのです。  しかし大分の場合ではそんなことはない。確かにスーパーハイウェイではない、超低速 のデコボコ情報道路かも知れない。だが平松知事にメールを出せば、必ず返事がもらえる 。アメリカが今やろうとしていることは、大分では大変幼稚ではあるが、4年前に一応完 成してしまった訳です。大分の県土上に電子ネットワーク社会が、出来上がっているので す。  私達はこれを大事にして行きたいし、こういった地域社会を日本の中に沢山作って行く ことが、1つの新しい日本国土になるのではないかと思うのです。  また、そういった地域社会を上手く繋いで行くことも、重要なことではないかと思いま すね。例えば、最近あちこちに地域ネットが出来ていますから、「COARA」はある程 度気心が合うグループと、実は連合を作ってしまったのです。これを電子近隣社会構想と 呼んでいます。  離れたグループと、ネットワークで頻繁にコミュニケーションをすると、遠くの人と向 こう三軒両隣のような、近隣社会のような感覚になりますよね。離れているけれど、いつ もコミュニケーションが出来ているから、「近くの親戚よりも遠くの他人?」のような感 覚で非常に気持ちが通じ合ってしまうのです。北海道と仙台と名古屋と広島と大分と富山 、東京を除いた多極型の電子ネットワークネットを作ったのです。お互いがお互いのデー タを交換し合い、例えば大分の人達が「COARA」のアクセスをすれば、北海道に書か れていることも多少分かる。北海道の人たちは、北海道のネットワークにアクセスすれば 、大分の人達と交流出来る。そういった多極型の電子ネットワークネットをNN連合(ナ ショナルネイバーフット)と呼んでおります。(93年1月1日からスタート)  これは、ともすれば東京一極集中型になりがちな、沢山の大手ネットとは違う形で、全 国ネットを作ったことになります。それぞれの地域を大事にして、特性を大事にして、お 互い同士を認め合った形の連合です。そこではとても議論が活性化して来るし、地域に自 信を持ち、自分の地域が主人公と思えるような感じで、コミュニケーションが出来る訳で すね。とても生き甲斐があるような感じになります。こうなると勇気が湧いてきて、「も っとこれを考えて行こうじゃないか」ということでNN連合の事務局同士が、どこかに集 まらずして電子ネットワーク上で色々な相談をし始めています。そうすると様々なアイデ ィアが出て来るもので、地域1つでは力が足らずに出来なかったことでも、複数の地域が 集まれば、それこそ北矢さんの言われるバーチャルカンパニーではないけれども、バーチ ャルの連合でもって、物事は開発出来るのではないかと思えるのです。 「お金を少しずつ出し合って、あるソフトウェア会社にソフトを開発させようじゃないか 」「こういったサービスをやろうじゃないか」または、「地域同士がそれぞれのものを、 多極電子ネットの中で売ったらどうだろうか。大分の一村一品、北海道の一村一品を売り ましょう」といった具合いに・・・。  また、こういったことを多極ネットの中に書けば、お互い同士が商売出来るじゃないか 、というように、新しい形のバーチャル型の電子ネットワークカンパニーといったものが 出来つつあると見受けられたりするのです。  こういった形で、新しく日本も変えて行くことが、世界(特にアメリカ)とはだいぶ差 がありますが、何か新しい形でその接点を探せるチャンスになって来るのではないか、と 思っています。 --レスポンス者(00004-尾野 徹 -TOORU )発言0063@レスポンス002-010 終り--

@レスポンス 003(00004-尾野 徹 -TOORU )94-04-18 03:15* 48回 8845字:●北矢  有り難うございました。電子ネットワークというものが、 -------

●北矢  有り難うございました。電子ネットワークというものが、地域の社会インフラ 化して行くということが、具体的にどういう意味を持つのかということを、リアリティの ある形でお話頂いたと思います。  それでは続いて富沢さんから、産業、企業に与えるインパクトと言いますか、ハイパー ネットワーク化によって産業や企業が、一体どのように変わって行くのか、といったこと について、日常的に情報化の現場を実践的に訪ね歩いておられますので、特に流通産業の ケースを中心にお話を聞かせて頂きたいと思います。

●富沢  「COARA」は非常にパワーがあって「すごい!」と思っているのですが、 私の「COARA」との係わり方は、どちらかと言うと、ネットワーク上でコミュニケー トするのではなくて、大分に来ると、おいしい「城下かれい」やフグがあるものですから 、食べ物にひかれてリアルなネットワークを続けている、というようなお付き合いをさせ て頂いています。  私に与えられました命題は、そういう楽しい仲間うちのネットワークというよりも、ビ ジネス界や産業界の情報化のお話だと思います。  高度情報社会という言葉は、20年位前から言われていますが、何か狼少年のように「高 度情報化社会がやって来る」と言われ続けていたり、「郵政省は高度情報社会で化がつく のは通産省だ」などと、未だに言い方にこだわっていたりします。  どうも我々、特に女性の立場から申し上げると、「高度情報化」という言葉にはアレル ギーみたいなものがありまして、「オタク少年のことだ」と思えたりします。よく高度情 報化の絵として、家中がモニターやキーボードだらけの絵がありますが、高度情報化とい う言葉は何か非常に冷たい感じがして、「オフィスの中にあるパソコンだらけのような部 屋では暮らしたくない」といった感覚が強くあると思います。  私は高度情報化社会というのは、本当は「アラジンの魔法のランプ」のようなものでな くてはいけないのではないか、と思うのです。  例えば旅先で疲れてたどり着きますと、ホテルが優しく迎えてくれる訳ですが、ちゃん と私の名前で予約がとれているからです。帝国ホテルさんの場合には、顧客データベース が整っていまして、特に大金持ちや各国の大使級から上のランクの人だけでなく、普通に 帝国ホテルを使われる方のデータベースが、全部出来ているそうです。  例えば、一般的には部屋には枕が2つ用意してあるのですが、特に外国のお客さんの中 には、枕が気に入らないという方が多いらしいのです。それからお花の種類を非常に気に する方が多いらしく「バラは嫌だ」とか、「この香りは嫌だ」といったように、お客さん によって好みが色々あるようです。帝国ホテルさんではそういったお客の好みまで全部デ ータベース化されているのです。つまり旅行して疲れてホテルに帰って来た時に、自分の 好みの花が飾ってあって、眠りやすい枕が置いてある、というようなことをやってらっし ゃる。  要するにそうした「気持ちよく寝られる」あるいは「心地良い部屋にいられる」といっ た笑顔とかサービスとか満足などというものの裏に、非常に優れた情報ネットワークなり 、情報システムがある、というのが本来あるべき姿なのではないでしょうか。  我々一人一人の人間が、「こういうふうにして欲しい」と思いますと、それを「魔法の ランプ」のように叶えてくれる、というのが情報社会の本来やらなければならないことの ような気がしています。  実際に我々が気がつかないけれども、身近な所でもう既に結構高度情報社会になってい るのではないか、というような気がしております。例えば、色々な所の天気予報がかなり 精度良く分かると言うのもその表れです。  手近な所では、セブンイレブンがそうです。私はセブンイレブンが好きなのですが、セ ブンイレブンに行くといつも食べたいおにぎりがあるとか、あるいは「桃金ラーメン」と か、「イカトンラーメン」とか、そういう新しい生麺タイプのラーメンがよく売れている 、といったことが目に付きます。それらについても、実は裏に非常にすごい情報ネットワ ークがあって、それが支えているのです。  これも有名な話ですが、例えばセブンイレブンさんの場合、全国に5000店位ありまして 、1日一店舗あたり平均1000人位の方が来る。そうすると合計して500万人のデータが1 日にして集まるという訳です。普通の食品メーカーさんですと、テレホンカードとか500 円位の景品を付けて、1万人規模のアンケート調査をします。1万人というのは、かなり 大きなマーケティングの調査らしいのですが、セブンイレブンさんと組んで調査すれば、 1日で500万人のデータベースが手に入る、ということになります。  セブンイレブンさんは、24時間営業でお正月もやっているということですから、食品メ ーカーさんにとってみますと、セブンイレブンさんなどのコンビニエンスストアと組まな いと、新商品開発が出来ないというようなことまで言われています。  よくこのような話をしますと、「じゃあ売れたものをどんどん追加すればいいのか」と 言われる方がいます。そうではなく、昨日売れた物が、今日売れる物かどうかは分からな い訳で、「どうも過去のデータを見てみると、例えば生麺は売れてるのに、乾麺は売れ行 きが落ちてきている。これはどうしてだろう。やっぱりみんなが、味にうるさくなってる からじゃないだろうか」といった仮説と検証を繰り返しながらやっている。つまりバイヤ ーさんの判断力、あるいはメーカーさんの開発力、それからそれを本当に仕入れるかどう かという店長の判断力、という人間がやらなければいけないことが一方ではある訳です。 ただそこで人間の判断を支えているのが、膨大な情報ネットワークであり、情報システム な訳です。  私は情報化のすごさを説明する時に、よくセブンイレブンさんの例を使って話をするの ですが、そうすると「あれはおにぎりだからできるんだ」というようなことをよく言われ るのです。しかし、他にも情報システムに支えられた面白い企業があります。  大阪に「ダン」という、靴下の卸問屋さんがあるのですが、そこは全国に「靴下屋」と いう名前の小売店をフランチャイズ展開しています。いろんな色のグラデーションで品揃 えしているような店です。靴下の生産は奈良の「ニッター」さんがやっています。「ニッ ター」さんの場合は糸の太さによって、設備が皆違うので、何社かがチームになっている のですが、問屋さんがフランチャイズの本部のようになっていまして、そこで開発したも のをフランチャイジーが売っていく訳です。  そうすると、どの靴下が売れるとゴムが何グラム使われているかとか、綿とアクリルが 何グラムずつ使われている糸かとか、そういうようなこともすぐ分かるので、糸の手配、 あるいは染料の手配まで出来るといったことで、ほとんど在庫を持たないで売れ筋を追い かけて、売上を伸ばしている企業もあります。  今アメリカでは、リエンジニアリングというのが流行りで、日本でも翻訳本が出ました ので、最近リエンジニアリングが流行っております。例えば洋服を例にとりますと、糸か ら洋服が出来てお客さんの手元に届くまでに、今66週間かかっています。これは日米共に はぼ同じなのですが、調べてみますと、例えば織物にしているとか縫っているとか、染め ているといった実際の加工に使っているのは、僅か11週間なのです。赤ん坊でも産まれる のに10月10日ですから、44週間。それに引きかえ、たかが洋服が出来るまでに、66週間、 1年以上かかっている訳です。従いまして例えば暖冬だということになった時には、もう セーターが出来上がっていますから、それを半値で売らくてはならない、というようなこ とが起き、ロスも生じるし、在庫管理費もかかるし、そのための手間もいる、というよう なことがある訳です。  アメリカの場合は、これを今情報ネットワークを上手く使って、メーカーさんと小売屋 さんが連携し、例えば小売の在庫をメーカーが見ながら、在庫を補充して行くとか、ある いはCAD/CAM等を使いながら、作り始めるまでの時間をもっと短くして、今売れて いるものを今作って行こうという動きが非常に進んでおります。  日本でも、部分的には先ほどの靴下屋さんのような形でやられている訳ですが、アメリ カの場合はそれを業界として、諸手をあげてやって行こう、というようなムードがありま す。  そしてさらに、これは日本ですが、全体の期間を縮めようとか、売れ筋商品に絞って行 こうというだけではなくて、個々のお客さんに合わせて商品作りをして行こう、というよ うなことも始まっております。  今日は、皆さんにお見せしようとわざわざ着て来たのですが、これは前橋の「伊丹編物 」さんという所で、作って頂いたニットスーツです。これは私のサイズに合わせて、画面 を見ながら色や柄を決めて型紙を作り、そのデータを読み込ませたフロッピーをコンピュ ータ制御のニット編機にかけてやると、数時間でこのスーツが出来上がるのです。特に病 院の婦長さんとか、私もそうなのですが最近お腹が出てきて、見栄をはってお店に買いに いくと9号サイズと7号サイズしかなく、ウエストの太いのがなかなか買えなくて恥ずか しい、だけどお洒落はまだしたいという、お金はあるんですけど中年だという(笑い)そ ういう人の心をくすぐりまして、大変売れているそうです。  こういったようなことが出来るようになってくると、つまりわがままとかサイズといっ た個々人に非常に合ったものを作ってもらえるのが情報化ではないかというような気がし ています。  ここで私が用意した図を一枚、見て頂きます(図1)。図の下の部分に「現在」という のがあって、上の方に「高度情報社会」と言いますか「思いを反映した社会の実現」とあ りますが、今までの技術というのは大量生産であったり、大量販売のための技術であって 、技術の方が強いのです。ブルドーザーのように、我々の生活を変えて来てしまった感じ がある。ところが情報技術というのは非常に柔らかくて、優しい訳でして、逆に優しいか らどうにでもフニャフニャ変わってくれる。ですから私の思いの通りの形にグニュッと変 わるし、また別な思いが強いとグニュッと変わるのです。  昔の技術の場合には、例えば「鉄鋼何万トン売れるとどのぐらい」とか、「道路がどれ ぐらい出来るとどれだけ」というふうな予測が出来たのですが、逆に言うと高度情報社会 というのは、予測のできない社会なのではないでしょうか。  我々の思いをどれだけ実現させて行くか。それに合わせて技術開発なり、ユーズウェア と言いますか、使い方の技術をいかに開発して行くかということで、これからの社会が出 来て行くのではないかと考えております。 --レスポンス者(00004-尾野 徹 -TOORU )発言0063@レスポンス003-010 終り--

@レスポンス 004(00004-尾野 徹 -TOORU )94-04-18 03:16* 46回 7176字:●北矢  有り難うございました。ハイパーネットワーク化というの -------

●北矢  有り難うございました。ハイパーネットワーク化というのは、「アラジンの魔 法のランプ」でなければならないし、「思い」を実現するものでなければならないという ことを、自分が着ておられる服で証明するという、非常に説得力のある話でありました。  最後に三浦さんの方から、21世紀の通信の姿とか、ネットワークのあり方といったこと について、特にこれまでテレコム技術を研究して来られた立場から、お話をして頂きたい と思います。

●三浦  松下通信の三浦と申します。技術という見地から見た21世紀の情報インフラが どうなるかということを、簡単に予測してみたいと思います。また、その際にどんな課題 があるのかということについても触れてみたいと思います。  まず21世紀と言いましても、もう7年後に訪れる訳ですが、7年後にどれだけ世の中は 変わっているものでしょうか。また7年前と現在とではどれだけ違うのかと考えてみます と、7年前もやはりここにいらっしゃる方々も、私も含め、ほとんどの人がスーツを着て 、電車に揺られて会社に通っていたのではないか。そして7年後もやはりそんなものでは ないかと思うのです。ですからそれほどには変わらない。しかし少しずつは変わって行き ます。  例えば、我社では現在フレックス制があります。一日の労働時間、一定の時間仕事をす れば、いつ出社しても良い、という形式になっていますから、電車などはラッシュを避け て通勤することができる。従いまして7年後には、それがもっと進み、おそらく在宅勤務 、つまり、家に居ながら仕事が出来るということも出て来ているのではないかということ で、大幅には変わらなくとも、それなりに少しずつ社会は変化して行くのではないかと思 います。  1枚目の絵を見て頂きますと(絵1)、今申し上げましたように、ビジネスのスタイル が、7年前は満員電車で通勤していましたのが、現在はフレックス制導入で少しゆったり と通える。そして2000年頃には在宅勤務になり、より知的な生産が出来るようになる。  車も7年前と比べ、現在はナビゲーションというものが出て来ました。そして、楽しく なったというか、運転し易くなった。従いまして将来的には、これがもっと進みまして、 自動運転とまでは行かなくとも、運転においては非常に楽になって来るのではないかと思 います。  テレビも、現在は衛星放送があり、ビデオも一緒に付ついたようなタイプもあり、種類 が豊富になった。更に将来はケーブルテレビになりますでしょうし、当然ワイド、あるい はハイビジョンテレビも一般的になるでしょう。また、絵の中にリモコンが載っておりま すが、これはインタラクティブという意味で双方向という新しい使い方が出来て来るので はないかと思います。もちろんビデオ・オン・デマンドも出て来るでしょう。  電話においても、昔はそんなものは持てるとは思ってもみなかったのですが、現在は携 帯電話を持つことが出来るようになりました。そして、これは将来的にポケット型に小さ くなったり、テレビ付き携帯電話になるかも知れません。  あるいは、ノートブックパソコンを持ち歩き、それでデータの受信や送信をすることが 出来る、という形にもなって来るでしょう。着実に技術は進歩して行くのですが、やはり ネットワークということで、ここにあります(絵2)「次世代通信網パイロットモデル実 験」というものを、私は注目したいと思います。  これは京阪奈で実験が行なわれる、放送と通信の相乗りを狙った、新しい通信網です。 先程からのお話にありましたアメリカの情報スーパーハイウェイほどではないのですが、 そういったこれまでの枠を越えた通信網やインフラの実験をして行こうというものであり ます。  こういうインフラが出来て来ますと、家庭におきましても当然ハイビジョンテレビ、あ るいは100チャンネルのテレビを見ることが出来る。また、インタラクティブでレンタル ビデオも見たい時にすぐ見ることが出来る。テレビ電話はもちろん、在宅医療というもの も可能になるかも知れません。こういうネットワークは、我々技術屋が一生懸命年間1800 時間労働を必死に頑張れば出来ることでしょうが、やはりネットワーク上に乗せるアプリ ケーションと言いますか、何をやったら皆様に本当に喜んで頂けるか、お役に立つことが 出来るのかという所が、最も大事なのではないかと考えます。  もう1つ、やはり京阪奈地区で行われますのが、このBBCCというブロードバンドI SDNを使った実験であります。(絵3)これは主にビジネス用、企業用で、広帯域のI SDNでもって、何が出来るのかということを実験するものであります。  B−ISDNや、新しい通信網を考える時によく出されるアプリケーションの例がある のですが、これはちょっとおかしいのではないか、と思っているのがあります。  それは、1つは当社では在席会議と呼んでいるものです。(絵4)座っていながら相手 とディスカッションをし、画面を見ながら相手の顔も見る。それから画面上でデータの交 換、あるいは画面上で討論するといったことが出来るというものであります。これは確か に出来るのですが、この絵のような綺麗なお嬢さんが相手だったら私も一生懸命やります が、口もききたくない上司が相手だと、やはり使いたくないものではないかと考えます。  次の絵(絵5)は、これもB−ISDNを使って、国際的なデザイナーがニューヨーク 、ロンドン、東京等の場所で、デザインを競い、素晴らしいデザインの洋服を作るといっ たモデルケースです。これはテレコム91のイベントなのですが、これは限られた応用と申 しますか、なかなか一般的なものではない、ショーだけのものではないかと思います。こ れをやったことがいけない、と言うのではなく、こういったアプリケーションだけではい けない。もっと我々の生活に根付き、本当に我々の役に立つアプリケーションというもの を考えて行かなくてはならないのではないかと考えております。  今挙げました2つの例は別と致しまして、やはり21世紀の通信インフラは、ここに有り ます(絵6)光ファイバー、物理的に言いますと光ファイバーが家庭まで引かれ、家庭の 情報化(FTTH)が飛躍的に進むと考えます。当然100チャンネルのテレビ、あるいはハ イビジョン、在宅医療等を受けることが可能になる。これが1つの将来のインフラの姿で はないかと思います。  その次(絵7)は、やはりもう1つのインフラとなります移動通信です。人間は、これ からますます動き回ることが多くなり、動いている時に情報が、いつでもどこでも更にど んな情報でも手に入れることが出来る。あるいは発信することが出来る。これは、やはり 移動通信が今後のインフラにとって、非常に大事なものになるのではないかと思います。  従いまして「FTTH」と衛星通信を含んだ移動通信が今後のインフラの中心になるの ではないかと考えます。  しかしながら、当然、技術的な課題、あるいは社会的、制度的な課題等、様々あるので はないかと思います。 (絵8)技術的には、「いつでもどこでも誰とでも」そして「どんなことでも」とありま すが、そういうものをやはり我々技術者が実現しなくてはならない。液晶画面のノートを 持ち、そこで会話が出来る、あるいはビジネスが出来る、もちろん電話も出来る、といっ たものを我々が解決しなくてはならないということです。  次(絵9)に通話が出来るだけではなく、やはり優しいというか、誰でも情報を扱うこ とが出来るということが大切でしょう。弱者と申しますか、キーボードが触れない弱者で あるとか、英語ができない弱者であるとか、そういった方々をやはり我々が何とかして技 術的にサポートして行かなくてはならないのではないかと思います。  高齢化が段々と進み、私達でもこういうものに参加出来る、遅れをとらない、といった 優しいヒューマンインターフェイスを実現しなくてはならないのではないかと思います。  (絵10)それからもう1つ、制度的というか社会的な課題があります。先程から在宅医 療が出来ると申し上げて来ましたが、「医者がこういったインタラクティブテレビで診断 をして果して大丈夫か」「もしも誤診をした際、どんなことになるのか」といったことを 考えますと、在宅医療はまずペットあたりからやり始めた方が無難かと言ったことになっ てしまいます。  この前我家の猫が病気になりまして、3万円取られました。ペットには保険もありませ んし、確定申告も出来ませんので、ペットの在宅医療があったら良いかと思いました。そ ういった医療の応用は、よく話題になるのですが、やはりこれからは制度的、体制的な整 備をしていかなくてはならないのではないかと考えます。 --レスポンス者(00004-尾野 徹 -TOORU )発言0063@レスポンス004-010 終り--

@レスポンス 005(00004-尾野 徹 -TOORU )94-04-18 03:19* 44回 18564字:●北矢  有り難うございました。これで一渡りの課題提起をして頂 -------

●北矢  有り難うございました。これで一渡りの課題提起をして頂きました。それでは 、少し議論をしてみたいと思います。  様々なテーマがありますが、1点は、地域や市民生活との関係、そして産業や企業との からみ、そしてもう1点、「人に優しいハイパーネットワーク」という視点から新しくハ イパーネットワーク化が進むことによって生ずる情報弱者とか、情報貧者等の問題につい てどう考えるか、という3点に絞って話を進めたいと思います。  最初に地域、あるいは市民生活との関係の話で、尾野さんから第2弾の問題提起をして 頂きたいと思います。

●尾野  はい。先程地域連合を作ったと申しました。そこで皆が注目するのは、結局東 京集中でないということ。そして先程浜野先生が言われた「インターネット」という言葉 を考えてみた時に、「インターネット」がなぜ受けるかというと、あれは個々のホストコ ンピュータまたはサーバを互いに大事にしているからでしょう。  例えば「東京に大型のデータベースを置き、地方の方々にアクセスして来なさい」とい ったシステム、そういうアーキテクチャは死につつある、ということです。個人個人が、 また個々がサーバを持ち、それぞれを主体的にリンクをさせて全体と繋ぎ、それを1つの ものとして見る考え方。これは北矢さんの言われる「ホロニック型」のものですよね。コ ンピュータアーキテクチャそのものがそうなっているし、社会システムもそうやって行こ うではないかということが、インターネットという言葉に代表されていると思うのです。 私達の地域社会も、そういったもので物事を考えて行きたい。そういったアーキテクチャ をまず第一に考えて行きたい、ということが1つあります。  それからもう1つは、電話料金が一番大きな問題です。なぜ日本は、距離が遠くなれば 電話代が高くなるのか? 空気が綺麗な所、海が綺麗な所、山が綺麗な所は電話代が高い といったことは、日本人はよく分かりますね。しかし、アメリカでそんなことを言ったら 笑われます。なぜなら、アメリカでは距離の遠近については、ほとんど料金が同じらしい のです。日本の遠距離通信はアメリカに比べ5.4倍位も高いそうです。  しかしながら、日本の中でもそれを打ち破りつつあるんですよね。例えば「キャプテン 」は3分30円。全国一律。あれはどうして距離に関係のない、料金通金体制が出来てしま ったのでしょう。あるいは、民間VANであるインテックあたりがやってる「Tri-P」 や「タイムパス」というもの。これも距離に関係なく時間課金です。このように新しい形 態を、もっともっと導入しなくてはいけない訳です。そういったことがあれば、東京に居 る、東京から離れているといったことが関係なくなり、地方に居ることの出来る1つの重 要なものになるはずなのです。  そうすると地方に居ても、それなりに楽しく過ごせるということの1つのチャンスにな ってくる。地方というのは過疎社会と言われていますが、平松大分県知事が面白い事を言 っています。「いや、違うんだよ。これから適疎社会を作るんだよ。東京みたいに過密は つまらんよ」と。東京は、先程もお話がありましたように、テレビジョンを置くスペース さえない。こんな過密な住宅よりも、大分はパソコンがゆっくり置けるし、横長テレビも 置ける。料金の遠近格差是正は、そういった適疎社会を考えてみても良いのではないか、 ということに対する一助になるはずです。  そういったことを考えて行きたいとは思うのですが、残念ながら地方でそういった社会 インフラを用意しようと思うと、民間ではとても出来ない。民間はやはり採算性の合う所 からやりますから、東京や大都市からやってしまう。そのため大都市でそのシステムを作 るノウハウや、運営するノウハウが溜ってしまい、反対に地方はそのマーケットにしかな らない訳です。そのために産業は必ず大都市から始まり、地方は必ずそのマーケットにさ れる。これではますます東京一極集中になってしまう。これも変えて行かなくてはいけな い。  そういったことを行政の方々にお願いして、地方でも成立し得るような産業政策を先に やり、その後に東京も含めて全国に展開して行く。こういった考え方が必要になって来る のではないか、といつも思っているのです。  しかし、地方は結局民間だけでなく、官も一緒にやらなくてはならない。しかし、官と 民だけでやっても、上手く行かないことが多いのです。これは増田米二さんというコンピ ュータ学者の方の考え方で、私は、彼の言う「情報市民公社構想」をそのまま一生懸命推 進しているのです。  この考え方は次の通りです。物事の情報インフラには、3つの運営形態がある。1つは 「株式会社型」のもの。「国家管理型」のもの。そして「市民管理型」のものがあると言 うのです。  「株式会社型」のものは、やはり利益目的に運営する訳です。そうすると一生懸命に使 い易いように作って行きますから、サービスが良くなります。確かに使い易くなる。しか し、走り過ぎてしまうと、ダイヤルQ2のような、ピンクっぽいもの、頽廃的になること がある。一長一短があるのですよね。  ところが官でやった場合にはどうなるか。まずお金がありますから、目的は国民の福祉 の向上ということで、大型のデータベースを思い切って作ることは得意です。しかし行政 が作るため、少々使いにくいものが出来てしまう。これもまた一長一短がある。  そして「市民管理型」というのは何か。実は「COARA」のようなパソコン通信ネッ トワークがそうなのです。こういったものは、市民が自分たちが楽しみたいがために、自 分たちに有益であるように一生懸命作りますから、使い易いものが出来る。しかしこうい った市民団体というのは、つまりボランティアということですから、お金が無いものと同 意義語です。ということは、お金が無いから上手く行かないことになる。  それぞれに一長一短が皆あるのです。しかし、最終のユーザーというのは、「企業管理 型」であろうと「国家管理型」であろうと「市民管理型」であろうと全て市民です。三者 を混合させ、市民が主導しているような形の新しい情報インフラを作る必要がある、と地 方では思っているのです。  そういうことを考えて行くと、また様々な問題が出て来ます。では「市民管理型」とい うのは何か? 「ボランティア型」主導にするというのはどういったことか?  ボランティアというのは、お金が無いので大変に活動がきついものです。一度やり始め たらやめられない。特に情報インフラのようなものを作ってしまった時、「ちょっときつ くなったから、もうボランティアやめます」と言ってしまうと、情報通信、社会インフラ が無くなってしまう訳ですからね。しかしこれを無くす訳にはいかない。  ということは、ボランティアではなく、「フィランソロピー活動」になるはずです。企 業も含めてこれから先は、「フィランソロピー」の活動をしっかりやらなくてはならない し、そういった情報インフラを維持する「フィランソロピー」を尊重する、大事にする企 業がもてはやされると良い。また「フィランソロピー」を分かっている個人がもてはやさ れると良い。  そして個人個人が大事にする中に、個性を生かしながら、全体としてはホロニック的に 全体を持ち上げる。「フィランソロピー、ボランティア」で一生懸命に全体を支える訳で す。情報インフラを作り、全体を支えようとする運動があると良い。  しかしそれは、個人を生かしながら、また、個人が主人公でありながら全体として1つ のものを支えるといった社会を意味する。そういった新しい社会像を、日本の中に作って 行くことが、これからの本当のハイパーネットワーク社会を作って行くのではないか、と 思うのです。  当然その中で、個人を大事にするということは、個人の満足度を大事にすることであり ます。個人が自己実現出来るかどうか、といった個人満足度にポイントがあるのではない かと思っています。

●北矢  有り難うございました。先程「思いが実現することが大事だ」と富沢さんは言 われました。段々と「自分に合ったものが欲しい」「自分に合った商品サービスが欲しい 」といったことになって来ると、企業の側も今までとは逆に、市民の発信する情報をどの ように捉えて行くか、ということが重要になって来ると思います。今の尾野さんとの関係 でまとめて頂くと、どういうことになるのでしょうか。

●富沢  先程北矢さんが言われたもう1つの問題点である情報弱者の話に関連して、こ れからしばらくの間は、現在の情報化によって今はじき出されている人々の寂しさを、埋 めてくれるのではないだろうかと思うのです。その中で次の問題点として情報弱者の問題 が出て来るという気がしているのです。  私はたまたまご縁がなく独身で、子供もいないのですが、このセンターは全部売り物だ そうですから、私も売り物で・・・ なんてここで宣伝してはいけない(笑い)。  ともかく、現在少産子化などが問題になっていますが、あれはやはり動物的というか、 皮膚感覚で女性は「子供を産むと損しちゃうな」ということを感じているのではないかと 思うのです。つまり「子供を産んでしまうと、社会的に抹殺されてしまうから、それくら いだったら子供は産みたくない」という風潮が何となくあるのではないかと思うのです。  子育てというのは楽しいことだし、社会的にも重要なことなのですが、実際に家庭の面 倒事は、やっぱり今は女性に全部かかってしまっている。  それから男女雇用機会均等法の話でもよく出て来ますが、出来上がった男性社会の中に 、女性が一人で入っていっても、24時間戦っている男と戦うには、私の場合は親ですが、 女房みたいな存在が要る訳です。そういう存在がいるから、男社会で何とかやっていける のです。  このように女性が家庭を持つ場合、現在は女性に家事や子育てなどやはり何となく社会 的にそういう負担がかかって来ています。これからは老人の世話もして行かなくてはなら ない。しかし、自己実現もしたい。  自己実現したいという気持ちが今女性達の中で非常に強いから、バブルの時期には「結 婚しない方が、チヤホヤされ、お金も貰え、お小遣いも貰えて良かった」あるいは「男女 雇用機会均等法ならバリバリ働いてみたい」といったように、現在は少し極端な状態にな っている時だと思うのです。  これから「思い」が実現し、先程言われましたように家庭まで情報ネットワークが出来 てしまうと、おそらく「職住近接」「職住遊」で、「遊び近接」の様な感じになって来る のではないかと私は思うのです。  なぜなら、それだけ女性の「思い」が強いということです。「自己実現しながら、やは り生物学的には子供も産みたい」という気持ちがあるのだろうと思うのです。例えば昔は 農村社会でしたから、子供を籠か何かの中に入れ、農業をし、野良でおにぎりなどを食べ て、というようなことで「職住近接」でやることが出来ていた訳です。また、家族経営の 繊維工場などでも、「二階で雨が降ったな」と思ったら、洗濯物をしまってまた工場に戻 って来れた。「職住近接」だと、女の人にとってはとても働き易い。今後は、こういった 方向に進んで行くのではないかと思います。  そうなって来ると、例えば在宅勤務というと一人だけでこもって仕事をするイメージが 強いのですが、女性だけが在宅勤務になると、「皆のコミュニケーションの中に入ってい けない」といった疎外感みたいなものが出て来る。次にはそういったことも変わって来る 、というように生活スタイルの全てが変わって行くような気がしている訳です。例えば、 「一度も台所仕事をしたことがない人が作るキッチンの設計よりも、女性の生活感覚のあ る人が作った方が、非常に分かり易い」といった形で、こういう仕事の形態が増えて行く だろうという気がしています。  それからもう1つは、先程洋服の話をしましたが、やはり標準化や量産化といったこと の中で弾き飛ばされてきた人々が、情報化によって救われる。そうすると、やはり生産と 消費と流通と言いますか、「使う人と作る人の顔が見える」生産販売体制というようなこ とを作って行かなくてはならない。それは昔のような「御用聞き」なのかも知れないし、 あるいはネットワークなのかも知れないと感じています。

●北矢  ついつい産業、企業の立場だけで話をして頂くつもりでいましたのですが、ご 当人は女性の立場をかなり強調されました(笑い)。そういう意味では、現在の組織や企 業は典型的な男社会で、その中で24時間戦う女性は大変だ、というお話でしたが、それが ハイパーネットワーク化の進む中で、在宅勤務なのかサテライトオフィスなのかは分かり ませんが、女性が働き易くなることを通じて、逆に企業の中の男社会的な要素も消えて行 く。  これは笑い話でよくある話ですが、ある下着のメーカーが高級女性下着を開発するのに 、男ばかりで全部会議をやったとか、「着たことも履いたことも無いのに、どうして分か るのだろう。いや、着たり履いたりしてたら病気だ」というような話がありますけども( 笑い)。そういう笑い話に近いことを、現実に男社会の中で企業がやって来ている。この ように社会が段々変わり、当事者能力を持った人たちが自由な形でやりとりが出来、参加 出来るということを、おそらくおっしゃりたかったのではないかと思います。  浜野さんは、「サイバースペース」ということを強調されましたが、行政区画の中にあ る地域であるとかコミュニティというものと、「サイバースペース上でのバーチャルコミ ュニティ」とでも言うのでしょうか。そういうものとの関係は、これからどうなって行く のでしょうか?

●浜野  もちろん行政側が、それを何とかしようとするとは思いますが、現実にはどう にも出来ない訳です。例えば、私はアメリカからネットワーク経由でソフトをダウンロー ドします。その際の関税はどうなっているのか? そのバーチャル・コーポレーションは 、会社登録もしていない訳です。収益の税金はどうなのか? きっと払っていないと思い ます。  ですからどんなことをやろうと、本当にネットワークが、またヒューマンインターフェ イスが完全になれば、その中に警察が出て来たり、税務署が新しい国土の中に出て来るの でしょうが、今のところ、そういった実例が示すように、行政的な意図というのは、今は 一切働かないと思うのです。

●北矢  そうすると、これからますますネットワーク化が進行して、インターネットの ような所で、インターネット上だけに存在する会社が出来て、それが既存の税制度とか、 国と国との間のやりとりなどに一切かかわりなく動いていく。そうすると国の中でも電子 共同体的社会の新しい制度等を決めなくてはならないし、グローバルにもグローバルネッ トワークの中での新しい制度やルールを決めて行くということで、段々固定した今までの 地域などは、相対的な意味を失って行く、ということでしょうか。

●浜野  はい。現実に私が毎日ポルノを見ようと思ったら、見る事が出来る訳です。イ ンターネット上で。映像が流れてますから。そのことで私は警察に取り締まられたことも ないし(笑い)。第一、インターネットを「けしからん」と言って警察が止められるのか 。それはまた国際問題になると思いますよ。  これまでの我々は、日本国内で表現された紙メディアについては、たとえお金を持って いない人でも国会図書館という場所でアクセスを保証されてる訳です。  ところがアメリカでも以前は、インターネットであるとかネットワークで流れている情 報というのは、インターネットにアクセス出来る人にしか公開されていなかった。「それ はいけない」ということになり「エレクトロニック・ライブラリ・アクト」というものを 出し、やはり憲法にある表現の自由も認めるが、アクセスも守る。そういったことまで、 アメリカでは検討が始まってる訳ですよ。「我々日本は何をしてるんだ」という気持ちが します。

●尾野  私たちの日本では、インターネットは、文部省などから「一般人には使っては いけない」と言われていますよね。ですから結局使えていない。また企業でも、大企業だ ったらインターネットを繋げられるため、その恩恵にあずかっているかも知れないけれど 、中小零細企業は一切インターネットと関係ないですよね。アメリカではそういった所は 、どのような動きになっているのですか?

●浜野  アメリカはつい最近まで、やはり研究者は素人が入ることを嫌い、排除して来 てたようです。日本もまだその意向が大変強く、素人を排除しようとしています。  例えばサンフランシスコの高級住宅街に行きます。そこでの宣伝文句は何か。WANで すね。「ワイドエリアネットワークで、インターネットが使えます」というのがその高級 住宅街のウリなんです。  先日ゴアが行なっている「NII」というプロジェクトのコンサルタントの方が来られ てお話をされたのですが、それによるともともとあれは教育ネットワークから始まったも のだそうです。実際に、学校に繋いで現在実験を行なっている訳ですが、ある学校にもの すごい広範のネットワークでインターネットを繋いでしまったのです。  ある時そのコンサルタントが子供にインタビューに行った際、子供達はそれがコンピュ ータ通信であるとは知らず、「とても変なCATVが一本入って来た」と言ったそうです 。インタラクティブで絵がどんどん出て来るので「変なCATVだね、おじさん」と言っ たというのです。そういった感覚なんですよね。

●尾野  私達はすぐにインターネットというと、日本では「一般人が使えないもの」で 「テキストベース」という考え方になってしまっているのですが、アメリカではCATV ともごっちゃになっているし、そういったことも含めてゴアが言っているインフラ整備と いうことなのでしょうか。そのインフラ整備というのは、地域単位ではどのような動きに なっているのでしょうか?

●浜野  それは話が複雑なので、順序を追って少しだけ説明致しますと、現在「情報ス ーパーハイウェイ」というのは、全国的に「NII」と呼ばれています。「National Inf ormation Infrastracture」と言い、9月15日に国がやるべきことという目的で、「Agend a For Action」というものが出ました。  実は「NII」というのは、シンガポールの言葉なのです。シンガポールがゴアの影響 を受けて、2000年までに4ギガビットのネットワークを引くという「インフォメーション ・テクノロジー2000」を計画したのです。「情報のスーパーハイウェイ」をぶち上げ、国 民にビジョンを与えたのですが、シンガポールの場合は、このビルのようにインテリジェ ントビルにするのではなく、国自体をインテリジェント化しようとした。これを「インテ リジェントアイランド構想」と言い、国民にビジョンを与えた訳です。それに比べて日本 国は何もビジョンを与えていない訳です。  そういう訳で、シンガポールはアメリカより前倒しになってしまったのです。シンガポ ールがその「IT2000」の中で初めて「NII」という言葉を作ったのです。  ゴアは非常に勉強家ですから、「その言葉は良い」と使っていたところ、今度は州政府 が文句を言い始めたのです。アメリカは合衆国、つまりユナイテッドステイツですから、 州に権限がある訳です。そこで五大湖州知事会議が「五大湖州知事スーパーハイウェイを やる」と言い始め、ニュージャージーでは「ニュージャージースーパーハイウェイをやる 」シリコンバレーでは「スマートバレー構想」といった具合いに、州政府が「自分たちで やるんだ。国はそれを繋ぐお世話だけしてくれ」と言い出している。  このように実は「Regional Information Infrastracture」の方が正しいという議論が 今アメリカであり、ゴアも「その通り。どんどんやってください。我々は最後の部分だけ やりましょう」と切り返し、現在は地域主導型に変わって来ているのです。

●北矢  その地域主導型とは、むしろ地域CATV会社と、それより地域電話会社が力 を持ち、インタラクティブテレビの利権が入るといったことで、ビジネスのほうが先行し ているのではないかと思うのですが。その中で、州政府とか公共団体との関わりというの は、どうなっているのですか?

●浜野  おっしゃる通りで、アメリカは民間レベルのほうが強いですから、「州や国に やられる前に手を出しておかないと、後で国にグジャグジャ言われるのは嫌だ」というこ とで、様々な動きが出ています。ご存じのように、今年のビジネス界の最も大きな提携で あった、ベル・アトランティックが世界最大のCATV会社であるTCIを買収しました 。またUSウェストがタイムワーナーに資本参加したということで、今の段階では体力と 資本力のある電話会社が、ローカルな電話会社やCATVを呑み込んで行き、スーパーハ イウェイを持とうとしている。  要するにCATVと電話会社で技術的には同じことをやっているのですが、料金体系が 違います。先程尾野さんがおっしゃったように、CATVは契約単位なのです。それに対 して電話会社は時間単位です。私達は通信時間などに、お金を一切払いたくない訳です。 コンテントにはお金を払っても良いが、映画を見ていてその周りに時計があって「コッチ コッチ」と音を立てながら、5円10円とメーターが付いていたら、映画なんて見ていられ ない訳です(笑い)。

●尾野  日本にはそれに距離もあるのですよ(笑い)。

●浜野  ですからそういった「新しいノウハウを電話会社も得たい」もちろん「二重投 資もしたくない」という2つの思惑があり、ますます電話会社がCATVを呑み込んで行 く。それでスーパーハイウェイの一貫を担おうとしているのです。  ですから、ベル・アトランティックがTCIを買収した際、新聞発表したその足でゴア のオフィスに報告に行ったそうです。これまでの法律(独禁法)では出来得なかったこと が、これまでの規制緩和で放送事業体と通信事業体が一緒になった訳ですから、ゴアに挨 拶に行ったところ、ゴアはすぐ記者会見を開いて、「この合併を祝福します」と述べたの です。それは「独禁法ではひっかけませんよ」という合図です。  このように精神的な支援が強い政治家から与えられているということは、ゴアが言って いた国営のネットワークは消えたけれども、またひっくり返る可能性もあるとは思います が、しかし北矢先生がおっしゃったように民間のビジネスは活性化した訳ですから、大変 良い影響があったのではないかと思うのです。 --レスポンス者(00004-尾野 徹 -TOORU )発言0063@レスポンス005-010 終り--

@レスポンス 006(00004-尾野 徹 -TOORU )94-04-18 03:21* 45回 23327字:●北矢  ここで気を付けて考えなければならないことは、アメリカ -------

●北矢  ここで気を付けて考えなければならないことは、アメリカは確かに何となくデ ジタルネットワーク化の社会的な基盤といったものが急速に整備されて行っていると受け とめられがちですが、一方では、あの国自体には様々なビジネスを次々と始める多様な人 達がいる訳です。世界から多くの優秀な人たちを受け入れる、という仕組みの中で、面白 いビジネスを提案したり、面白いプロジェクトを提案するという能力が高いから、多様な ネットワークの世界が広がっていくと、優秀な人材が全部物理的に移動しなくても、吸い 取られてしまう。そういう意味での競争優位が、新たに付いてしまう。その辺りが怖いと 思うのです。  これを逆の面で見ると、大分では毎年身障者のオリンピックやっておられるし、昔から オムロンとかソニーとかホンダさんで「太陽の家」という身障者の方が作られている生産 工場がある、ということで、そういうネットと知恵とノウハウがあれば、それをテコにし て、大分にいてもインターネットに接続し、世界中の優れた身障者を組織化しながら、地 域発の身障者関連の機器開発やノウハウを提供する新しいビジネスを創出して行くことが 出来る。提案する事業やプロジェクトに魅力があり、強い志を持った核となる人を引きつ けられれば、逆に様々な所から様々な人が関わって来ると思うのです。そういった意味で の新たな地域の作り方が、私は「情報市民公社」ということではないかと思うのですけど ね。

●尾野  そうなんですね。たまたまシンガポールの話が出ましたが、先週、シンガポー ルの国家コンピュータ庁の方々が大分に来られたのです。

●浜野  非常に大分のプロジェクトに興味を持っているらしいですね。

●尾野  話を伺っていたら、シンガポールは「国家管理型」をやり過ぎてしまったがた めに市民ユーザーがいない。ですからハードウェアネットワークは出来たものの、何をし て良いのか分からない。それを日本やアメリカに求めたり、大分に来られて「COARA 」を勉強してみたい、というような形で来られたのです。  こうして見た時に僕のすべきことは、先程北矢さんが言われたように、早めに大分の中 で何でも使える、市民が主人公として使えるような、社会インフラネットワークを作りつ つ、市民が自らやりたいと思うことを追いかける形でハードを用意して行く。そういった ことが「情報市民公社」の役割ではないか、と最近つくづく思っています。

●北矢  そういった急速なハイパーネットワーク化が進行して行く中で、色々な意味で 情報貧者が生まれるのではないかという懸念がある訳ですが、その辺りについて少し議論 をしたいと思います。  人に優しい技術という面から見ると、三浦さん、どういうことに気を付けなくてはなら ないでしょうか。

●三浦  新たに社会一般の情報弱者という人が生まれるのではないか、という恐れがあ る訳ですが、私もきっと、そういう中に含まれるのではないかと思い心配しております。 是非それを克服する、救うものを今のうちから作っておきたいと考えています。  まず、どんな弱者がいるのかということですが、1つはやはり反応が鈍くなっておられ る、あるいは新しい知識を取り入れることがなかなか難しくなっているといった高齢者。 「キーボードアレルギー」などというのも高齢者特有のものでしょう。  それからやはり、目が不自由であるとか、耳が不自由であるとか、あるいは手が不自由 であるといった身体的な弱者の方々。  それからやる気が無いというか。私のように口だけで商売をしたいという人。そのよう な人達をどうやって救うか。やる気の無い人は、それをやらないと損をするのですから、 ほっておいてもいいと思うのですが、高齢者や身体的な弱者は、やはり何らかの技術的な 方法で救って行かなくてはならないのではないか、と考えています。  その1つは、当然優しいというか使い易い、あるいは見易い、分かり易い、聞き易いな どのインターフェイスです。そういうものを技術的には当然追求して行かなくてはならな い。それからもう1つは、特に身体的な弱者の方々のために「メディア変換」ということ 進めて行かなくてはならない。  これは現在も進めておりますが、例えば目の不自由な方には、音声でその内容を伝える とか、あるいは音声で入力が出来るようにする。またキーボードが苦手な人には、ジェス チャーでキーボードに相当するような操作が出来るようにならないか等、そういった「メ ディア変換」ですね。そういうものを今後ますます追求して行かなくてはならない。テク ニシャンでなければ使えない、というものであってはならないと思いますので、本当に優 しい、誰にでも自由に使いこなすことが出来るための新たな先端技術を追求しなくてはな らないのではないかと、今考えております。

●北矢  浜野さんは今の問題については、どうお考えですか?

●浜野  私は日本人がもっと自分たち全体が情報弱者であるという認識をしなければい けない思います。通産省が作ったアクセス出来るチャネルの数であるとか、新聞の数、電 話の料金、電話のアクセスする時間数など、全部アメリカの半分位です。我々日本人が情 報弱者に置かれている訳です。  本当に次の世紀は情報の時代になる訳ですから、確実に、まず我々が全体の情報弱者で ある状態を直してそこから抜け出さないといけない。もちろん現実に、例えばアメリカの 「ナイトリッダー」とか。また「ワシントンポスト」などの新聞社が、ネットワークで新 聞をやり始めた訳です。やはり流通コストはものすごくばかにならないですから。これは 、「日経」でも「朝日」でも考えています。  宅配の新聞システムが崩れるのはもうすぐです。そうなった際にはディスプレイで新聞 を読まなくてはならない訳ですが、お年寄りはそれが出来ない訳です。ビデオテープレコ ーダーだって、松下さんの製品がどんなに良くても、お年寄りは時間予約が出来ないと思 いますよ(笑い)。そういう方々に、ディスプレイで新聞を読ませる訳にはいかないです ね。

●三浦  例えばCATVがなかなか日本で普及しない理由についてよく言われるのは、 「料金が高い」「その料金に見合った内容のソフトがない」「絵が汚い」「大したチャン ネルが無い」「いつも昔の古い映画しかやっていない」といったことであります。  これは、結局は収益が上がらないから良いソフトが買えない。良いソフトを流さないか ら加入者が増えない、という悪循環になっているのではないかと思うのです。  その他に、「月何千円というお金が払いたくない」といった我々の貧乏根性というか、 何か日本人に特有の、情報に対してお金を払いたくないという風潮があるのではないかと 思うのですね。2000円、3000円というのは大したことのない金額なのですが、金額の大き さというものとは別に、「テレビはただで見られるのに、どうしてCATVになると3000 円払わなくてはいけないのか」といった感情が我々にはある。どうもその辺りをもっと克 服しない限り、なかなか一歩前に進まないのではないか。電話も「COARA」までアク セスして、1時間3000円位で素晴らしい情報が得られると思いますが、私自身はやはりな かなか利用しないなと・・・(笑い)。  本音はそこではないか。それを何とか克服しなくてはいけないのではないかと思います 。

●尾野  別に反論するためにマイクを取った訳ではないのですが(笑い)。要するに浜 野先生のおっしゃったことと、今三浦さんがおっしゃったことの両方を足したような、日 本人の情報環境教育が必要だと思うのですね。  通常、未来のネットワークというと、マルチメディアを使っていかに儲けようか、とい う立場の人達が議論している訳ですよね。どちらかと言うと、マスメディアのマルチメデ ィア化なのでしょう。マスメディアをいかにマルチメディアにして、多くの人達に使わせ て、儲けようか、という考え方がある訳でしょう。CATVもある意味ではそうですね。  しかし、私達がパソコン通信を通じて気付いたのは、そうではなかったのです。一人一 人が情報発信出来る所に面白さがある。一人一人が何でも書けるという、一人一人がメデ ィアの発信者である、という所に面白さがある。そこに気が付いた訳です。  そしたら自ずから、全然話が変わってくる訳です。例えば、同じ松下さんでも、関西の 話ではこういう話があるんです。家電の販売店で、地域のお客さんの情報を集めるために 、主婦を中心としたアルバイトを雇い、「あなたはどこどこの何丁目のあそこの一角を、 一週間に一回お茶飲んで回ってね。あなたはここよ」とあちらこちらの家庭を訪問させる のです。  そして「あそこの娘さん、やっとお嫁さんに行けるようになったよ」とか、「あそこは 今度、子供がやっと小学校に上がるようになりましたよ」とか「あそこのおじいちゃん、 腰打ったそうです」とかいった茶飲み話の話を持って帰らせる訳です。松下さんは一生懸 命それを書きとめて、結婚する家には結婚用の電気製品のカタログを送る。腰打ったおじ いちゃんの所には健康器具用のカタログをポンと送る。  つまり、コミュニケーションの中に、商売のネタをじゃんじゃんつかんで行く訳です。 「これが松下商法です」ということなんでしょう(笑い)。  そういったことは、遊びのコミュニケーションなのです。コミュニケーションを無視し てしまったら、決して面白くない。確かに一面的に見ると面白くない、くだらない話ばか りであるかも知れないけど、その中にチャンスをつかめる力があるかないかということが 、その人の個性、または考え方だと思うのです。  そういった意味で、まずグループメディアありきなんです。コミュニケーションありき なのです。そこで私達が考えたい、私が考えたい未来のネットワークは、決してマスメデ ィアのネットワーク化ではないのです。マスメディアもその1つでしかない。パーソナル メディア、ビデオメールといったものも1つの手段にしか過ぎない。  しかし、その中心にあるものは、お互い同士がコミュニケーション出来るというグルー プメディアなのです。グループメディアが中心の、未来のハイパーネットワーク社会。そ ういうことを考える中にこそ、新しい展開があるのではないかといつも思っています。

●北矢  有り難うございます。そういうグループメディアと、企業なり組織なりの働き 方ということとの関係で、一般的にはますますコンピュータネットワーク化が進むと、端 末に触れないミドルの方々は、片隅に追いやられてしまうのだろうと思うのですが、典型 的なミドルを組織の中で演じておられる富沢さんとしては、尾野さんの話と絡めてどうお 考えですか。

●尾野  先程、少し間違って話したかも知れないのですが、グループメディアに発信す ること、グループメディアに慣れるような人間教育を日本人に教育しなくてはいけない、 ということを言おうとしたのです。  アメリカではそういったインターネットに発信する人達たちが多いから、ああいったも のが流行ってきた訳ですよね。日本では自ら発信するという教育を受けていない人が多い が故に、グループメディアがまだまだ育っていない。その辺りのことを教育して行くこと が、未来のハイパーネットワークを作るのだということです。

●北矢  そういう基本的な姿勢があって、自分がどんどん発言し、それに対してレスポ ンスがあることによって、また新しい発想が湧く、という組み立てではなく、今の所は「 何か良いものがないかな」という気持ちで覗いてみて、「なんだ、こんなものか」という ことで、「お金を払いたくない」といった状況になっていますね。

●富沢  そうですね。私もパソコン通信をやって一番最初に感じましたのは、やはり「 何かをとろう」と思うと実にくだらなくて、だらだらと冗長で嫌なのですよ。そうではな くて、参加しながら自分も相手も両方でやって行ける、そういった所が分かる人を増やし ていかないとだめだと思うのですね。  桐生のあるお医者さんが言われていたのですが、「自分は医者として一生懸命やってる つもりだったけど、患者がそれをどう感じてるかが、パソコン通信をやって初めて分かっ た。お医者さんが白い服を着ていると、偉そうに見えて、患者が皆何か萎縮して、言われ たまま帰っていたのが、パソコン通信で初めて実は医者に対して怖がっていたんだとか、 言ったことを理解していなかったんだとか、そういったことが分かった」「お医者さんと 患者という上下の関係ではなく、お互いに得る所があった」ということでした。  先程の洋服の例もそうですが、お客の顔が見えるといった、メーカーにとっても、流通 にとっても、消費者にとっても両方にメリットがある関係を作り上げて行くということな のだろうと思うのです。  それからもう1つ私が思っておりますのは、実はこういう所で、ご挨拶をする際に、必 ず名刺を出し、まず「長銀総研の何とかさん」とか、「多摩大学の北矢さん」から入るん ですよね。そういう肩書社会の中では北矢さんは先生と呼ばれるのに慣れてしまったりし て、肩書で生きてるような所があると思うのです。  ところが、パソコン通信のような所で会うと、まず「尾野さん」なんですよね。そして 後で「えー、何だ鬼塚電気の社長さんなんだって」とか「ああ、あの人は松下で、なんか やたら先端技術をやってる人らしい」といったように肩書きが後で付いて来る。その鬼塚 電気だとか松下とかはその人の持つ要素の1つでしかない。今までの技術の社会の中では 、人間はごく一面と一面でしか会っていない。先程の女性の話に戻せば、絶対に「何とか さんのお母さん」とか、「何とかさんちの奥さん」としか呼ばれないのです。「富沢木実 」と呼ばれないのです。そういうじれったさをグループウェアは取り去ってくれるような 気がしています。

●北矢  一人一人がイコールパートナーの市民としてまず存在し、そこから物事がスタ ートしなくてはいけないという訳ですね。私が先程申し上げたのは、一般的に言われてる キーボードアレルギーみたいなことについてのお考えを伺ったのですが・・・。  私自身は、今は確かにブラインドタッチをして、パソコンなりワープロなりで日本語を 書くということ自体は、確かに中年の人にとっては大変だと思うのですが、コンピュータ もますます使い易くなっている訳ですから、本来の意味で中年の人達が持っている様々な 熟練やノウハウ、さらにはものの考え方などが、逆に生かし易くなるのではないかと考え るのです。  例えばグループワークの中で仕事をしている際、チームリーダーとして上手く皆をある 方向に持って行くことに対し、積極的に役割を果たせるとか、グループウェアというもの の考え方自体が、ある種の合意形成型の物事の進め方のことを意味してる訳ですから、本 来そういうことは得意な筈だと思うのです。  あるいは企業内の色々な要素を知り尽くしている訳ですから、「コンカレントエンジニ アリング」とか、あるいは「ビジネスプロセスリエンジニアリング」のようなことをやっ て行く際に、様々な形でリエゾンマンとしての役割も大きい筈です。その意味では、ミド ルの持つ本来的な能力がより生かせる時代が来つつあるし、システムもそういう方向に行 かなくてはならないと考えるべきなのではないか、というようにむしろ思うのです。そう いうことがようやく、現実になって来ているのが、現在のハイパーネットワーク化に向け た動きなのではないかと思うのです。  確かに「情報貧者」や「情報弱者」というのは、発生し易いものであります。それは1 つには端末を含めたそういう使い勝手の問題や技術的な使い勝手の問題があるでしょう。 また、先程浜野先生が言われたようなシステムや仕組みから排除されてしまうような問題 、そしてコストの問題。さらには言葉の問題などがあると思うのです。  その一方で、例えば商用のデータベースにアクセスしてお金を沢山払うことが出来るの は、相対的に企業や体力のある人なのでしょうが、インターネット上で色々な研究機関や 大学が持っているデータベースにアクセスし、情報を取り、様々な研究をして行ける人も いる。しかもそれが通信費用以外は無料であるということになると、商用ネットワークで お金を払うよりも、ある意味で開かれたネットワーク世界の中で皆が十分に自分の当事者 能力を生かすような、新しい流れも見えて来るでしょう。  但し、そのためには日本全体が「情報貧者」である、といった問題を克服して行くとい う政策的な取り組みも、非常に重要だと思われます。  そういうことも含めて、最後に簡単にお一人ずつ、自分にとっての望ましいハイパーネ ットワーク社会というものを、お一人ずつお話して頂ければと思います。浜野さんからお 願い致します。

●浜野  その答えになるかどうかわかりませんが、これまで日本は、物質文明を前提と してきました。「物作り」とは基本的には労働集約的ですから、企業しか目立たない。威 張るのは企業だけなのです。ただ、情報を作るのは人ですから、東宝映画会社の「七人の 侍」が面白いのではなく、黒澤明の「七人の侍」が面白いのですね。ですから基本的に情 報の時代になって来ると、人が逆に目立って来る訳ですね。ですからより人にシフトする 。  これは全部のご意見に関係するのですが、もう一つはテクノロジーが今後ますます発達 することによって、富沢さんがおっしゃっておられたように、主婦がキッチンを作ること が出来るようになった。今までは主婦は、図面が書けないためにキッチンを作れなかった のですね。逆に言えば、図面を書く人が、図面を書けることがキッチンを作ることだった のですが、これからはテクノロジーが支援する訳ですから、スキルはどうでも良い。そこ そこのことはテクノロジーで出来てしまう訳です。よって今後は、スキル前提の社会から 、感性が前に出て来る社会になる。だから主婦でもキッチンが作れる。  そういった非常に柔軟で、ソフト指向で、人間オリエンテッドな社会に、現在移行しつ つあると思うのです。それを古い勢力は反対すると思いますが、それは化石燃料になって もらって(笑い)、望ましい社会がハイパーネットワーク社会であるのだと思います。

●尾野  今の浜野さんのお話を、平松知事は自分なりの表現でなさいます。「今までの 物質文明は、GDPでやっていた。GNP型、またはGDP型の社会、物の生産を1つの 目安として考えて行く社会だった。しかしこれからはそうではない。GNS型である。  Sというのはサティスファクション。グロス・ナショナル・サティスファクション。G NS型、国民総満足度を計るような社会を作らなくてはならない。そのために情報通信が 、1つの一助となる筈であり、それをハイパーネットワークと名付け、そういったGNS 型社会がハイパーネットワーク社会だ」ということを言っておられるのですね。  ある意味では、それは個人が生かされる社会ですし、そして全体が調和を持って持ち上 がって行く社会、つまりホロニック型のGNS社会であります。そういったものがハイパ ーネットワーク社会なのではないかと思うのです。  ということで平松知事が一生懸命頑張るものですから、北矢さんや浜野さんや富沢さん にも仲間になって頂き、大分に通産省さんと郵政省さんの共管で、今年の3月に「ハイパ ーネットワーク社会研究所」が出来たのです。この研究所は公文俊平さんが所長で、ここ におられる方々に主任的にやって頂いている訳ですが、私個人と致しましては、そういっ た研究所に個人的に参画しながら、少しでもそういった理想に近づく思いを現実にするよ うに貢献したいと考えております。それこそが自己実現ですから。それがまたハイパーネ ットワークということかな、と思ったりもします。これからも頑張りたいと思います。

●富沢  3つ言いたいことがあります。1つは先程も述べましたが、これからの社会と いうのは「思い」を叶える社会になるだろうということ。それからもう1つは、今浜野先 生もおっしゃったのですが、私はずっとこの所「職人ルネッサンス」ということを言って います。職人さんというのは頑迷で、頑固である、といった印象があるのですが、実際に はそうではなく、新しい技術を取り入れ、仕事全体のことが分かって判断が出来る。ここ で言う職人というのは例えば宮大工のような人のことを言うのですが、そういう全体のこ とが分かる人が、これから非常に見直される時なのではないかと思うのです。  ところが残念ながら、松下さんや東芝さんのような大企業には、この「職人」という言 葉に強いアレルギーがありまして、「うちは職人なんかいません。勘になぞ頼らずに全部 0101の世界で、技術でやっております」と、どうしても言いたがる所があり、何か現 在の先端的な考え方より逆に遅れてしまっているような印象がすごくあります(笑い)。 全体の技術の流れが分かる人をもっと大切にして欲しいという気がしています。  最後に3番目なんですが、私は、ディズニーランドに行くと吐き気がするのです。ディ ズニーランドに行き、マクドナルドを食べ、CNNを見て育ち、インターネットを普通の 学生さんが使うようになった時は、何だか本当にアメリカに侵略されてしまったようで、 私にはとても耐えられない。  そこで思うに、現在、期待されるのは、アニメや、今度アメリカでセガが1位になった そうですが、ファミコンソフトのように新しい情報技術を使うことによって、日本語とい う言葉の難しさが克服され、上手く海外に伝えられるのではないだろうかということです 。  私は「アメリカ文化が浸透するのに対抗して、こっそりと、皆が気が付かないうちに日 本文化を伝播してしまい、世界中の人々の感じ方が日本人ぽくなるといったことをしたい 」と思っており、そういった意味で、情報市民公社の「ハイパーネットワーク大分」に頑 張って欲しいと思っています。

●北矢  世界を日本化しようという、すごいことをおっしゃいました(笑い)。最後に 三浦さん、お願い致します。

●三浦  富沢さんが「思い」とおっしゃったのですが、その「思い」を是非テクノロジ ーで、かなりの部分をなし遂げたいと技術屋として考えております。技術を大事にして欲 しい、もっと言えば「技術屋を大事にして欲しい」と「屋」を付けて欲しかったのですが (笑い)。  本日、弱者という言葉がいろいろ出たのですが、その仲間入りをする者として1つ思っ たことがあります。私もパソコン通信として「Eメール」をやっいるのですが、これをや って分かったことは、メールを出すと、とてもやる気が出る。ただ受けるだけでは、おそ らくつまらなくて、それを出した時に喜びと言うか、また新たな世界が拡がってくると思 うのです。残念ながら私の周りの同じクラスの人達も、パソコン通信に入っているのです が出したことがない。ひどい人は「見たこともない」と言い、キーボードアレルギーと一 言で片づけているのです。  電子メール上に自分がアクセスすると、そこでは「・・大学教授、あるいは・・何とか 常務ではなく、ただの何とかさん」になってしまうのです。身分がそこで公平になってし まうという所で、おそらく我々ミドルはそれに耐えられない。やはり何々という肩書で仕 事をしているとか、存在感を示したいという面があるため、それがどうもこういった世界 に入って行くことを阻害しているのではないかと思うのです。  私もパソコン通信に入った後にそう気付きましたので、ミドルもこれから意識を変えて 行くことで、決して情報弱者にはならずに生きて行けるのではないか、と思います。

●北矢  有り難うございます。「ハイパーネットワーク化だ。インタラクティブになる んだ」と言いながら、これまで一方的に我々だけがやりとりをしてしまいました。せっか く会場にいらっしゃっておられますので、少し双方向で会場の皆様から質問を受けたいと 思います。  特に本日は官庁の方々が多く来ておられると聞いているのですが。ここで話されている やりとりは、皆様のこれからの政策の推進にとって、非常に基本的な関わりのある領域の 話なので、黙って見過ごす訳にはいかないのではないか、と思う訳ですが・・・(笑い) 。 <質疑応答> ●質問者 この際だから思い切って喋ってしまいます。それこそ「自分から喋らないとい けない」といった場のようなので・・・(笑い)。  情報弱者の問題で身体的なこと等、色々話がありましたが、やはり経済的なものとか、 それこそ大企業は色々な形で様々なものにアクセス出来ますが、例えば中小企業の方はそ こまではなかなか出来ないと思うのです。そういうものを保証するというか、救いあげる ような方法というのが、やはり、どこかで確立されないといけないのではないか。その辺 りについてのお考えや、動向等をお話して頂きたいのですが。

●浜野  ゴアの話ばっかりして恐縮なのですが、「NII」のアジェンダを読みますと 、そういうことは全部議論されていて、例えば「教育にはお金が出ないだろう」とか、「 医療は原則として国が金を出してあげる」と決まっている。インターネットの場合は国の 補助でネットワークとネットワークを繋ぎ、インターネット部分は全て国が補助金を出し ているのです。  今まさに、そういう議論をして、コンセンサスを作って行く時だと、私は思います。

●北矢  なるほど。

●尾野  補足して言いますと、アメリカの他では、韓国の例が面白いんですよ。あそこ は高齢者のパソコン通信が急速に普及し始めた。それには様々な要因があるのですが、例 えば「日本のように漢字が沢山ある訳ではない。ハングル語だとたぶん簡単に出来るのだ ろう」ということもあるでしょう。  韓国にも日本のNTTと同じようにKTがあります。話が変わりますが、百円玉電話を 皆さん使いますよね。百円玉で30円分しか使わなくても、おつりは返ってこないですよね 。面白いことに韓国の人は、KTにその分のお金を「全部還元しろ!」と言ったらしいの です。年間にそれをずっと貯めると、確か20億円位、韓国全体で残るのだそうですが、K Tはそのお金で高齢者向けにパソコン通信端末を作り、優先的に配り始めてしまったそう なんです。すごいですね。毎年7、8万台と言ったかな。優先的にとにかく高齢者の方々に 、それを配って行く。しかもパソコン通信サービスがあって、「PC−VAN」や「NI FTY」といったものと同じなのですが、そこを高齢者、60歳以上には通信料金を無料に する、というようなことまでやってしまっているのです。高齢者が色々な形で救われるこ とをやっているのです。弱者を救う様々な制度があるものですね。

●北矢  残りは、電子ネットワークの上で、色々なやりとりをさせて頂くということに して、この辺りでそろそろお開きにしたいと思います。  本日の4名の方の色々な問題提起、あるいはやりとりを通じて分かって来ましたように 、やはりこのハイパーネットワーク化というのは、既存の秩序を壊し、様々な領域でパラ ダイムの変革を求めるという、非常にある意味で恐ろしい武器なのではないかと思います 。  今まで我々は、ほとんど一方的に例えばマスメディアから情報が送られて来るばかりだ った訳ですし、また、企業から商品サービスを一方的に押しつけられるといった立場にい ました。  しかし、今度は逆に市民が自分から発信し、自分の生活を豊かにするという立場から、 色々な要求をして行くことが出来るようになって来るという意味で、多様な選択肢や可能 性が生まれる。そういう意味では、やはり望ましい方向に社会が向かっているのでしょう し、そういった方向に是非とも持っていかなければならないと考えます。  そして、そういう社会を作って行けるかどうかということがここ5年間位の我々が取り 組むべき課題でありましょう。とりわけ本日会場にいらっしゃっている皆様方が政策当事 者として、勇気と知恵と志を持って頂き、共に頑張って行く必要があるのではないか。色 々な意味で本日4名の方から問題提起されたことは、それぞれの現場の中で、具体的な課 題として、昇華していって頂ければ幸いであります。  どうも2時間あまりの長い間お付き合い頂きまして、誠に有り難うございました。(拍 手) (尚、文章中発言者の御名前は、敬称を略させていただきました。) --レスポンス者(00004-尾野 徹 -TOORU )発言0063@レスポンス006-010 終り--

@レスポンス 007(01802-永野 美恵子 -Mie )94-04-19 22:49* 42回 2065字:記録,大変興味深く読みました. -------

記録,大変興味深く読みました.  浜野さん,富沢さん,そしてもちろん尾野さんはよく存じ上げている方,そんな方 々のお話でしたのでお顔を思いながら読みました.  まさしくハイパー新聞かハイパーマガジンといった感じでフロッピーに 落としてじっくり読みました.  浜野さんは今,最新の世界の情報,それは主にアメリカですが,ゴア副大統領も 身近な人に感じられますね.    尾野さんのお話はいつも個人利用者懇談会で説明なさりたそうに話始められるのに 時間がないといってはしょらざるをえない,そんなお話をじっくりうかがうことが出 来ました.とってもよく解ってそういうことだったのか,と納得できました. アメリカのNII構想をもう実は大分では規模は小さいながらも4年前にじつげんし てしまっている.これはすごいことだと思いました.その中にいますとそんなにすご いことだとはあんまり感じない,しかしその感じがだいじなのではないかと思います. 情報社会というものも,ハイパーねっとワークというものも,そんなふうにさりげな いものでなくてはいけないのではないかと思います.だれにとってもいつでもさりげ なく利用してしまっている.そんな感覚になった時が,ハイパー時代といえるのだと 思います.そうなるために,後から三浦さんがいわれた,弱者のことが大事になって くると思います.  富沢さんはハイパー研のワークショップなどでおなじみの素敵な方ですね. 女性の立場を強調してくださって特に拍手です.  アラジンの魔法のランプ,まさに押し付けられるものではなく,自分のやりたいこ とができるようになるための,ものでなくてはいけない.企業が作ったものを使わせ られるのではなく自分たちの使いたいもの,着たいものが作れるためのもの,  まさしく主人公は私,一人一人が主人公,そういう時代をもたらすためのもの, そんなふうに思いました.  三浦さんのお話では,そんなお話をなさる方だのに,ご自分のことを弱者,とおっ しゃるところがおもしろいと思いました.実際はそんなではないと思いますが,それ でもいろんな意味での情報弱者の事が考えられていると言うことはとてもうれしいこ とです.そういう考えの方が開発をする側にいてくださるということは,これからの 情報社会にとってとても心強いことだと思いました. とてもいい記録をよませていただけたと思います. いろいろな方の感想やご意見をこれからも聞かせてください.     Mie --レスポンス者(01802-永野 美恵子 -Mie )発言0063@レスポンス007-010 終り--

@レスポンス 008(01136-山崎佐和子 -サワッコ )94-04-19 23:45* 43回 382字:個人利用者懇談会では いつも 時間じかんと言って説明をさせてあ -------

個人利用者懇談会では いつも 時間じかんと言って説明をさせてあげなくてスミマセン だから そういった説明会というか 勉強会みたいなものを 個人利用者懇談会とは別に時間をとってしてみたいなぁって思ってるんですよ 新しい話し 興味ありますよね それを 知ってるひと達が話してるんだから もっと興味がありますし 親しみやすい ですよね うんうん ぜひぜひ お話勉強会 してほしいな サワッコ --レスポンス者(01136-山崎佐和子 -サワッコ )発言0063@レスポンス008-010 終り--

@レスポンス 009(00004-尾野 徹 -TOORU )94-04-20 04:15* 43回 266字:あれー、長いのに読んでいただいたんですね、ありがとうございます -------

あれー、長いのに読んでいただいたんですね、ありがとうございます。  アップのしがいがあったというもんです。  ほとんどはよその県とかで話しているけど、最近は大分県内では話ませんもんね。  しかし、私もわからないことがたくさんある。勉強しましょう。  どうぞよろしく。 --レスポンス者(00004-尾野 徹 -TOORU )発言0063@レスポンス009-010 終り--

@レスポンス 010(00367-清水 保雄 -はねちゃん)94-04-20 07:23* 42回 262字:日程と財政の都合がつけば勉強会にも出たいと思ってます -------

日程と財政の都合がつけば勉強会にも出たいと思ってます  私が知らないだけかもしれないのですが、こちらでその方面の勉強会を  探しきれていないもので、それなら大分に出かけた方が確実かな〜と  思っているのです(他に目的があるんだろう...との声が聞こえそうですが) --レスポンス者(00367-清水 保雄 -はねちゃん)発言0063@レスポンス010-010 終り--