生後4ヶ月の男児です。1ヶ月前、耳漏のため耳鼻科にかかりました。急性の中耳炎 と診断され通院中です。経過は良好です。内服薬は鼻水の薬だけで、はじめから抗生剤は使用していません。しかし初診時の細菌検査で、耐性黄色ブドウ球菌が出ていると、後日言われました。過去に抗生剤を服用したのは1度だけ。なぜ耐性黄色ブドウ球菌が検出されたのか疑問です。あと2点目に、同月齢の赤ちゃんが5人いる家庭保育園に預けているのですが、その菌を持っていることで他のお子さんに悪影響を与えることはないでしょうか?

耐性黄色ブドウ球菌(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌=MRSA)は、実は今やどこにでもいる細菌です。健康な人でも、鼻の中の細菌培養をするとMRSAが生えてくることがあります。このように健康なのにMRSAを持っている人を「キャリア」(健康保菌者)と言います。この子もたまたまどこかからMRSAをもらってキャリアとなり、風邪などから中耳炎となった際にMRSAが増殖したのではないかと思います。

健康な成人などでは、キャリアになっても菌の量が少ないので病気を起こしたりはしません。しかし、体力の落ちた老人や、手術や病気の治療で体力や免疫力の落ちている人にMRSAが付くと、それによる肺炎などの感染症を起こすことがあり、抗生剤が効きにくいので治療に難渋します。
また、人の口や鼻の中には「常在菌」という、病気を起こさない菌が住み着いていますが、常在菌がまわりにあると、MRSAが少量いてもあまり増えることができません。
強力な抗生剤を使って、常在菌まで根こそぎ殺してしまうと、生き残ったMRSAが増殖してしまいます。

MRSAを増やさないためには、やみくもにすべての菌を殺してしまう強い抗生剤を最初から使うことを避け、病気の原因となっている菌だけを殺す抗生剤を医師がきちんと選んで投与する必要があります。
また、ウイルス性の「風邪」には抗生剤は効きません。「風邪」に抗生剤を使うのは、ウイルス感染に細菌感染も加わって症状を強めていると思われる場合や、途中経過によって抗生剤を追加するのが難しい場合などです。「風邪をひいたから抗生剤を下さい」と時々言われますが、耐性菌を増やさないためには不必要な抗生剤の使用をできるだけ避ける必要があります。

なお、保育園は、耳漏が多いときなどは休ませた方がよいと思いますが、本人が健康であれば問題はありません。

 

               徳永洋一 


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