10ヶ月の娘です。先日、ハチミツの含まれているおせんべいを食べてしまいました。表面に塗られているたれに含まれているようです。乳児ボ ツリヌス症という恐ろしい病気があることを知り、心配でたまりません。食べたのは、ごく小量ですが・・・大丈夫でしょうか。。

 

 

乳児ボツリヌス症は、ボツリヌス菌という細菌による病気で、1
才未満(主に6か月未満)の乳児に起こります。この菌は食中毒を起こす菌としても知られており、「嫌気性菌」という、酸素の少ない環境で増殖する菌の一つです。もともとは土の中にいるのですが、ボツリヌス菌のいる土に生えた花に菌がつき、その花粉をミツバチが運ぶことでハチミツの中に菌が入ります。ボツリヌス菌はハチミツの中では「芽胞」という眠っているような状態で存在し、乳児の腸管に入ると増殖して毒素を出します。1才を過ぎると、腸の中の正常な大腸菌が増えてボツリヌス菌は増殖できなくなるため、菌が腸管内に入ってもボツリヌス症を起こさなくなります。

ボツリヌス毒素は神経を麻痺させる作用を持ち、乳児に、便秘、元気がない、哺乳力が弱い、泣き声が弱い、よだれが多い、首のすわりが悪くなった、などの症状を起こします。潜伏期間(ハチミツを食べてから症状が出始めるまで)は、3日から30日程度と幅があります。症状は数日かかって徐々に出てくることもありますし、急激に出てくることもあります。最終的には全身の麻痺が起こり、症状が強いときは呼吸が悪くなることもあります。

診断は、症状やハチミツを食べた既往から疑い、便や血液中のボツリヌス毒素を調べることで確定できます。
治療としては、栄養管理や呼吸筋麻痺に対する呼吸管理などの対症療法が中心です。致命率は1〜3%と低いのですが、完全に治るまでには数ヶ月を要します。細菌を殺す抗生剤や、毒素を中和する抗毒素の治療は、効果が不十分であることや副作用の問題からあまり行われません。

ハチミツがボツリヌス菌に汚染されている割合は、アメリカでは市販のハチミツの10-15%、日本では5%程度だそうです。

ご質問の方の場合、たれをつけた後に焼いてあるせんべいであれば問題はないと思いますが、焼いた後にハチミツ入りのたれを塗ってあるのであれば、乳児ボツリヌス症を起こす可能性は完全には否定できないでしょう。前述の症状が疑われる場合にはすぐに医療機関を受診し、乳児ボツリヌス症の可能性がないか調べてもらってください。(月齢的には1才に近く、乳児ボツリヌス症は起こしにくくなっているとは思いますが)。

乳児ボツリヌス症については、

ハチミツ
http://www.coara.or.jp/baby/dr/1999/298.html

にも簡単に書いています。




徳永洋一 


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