ジャーナリスト・セミナー’99
福岡アメリカンセンター

 福岡アメリカンセンターにて「九州・山口ジャーナリスト・セミナー」が開催されました。(1999.6.18)

 九州・山口一円のテレビ局・新聞社・ラジオ局など各メディアから参加者は約40名。

 今まさにデジタル・メディアの革新時代、ジャーナリズムに関わりある方がたには、アメリカの事例は非常に興味深いところでしょう。

 クラウチ館長が、アーサー・C・クラークの「2001年宇宙の旅」の一節を引用され、SF小説に描かれた未来は、まさに目の前に現実となりつつあり、人々が情報を入手する方法も大きく変わってきていることを話され、開催のご挨拶をされました。


「マルチメディア時代のジャーナリズム       
            インタラクティブ時代の報道」

 モデレーター:日本経済新聞社産業部
        関口和一氏

「ソフトバンクがNASDAQでオンライン市場をインターネット上に作る、というのには驚きましたね。
 私もついに、インターネットで24時間好きな時に使える利便性から、銀行をアメリカの銀行へ移しました。
 これらの背景にある技術革新は驚くべき早さで起こっています。
 我々のメディアはどこへ向い、どこに未来があるのでしょうか。」

 

 クリストファー・ハーパー氏
 (イサカ・カレッジ教授)

 ハーパー氏は、ニューズウィーク記者、ABCニュースのカイロ支局長などを経て、NY大学ジャーナリズム学科教授から、現在はイサカ・カレッジ教授。

 メディアはますますシームレスになり、24-hours-a-day, 7-days-in-a-week の形態になってきています。
 アメリカの若者は、新聞を読まず、大抵の情報をTVを見て得ていますが、やがては間違い無くWEB へ移り行くでしょう。
 今や、アメリカで最も有名で巨大なメディアがAOLであることが、これを裏づけています。

 情報を受け取る側が変わってきたのですから、提供する側、ジャーナリズムそのものも変わりつつあります。
 かつては、出向いて記事を見つける、リサーチする、レポートする、書く・・・といった個々のプロセスを行っていましたが、今では、ネットワーク上の情報にアクセスして「ストーリーを見つける」、といった動きになってきています。


 手にされているのは、"電子BOOK"

 インターネット上の記事は、多方面から記事を読み取ることができます。(これをLayering と言われてました)つまり、人によって記事の見方が違う、ということです。

 受け取り手が情報を選択できるようになった今、デジタル・メディアの世界では、既存の名のあるメディアよりも、新しいメディアの方がよく目につきます。
 次世代の若者達は、このデジタル・メディアを完全に包括してしまうでしょう。

 

 ピーター・ゾルマン氏
(アドバンスト・インタラクティブ
 メディア・グループ、LLC社長)


 ゾルマン氏は、NY州のトナワンダ・ニュース誌でジャーナリストとして活躍、伝統的なメディア、新聞、テレビ、ラジオ、通信社等で25年の経験を持つ。13のジャーナリズム関係の賞を受賞。

 

 ゾルマン氏は「コンテンツの多様化」を強調されていました。
 WEB サイト、いわゆるプラットホームの多様化です。今や、新聞社のWEB サイト にも、音声、ビデオ、テキストが含まれています。
 さらに、e-コマース(e-commerce)が関わってくる。

 メディアによるe-コマースが始まり、まさに、インタラクティブ(双方向)・ジャーナリズムが起こっているのです。
 大学、テレビ局、ラジオ局、新聞社、求人サイト、出版社などのホームページにはショッピングのできるe-コマースがかまされています。
 ゾルマン氏が挙げられた例をいくつかURLでリストアップいたします。

 ・プリンストン大学
  http://www.pacpub.com/
 ・テレビ局CHANNEL4000
  http://www.channel4000.com/
 ・Consumer Reports Online
  http://www.consumerreports.org/
 ・The Street.com
  http://www.thestreet.com/
 ・求人サイト、monster.com
  http://www.monster.com/
 ・ONSALE.COM
  http://www.onsale.com/

 特に、シカゴ・トリビューンのサイトは、TV、ラジオ、出版・・・といったコンテンツがあり、まさに向かうべき方向性がある、ということでした。
  http://www.chicagotribune.com/

 これからの記者は、書くことだけができればいい、というわけではなくなってきています。
 ラジオ、テレビ、出版、オンライン、そして、企画、ディレクターもできなければならないでしょう。

 しかし、WEBを作るのは少人数、紙を作るのは多人数。メディアが本当に変わった時に、どううまく経営できるのか?という問題も依然としてあります。

 

 渡辺豊氏
 毎日新聞社総合メディア事業部
 データベース部長

 
キャプテンシステム、文字放送、CATV、パソコン通信、電子新聞、データベースなど、ニューメディア・マルチメディアのコンテンツ制作現場へ従事。

 いいものを作るだけではなく、売れなければダメだという経営の中で、「土俵を変えたい」という意味あいもあり、インターネット上の新聞を展開。
 毎日新聞ホームページ http://www.mainichi.co.jp/
 情報は有料であることを認識してもらいたい、コンテンツプロバイダーに徹する、何にでも挑戦する、という意識を持たれているということ。
 「おもしろがって作っているぺージや一生懸命作っているページは面白い」

 会場からの質問は、著作権の問題に関するものがいくつかあがりました。

 これはアメリカでも現在重要な問題であるようで、毎日新聞さんも試行錯誤で一部の写真公開を行ったり、といったことをなされているようです。

 意外にも、まだ新聞社やテレビ局の方々で電子メール・アドレスを持っていない方が多いこと、Yahoo を知らない方が多いことに驚かされます。
「電子メールをもっていないことを恥じることはありません。
 まだ使っていない人は数多くいます、これから使えばいいのです。
 しかし、これらを使いこなせなければ、あなた方は負けです。
 これは間違いありません。」
と、断言されるゾルマン氏。
 このセリフ、2、3年前に既にアメリカで使い果たされた言葉だろうなあ、
と思ってしまったのは私だけでしょうか・・・。
(つまり、日本はやはり遅れているということ・・・?)


By Miho Tomonari