2001.09.02
■その 1(全 3ページ)
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 今回、別府八湯メーリングリストの有志でその白雲山荘を見に行くことに。なにやら、なかなか古い建造物らしい。

 10:00にホテル白雲山荘の前に集合・・・と、また車に乗り込んで少し山の上へ移動します。さっきの場所が白雲山荘じゃないの? しかし一行はまだまだ上る・・・。
 別府市の高台、観海寺温泉にある老舗ホテルのひとつ、ホテル白雲山荘。昭和33年の全国植樹祭の折には昭和天皇もお泊りになった由緒あるホテルです。ただし、諸事情で現在休館中。いつもは賑わっているはずの日曜日ですが静かに佇んでいます。

 駐車場には昭和天皇が宿泊の際に読まれた句の石碑があります。

「桜花 今をさかりと 咲きみちて 霞にまごう 宿のみはらし」

満開に咲き誇る桜と、別府湾を見下ろす見事な景観を歌った句です。

 山道の途中で車を止め、山門から少し下ります。あまり人が近づかないのか、だいぶ荒れた道です。

 玄関らしきものが見えてきました。これが、メーリングリストで噂になった本物の白雲山荘なのか? 頭の中は疑問だらけ・・・。


 とにかく玄関前までたどり着いついたので早速中に入るとしましょう。中はなにやらくらーい感じ。少し緊張気味に建物の中へ・・・。
 玄関も一枚板のすばらしいもの。ですが、今回は靴のままでお邪魔します。
 建物の中は真っ暗。電気もありません。ヨッシーさんこと吉永さんが懐中電灯で照らしてくれた。さすが準備がいい!

 昼でも真っ暗な家の中に入るのは気持ちのいいものではないです。今回は気心の知れた仲間と一緒なのでがんばれますが、一人だったらきっと躊躇したでしょう。

 写真を撮るときは真っ暗で気づかなかったが、階段横の壁は崩れて外が見える。


 階段を上り2階へ。前のほうでトイレを見ながらなにやら盛り上がっている。何かと思えば、昭和天皇が利用になったトイレ。
 上に写っているものは、便器のふた。赤い部分は漆塗りのようです。最初から度肝を抜かれた、と同時にため息。


 そうして一行は2階の客室へ。一同窓からの景色に見入る。

 この部屋は昭和天皇がお泊りになった部屋。数十年前、まだ若いころの昭和天皇もこうして外を眺めたはず。
 そのテーブルの上には、ちょこんと宗教書が乗っていた。この本はどんなお客様によってページをめくられ、いつからこうしてポツリと次のお客様を待っているのだろうか・・・。

なんだか胸がきゅっとした。
 今回の探検・・・もとい、見学会には大分大学の井上教授をはじめ、建築士の方など建築に明るい方も多数いらっしゃっている。みな、自分の専門分野をじっくり観察している。

 残念なことに照明は取り外され、畳も上げられており、旅館としてのたたずまいは薄い。それでも一枚板で作られた床など調度品は超一流だ。
 2階の最後の写真として、昭和天皇が句に読んだほどの窓からの景色を・・・。

 本当に残念なことに左手には杉乃井ホテルが壁を作り、右手にはマンションが壁を作り、別府湾を一望できたはずのこの場所からは、額ほどの広さの別府湾が見えるのみだ。
 白雲山荘の歴史は景観の侵略に耐え忍んだ歴史でもある。

 商売だから、お客様に喜んでいただくために施設を拡充するのは当たり前だ。しかし、その地区の発展を無視して、限られた業者だけが恩恵を受けようと考えた結果、今の観海寺の凋落がある。

 今回の見学会で、この窓から眺めたすべての参加者が、この障害物のない時代の風景を必死に想像したに違いない。
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Reported by Kuniaki Kadowaki
別府八湯ML
大分コアラ 天神コアラ