2歳9ヶ月の男の子です。2ヶ月になる3日前に高熱を出し、尿路感染症と診断され、詳しい検査の結果右の尿管に逆流が見られるとの事でした。成長と共に治る場合もあるとの事で感染を起こさないように成長を見守ってきましたが、先月の再検査で変化が見られないので手術したほうが良いとの事でした。手術の危険性と入院期間、体のどの辺をどのくらい切るのでしょうか?やはり手術したほうが良いのでしょうか?レベル3との事で、現在 抗生物質等の薬も服用せず1年以上になりますが感染症も起こさず元気です。毎月1回 尿検査の為通院しております。

 

 「尿管」は腎臓と膀胱を結ぶ管で、膀胱に入っていくところに逆流を防ぐ構造があるため、普通は膀胱にたまった尿が尿管の方へ逆流することはありません。ところが、この部分の構造に異常があると逆流が起こります。これを「膀胱尿管逆流(VUR)」と言います。

VURがあると、排尿しようとしていきんだりした時に膀胱から尿管を通じて腎臓の内側に強い圧力がかかります。そのために腎臓の内側が押し広げられ(「水腎症」と言います)、少しずつ痛めつけられて、「逆流性腎症」という状態が起こり、腎臓の機能が低下していくことがあります。

また、VURのある時に膀胱炎を起こすと、膀胱の細菌が腎臓の方に逆流し、「腎盂腎炎」という状態になり、突然の高熱で発症したりします。腎臓は血管から尿をこし出す臓器のため、「腎盂腎炎」を起こすと血管の中に細菌が入っていく「敗血症」を起こしやすく、抗生剤の点滴による強力な治療が必要になります。また、腎臓に細菌が増えることで腎臓の組織がさらに傷つき、腎機能の低下につながります。

「レベル3」(あるいは「グレードIII」)とは、VURの程度を示す数値でしょう。逆流の程度はI〜Vの5段階で表されます。程度がひどい場合(グレードV)やグレードIII〜IVでも両側性の場合には早期に手術を考えます。グレードIII〜IVで片側性の場合には2〜4割の患者さんで自然に良くなることがありますが、VURは2才前後に治らなければ自然治癒は非常に少なくなるため、これを過ぎると手術を考えます。あまり腎機能が落ちてしまってからの手術では遅い可能性があります。このお子さんの腎機能が現在既に落ちているのかいないのか、手術がいつ頃まで待てそうなのか、腎機能が既に落ちている場合には今手術をすることでどれくらい改善が期待されるのか、などを主治医の先生に聞かれたらよいと思います。

VURに対する手術は、尿管が膀胱に入る部分を粘膜下のトンネルに通し逆流を防ぐ手術になります。下着に隠れるあたりを横に切り開き、入院期間は3週間程度のことが多いそうです。また、尿管の上の方や膀胱から尿が出ていくところに狭窄など他の異常を合併している場合にはそちらの手術も必要になります。手術の具体的なことは主治医の先生にうかがって下さい。

                        徳永洋一 


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