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 亡国のイージス

 福井晴敏の同名小説の映画化である「亡国のイージス」は、海上自衛隊が所有する最新鋭の防空システムを搭載した護衛艦「いそかぜ」がテロリストに乗っ取られ、絶大な破壊力を持つ化学兵器(GUSOH)と共に首都、東京に向けて進路を取り始めるという、リアリティーある設定が見もののスケールの大きいアクション・サスペンス映画である。監督に「どついたるねん」「傷だらけの天使」の坂本順治。主演に真田広之、寺尾聡、佐藤浩市、中井貴一。

福井晴敏と言えば「終戦のローレライ」が映画化され、また映画「戦国自衛隊1549」の原作を手がけるなど、今注目を集めている作家である。その福井晴敏が1999年に発表した小説が本作の原作となった「亡国のイージス」である。この映画の製作には海上自衛隊、航空自衛隊の全面協力のもと撮影が行われ、静岡県・相良町に実物大のイージス艦の全長161メートルのうち、全体の約3分の2となる長さ77メートル、高さ27メートル、幅21メートルの大きさのオープンセットを建造したという、総制作費12億円を投じた久々にみるスケールの大きな日本映画である


それではそれだけ大きなスケールの映画の完成度はというと、非常に残念な内容に終わっている。これは編集をウィリアム・アンダーソンに委ねてしまったところに大きな失敗があると思える。確かにハリウッドで活躍するスタッフを導入することは、今までの日本映画の枠を超えた作品作りに繋がるのだろうが、これまでの日本映画にはない速い展開になっている事を除いて、映画で描かれてなくてはならない部分が完全に欠落しているのは失敗だとしか言えない。恐らく、ウィリアム・アンダーソンはこの映画の真意を理解していなかったに違いない。音楽もまた、ハリウッドで活躍するトレヴァー・ジョーンズが担当しているが、唯一、この音楽だけは成功しているように思えた。編集は日本語がはっきりと理解できる編集マンに頼んでいたら、この映画の中盤から後半にかけてみられる混乱はなかったように思えて仕方がない。だが、編集だけの責任ではなく演出側の問題もあった。それは、間違いなくこの映画では不要だった某国女工作員の描き方と、真田広之、中井貴一の最後の格闘シーンである。特に最後の必死にイージス艦を守ろうと旗を振る真田広之のシーンは、クライマックスなのに感動を通り越して大いに笑える。前半の部分が非常によく出来ていただけに、中盤から後半にかけて無茶苦茶になってしまうのは、これまでスケールの大きな映画を撮った事がない坂本順治監督には荷が重すぎたのかもしれない。

この映画の唯一の見所はわずか2つ、イージス艦「いそかぜ」から発射されたミサイルによって同胞の「うらかぜ」が攻撃を受けるシーンと、某国対日工作員ヨンファ扮する中井貴一のセリフ「日本人、これが戦争だ」というシーンである。


今回の評価100点満点中、30点
(歯を食いしばって格闘する中井貴一の演技は何度見ても笑える。一人肩で息をしながらシリアスな演技をする真田広之の努力もむなしく、ラストの旗ふる姿に大爆笑だった。。残念。)

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