ノーベル受賞者を囲む
フォーラム「21世紀への創造」
日時:1999年11月10日(水)13時30分〜
場所:オアシス広場21・音の泉ホール
主催:読売新聞社・NHK・大分県・大分県一村一品21推進協議会
フォーラムの模様はオンディマンドでご覧頂けます。クリック→


国内外のノーベル賞受賞者を迎え、「21世紀への創造」をテーマに、読売新聞社NHK主催により、毎年開催されているフォーラム。11回目となる今年は、1964年、生物学・医学賞受賞のチャールズ・タウンズ教授、1973年に物理学賞受賞の江崎玲於奈博士、1998年経済学賞受賞のアマーチャ・セン教授をお迎えし、ここ、大分市で開催されました。

その他にも、利根川進教授ハートムート・ミヘル博士大江健三郎氏が参加するセッションは、兵庫県西宮市、東京、茨城県筑波市でも開催されます。

生活が多様化し、多岐にわたり技術が発明され、物が豊富に揃い、便利になっている現在の社会。しかし、一体何を基準に”豊か”と呼ぶのでしょうか?と、主催の読売新聞社さんにより、問題が投げかけられ開幕したフォーラムには、県内外から貴重なお話を聞こうと、多くの方が詰め掛けていました。

「21世紀の人づくり−異文化を超えて」と題され始まったセッション。

最初の基調講演は、私達の生活の中では当たり前になっている、コンパクトディスクやバーコードの読み取り機、光ファイバー通信等を発明し、レーザーの原理を発表し、1964年にノーベル物理学賞を受賞された、チャールズ・タウンズ教授

地球外知的生命の探求、新細胞の開発、人間の脳の解明、ブラックホールの質量を利用してのエネルギーの開発研究等々、様々な分野において 調査を続けられているタウンズ教授ですが、「科学と技術、そして国家間、人間一人一人との交流が最も重要」と、新技術が生み出される背景には、様々なアイディアの交換、そして社会環境が及ぼす力は大きいのでは、話されます。
文明を向上させる為に必要不可欠なのは、次世代への教育であり、基礎原理さえ習得しておけば、柔軟な姿勢で将来の異変へも取り組めるだろうと。固定観念に捕らわれず、別の見方をする事で新たな発見があるのだと。

次に講演をして下さったのは、1957年にトンネル効果を発見し、エサキダイオードを発明、現在のICチップの前衛を作り上げた、1975年にノーベル物理学賞を受賞された、江崎玲於奈博士

「しがらみに捕らわれず、大先生にのめり込まず、無用な物は捨て、自己主張の為に戦い、そして初々しい好奇心を忘れてはならない」と、五箇条を挙げられ、探求を続けていく姿勢が大事だと、話されます。

また、教育内容を充実させていかなくてはならない、と言われます。教育とは本来、生きがいを探し出し、満足する人生への道具であり、その為に自己探求の場を与え、自己を高める為に勉強するものなのだと。ベンジャミン・フランクリンの、「自分が巻き込まれなくては学ばない」、という様に、個人が興味ある分野を追求していくことも大事なのだと。


お二人の基調講演に続き、1998年にアジアで始めてノーベル経済学賞を受賞された、アマーチャ・セン教授平松大分県知事、そしてコーディネーターに、ジャーナリストの宮崎緑氏を交えてのパネルディスカッションです。

最初に、「経済効果のみを考えた教育ではいけない」と、アマーチャ・セン教授の講演です。

女性の識字率を高める事で出生率の低下、また、女性の社会での地位を確立する事が、発展途上国が抱える様々な問題の解決への鍵ではないかと、話されます。また、生産性を生み出すだけではなく、社会的にも貢献できる得る、教育システムを育んでいかなくてはならないのだと。

そして、”一村一品運動”を始められた平松知事ですが、地域が自主自立し、独自の文化・製品を利用して、世界へも通じる物を作り出していく、”グローカリゼーション”が必要なのだと言われます。また、アジア諸国と日本が協力していくことも大事なのだと。また、教育という面では、家庭の役割は大きく、親の子供への感心、協力も不可欠なのではと。

続いては、会場からの質問コーナーです。14歳の女の子からは、「勉強するのは大事ですか?」との質問。勉学だけではなく、人との出会いや交流が新しい発見を生み出し、そして人間形成には必要なのだといいます。ご自身達も、一つの道に縛られす様々な経験をしていく中で、現在の研究の基礎を学んだのだと、体験を交えてのコメントを下さいました。

最後に皆さんから、自分の好奇心を追求し、自分の力で自分を作り、そしてその為への環境作りをしていかなくてはいけないと、頭でっかちにならず、楽しんで学ぶ中から新技術が生まれていくのだと、話されました。



「人材育成」といいますが、江崎博士が話していた様に、「こうでなくてはいけない」と、
型にはまった教育をするのではなく、人は皆違う様に、それぞれの特異な部分を引き出し、
各々の個性を育てていく事が大事なのだと思いました。
講演をして下さった方々は、自分の研究分野だけではなく色々な事に興味を持たれていて、
創造性に富み、そして年齢に関係なく人生を楽しまれていて、皆さんのお話はとても勉強になりました。
コアラトップページへ (1999年11月10日 Reported by Y.Kusamoto)