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 タイトル表記は英語ですが邦画です。桐野夏生の同名小説が原作。6年前にこの小説が世に出たときは「暴力夫を殺して、その死体をパート仲間がバラバラに?!」「ごくフツーのパートをしている主婦4人が犯罪を犯すなんて!」と、かなり衝撃的でしたが、その後は現実のほうがスゴイことになってますね......。
元・看護婦の4人が保険金目当てで殺人を重ねたり、自分の親や知人と同居しながら脅して殺した疑いのある男女二人組とか。こんな今だからこその映画化は、いやな言葉だけど、ある意味タイムリーなのかも。私は映画を観る直前に図書館で原作を借りて読んだのですが、グイグイと引き込まれる話の展開ではあるけれど、かなり重くて暗いトーンが全編をおおっていました。
さて、この話の映像化って一体どんな風だろうと思いつつ映画館へ行ったのですが。なんと、あっと驚くくらい「ドン底で”火事場のバカ力”を出したとも思える、女4人の痛快活劇」といった感じに変貌していました。もちろん犯罪の話には変わりないので、彼女たちのやらかしたことは世間的に許されることではないのだけど、何か「うわー、やったー!」という気分になってしまう。ところどころプッと笑いさえ出てしまうほど。4人の、人生に疲れた、もう若くはない女たちが、いかにして現状の閉塞感から脱出していくかを「おーっ!」と手を叩きたくなるくらいのぶちきれっぷりで描いています。
演じている原田美枝子、倍賞美津子、室井滋、西田尚美が4人ともハマっていたと思います。あの美しい原田美枝子がリアルな主婦を演じていたし(生活感の漂わせ方が上手いと思いました)また、見栄っぱりでブランド品をどんどん買いあさって借金地獄に陥っている「邦子」を演じた室井滋は、原作ではスゴイいやな女だったんだけど、映画では、どうしようもない奴だけど憎めない奴になっていました。
後半は原作とは違う展開で、まるでアメリカ映画『テルマ&ルイーズ』みたいに暴走しちゃうんですよ。私は「えっ、こうくるか?!」と驚いたんですけど、こういう変わり方なら大歓迎。(思わず、『模倣犯』の森田芳光監督に見習ってほしいもんだと思いました....。正しい”原作があるホンの映画化”とは、こういうモンですよ。)なんだか邦画には珍しい、カラッとした犯罪劇というか。根底はかなり重い話(真夜中の過酷なパート、工場での流れ作業、夫の暴力、老母の介護、子供の引きこもり、夫のリストラ、借金地獄。これだけの現実的なしんどいエピソードが詰まっている!)なのに、それをこういう味付けにしてしまった平山秀幸監督の手腕、恐るべし! 映画雑誌『プレミア』11月号のインタビューで平山監督が「ドイツ映画の『バンディッツ』なんて僕は見ていて気持ちよかった。映画の作りはいい加減だけど、女性グループの逃げ回り劇として成立しているなと。女性映画として考えたのはこれくらい。」と語っていたのに「はー、なるほど。そういう感性の監督ならではのストーリー展開だ」と納得した私です。


 ちなみに私は金曜日の仕事帰りに映画館に行ったんですが、私以外にはご年輩の夫婦が一組。なんと、たったの3人で見ました。ううーん、こんな面白い映画、もっとたくさんの人に見て欲しいぞ!


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