ハイパーフォ ーラム「地域は舞台」 in 大分

 2000年10月20日(金)、大分市内にて開催された「ハイパーフォーラム 地域は舞台 in 大分」は、サントリー文化財団とサントリー地域文化賞を受賞した大分県の6団体(注1)で共同開催されたものです。

 今回のフォーラムは、インターネットを切り口に、地域と文化に関する新たな知見を全国に発信しようという試み。

 大分には日本初の地域ネット・コアラがあり、国の研究所である(財)ハイパーネットワーク社会研究所があり、情報化には先駆けた地域。

 時代と社会が革新的な流れにある21世紀の地域と文化のあり方を考える本フォーラム、各地域を元気付ける若きリーダー達の精力的な声を聞くことができました。

 このフォーラムへは、大分のみならず日本各地から参加者のかたがいらしています。 

 「夜なべ談義が湯布院だから」という声も聞かれ・・・。

 また、このフォーラムのもようはインターネットにて映像生中継にされましたが、現在オンデマンドで視聴可能です。(視聴するためにはReal Player が必要です)
オンデマンドはクリック!

 進行に、サントリー文化財団の小島 多恵子さん。

 はじめに、サントリー文化財団理事長の鳥井信一郎氏から

「既存文化とインターネットの融合でどうなるのだろう?というお話を今回のフォーラムで討議していただきたい。」

とご挨拶。

 次に、パネラーの方々から簡単な紹介プレゼンテーション。

 高知県の「若いもんネットワーク事務局」の畑俊八さん。

 高知県庁で林業を担当していた時に大正町に赴任、そのまま町に定住して仕事も辞め、仲間たちと有機栽培農業に取り組むようになる。

 大正町は人口3700人の町。

 「若いもんネットワーク」という、農業おたく(?)のあつまりで、物の値段や物流の情報不足をホームページで提供したり、、、

 仲間全員が携帯電話をもち、離れた場所にいても、リアルタイムに農業作業の情報交換が行われているそうです。

 そもそも「電脳中津川小学校」という同窓会ホームページを作ったことで、同窓生たちがホームページに集まり、仮想の運動会などをやっていく中で、過疎の学校同士のつきあいも生まれてきたということ。

 やがて、4つの自給(遊び、エネルギー、住環境、安全な食)を具体化した中山間のネットワークができあがったそうです。

 田舎に住んで見えてきたことは、暮らしぶりよりも「場所」が大事だということ。土地や地域と結びついた物産を生み出すこと。

 IT技術とは、それらを運んだりつないだりする「こころの高速道路」ではないか、と畑さん。

 畑さんの活動は以下のページから
 http://www.simanto.com/

 長谷川岳さんは、北海道大学在学中の92年に、第一回YOSAKOIソーラン祭りを企画し開催。

 札幌の街全体を舞台にした参加型祭として、年々大きな成長を遂げています。

 1992年の第一回は、参加10チーム1000人、観客20万人。1996年には参加108チーム1000人、観客107万人。2000年には参加375チーム38000人、観客1825000人、視聴率20.21%。

 祭りの経済効果は200億3000万。

 学生5人ではじめた、札幌を自分たちの舞台にしようとはじめたお祭りが、今ではボランティアを含めて4000人の人たちによって支えられているということ。

 祭り期間5日間のホームページアクセスは、200000ヒット。

 現在、YOSAKOIネットと株式会社化してインターネットを利用したお祭りの新しい展開をはじめています。

 YOSAKOIネットの公式サイトは以下
 http://www.tokeidai.co.jp/yosakoi/

 現在、東京の八王子市議会議員、もとミス日本の佐野美和さん。

 (藤原紀香がミス日本グランプリだった同期だそうで・・・バブルの時期は六本木で長野県知事になった田中康夫氏も仲間でブイブイいわせてたらしい・・・)

 26歳で議員当選、自分の言葉で喋れる女性議員のパイオニアになりたかった、と言われます。

 日本の20代の女性によくあるような、ブランドやファッションやおしゃれなお店の話等、世俗的な議員がいなけらばならない!と手をあげたのだそうです。

 現在は自分のホームページを、政策を打ち出したり、議会答弁を掲載したり、一般質問を募ったり、と積極的に利用しているそうです。

 そのホームページは、こちら
 http://www.ne.jp/asahi/miwa/sano/

 かなり露出の高い写真も掲載して、議会でひんしゅくをかってしまったことも・・・と、魅惑的なしぐさで紹介されていました。

 次に、由布院温泉観光協会常務理事として、青年部(ゆふいん電脳旅篭衆)でホームページたちあげから、一児の母として、旅館の女将として、精力的に活躍される桑野和泉さん。

 記録を残すことを大切にしてきた湯布院。

 今年、湯布院でどう暮らし、どうしてゆきたいかを討議する「観光フォーラム21 in 由布院アートホール」が開催されました。

 このフォーラムでは、農林水産省から出向されている25歳の青年が新鮮な目で湯布院を見た視点、湯布院の料理人、職人、と4人の若手がプレゼンを行い、若い人が動き、まとめ役を果たし、街づくりの情報加工を行っています。

 また、桑野さんの本職「由布院玉の湯」旅館のホームページでも、湯布院の今を毎日「由布岳」の写真で発信しつづけています。

 玉の湯のホームページは、コアラのネットワークで出会った人がプロになって、ホームページを作っているそうです。

 インターネットは、町を深く見つめる上で大変有効に感じます、と桑野さん。

 「由布院玉の湯」旅館のホームページは
 http://www.tamanoyu.co.jp

 最後にニューコアラ運営委員会の会長・尾野徹氏。

 ・・・の前に、コアラメンバーによって作られたビデオクリップで、コアラが紹介されます。

 「自分は名なしの権兵衛ではないか?」という疑問や寂しさから、電子ネットワークの中で「僕も主人公、あなたも主人公」という、活き活きとした活力ある地域が生まれてきた、それがコアラです。

・・・と、自らもコアラで楽しんだり社会活動を積極的に行ってきたことを紹介されます。

 コアラの歩んできた歴史は、一言では言い表すことができません・・・以下のアドレスでご覧下さい。
http://www.coara.or.jp/Contents/histry.html

 続いて、竹内宏氏の基調講演。

 テーマは「21世紀の地域に生きる」。

 竹内先生、かつて長銀にいらしたそうですが破綻で研究所に移り、そちらも破綻、、、と大変な経歴をお持ちのようで・・・(ご自分で冗談めかしてお話されていました)。しかし、さすが。現在大学教授でもあり、財団法人静岡総合研究所理事長、と知識を活かされて活躍されています。

 その竹内先生のお話を要約いたしますと・・・

 現在、日本の1人あたりの所得はシンガポールに抜かれてしまった。
 インターネットの普及率も、アメリカは40%強、韓国・台湾・中国が30%強、日本は20%弱。日本は情報化に弱い。

 日本の最大の問題は無駄なものを作ってきた財政赤字である。
 現在、市場経済はITに活路を求めている。

 かつての企業は、従業員重視であったが、これからの企業は株主重視という欧米化に変わってくる。

 よって社員は、パソコンができて、英語ができて、ネットワークがある、、、インターネットが使えて判断能力があれば、会社がつぶれてもクビになっても、2,3社から引き抜かれることがありうる。

 つまり、1つ目の変化として

  人々は社会や会社へ帰属するのではなくて
   ・仕事に帰属する
   ・地域社会へ帰属する(SOHOなどの実現により)
  会社人間から専門家となり、会社から企業へ帰属するようになってくる。

 さらに、地方は東京経由のパイプができており、中央主体の成長がみられる。コミュニティが失われ、流通革命が発生した。 (20000人の町では、スーパー2軒、コンビニ5軒で既存の店は壊滅的打撃を受ける

 ここに、インターネットショップのデリバリーが登場。
 本や決まりきったものは、注文するところはインターネット、配送は既存機能、受け取るのは、コンビニやキオスク、という流れができはじめた。

 よって、インターネット化されればされるほど、コンビニが生活拠点になるかもしれない。

 現在、ITでの受注は20%。
 もっと高まれば、地方の経済が中抜きされることになる。

 つまり、インターネットに日本の将来をたくすことは、要領の悪いところを捨て、効果の良いところを使うことになり、これが日本の将来を引っ張ることになる。

 また、世の中はインターネットがあるとファジーになる。
 若者は携帯電話で移動しながら約束し、企業はネットを使って部品を安く手に入れ全体コストを柔軟に変化させられる、、、
 企業はフリーターやゼネラリスト、スペシャリストを組み合わせる必要があるだろう。

 地域は、人が喜んで住むような地域でなければならない。
 これまで地域の歴史・環境の中で、教育や社会形成で優れた企業や人材が生まれてきた。
 しかし、ITは歴史がない。
 にも関わらず、渋谷のビットバレーのようなものができあがっている。

 ITで、ダイナミックな変化が起こり、とんでもない社会がやってくるかもしれない。

 竹内宏先生のホームページは
 http://www.ne.jp/asahi/takeuchi/hiroshi/

 ひと呼吸おいてから、パネルディスカッション。

 各パネラーの方の活動状況やさまざまな将来展望が述べられました。
 そこに感じられるそれぞれの想いは、とても熱く深く、改めて地域をじっくりと考え直すことができました。

 若い力で地域を活力あるものにする、これはとても重要なことでしょう。

 そして、優秀なリーダーとなる人材、継続しつづける力、新しいもの取り入れる勇気・・・。

 自分は何ができるのか?どこにいるのか?
 様々に考えさせられる非常に刺激的なフォーラムでありました。

 このフォーラムの後、参加者の方々は湯布院へ移動して約40名の日本各地からの方とお食事をしながら夜なべ談義を楽しみました。
 ここでも熱い語らいが途切れることなく、深夜(早朝?)2時まで語らいが続いたそうです。
 その様子は続いてレポートでご紹介いたします。


(注1)
 大分県民オペラ協会/湯布院自然と分化のまちづくり/姫島車えび養殖/新邪馬台国/県南落語組合/ニューCOARA


Reported by 水谷美保(mipori@fat.coara.or.jp)2000.10.22
株式会社コアラ http://www.coara.or.jp/