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2011年09月20日から

プラント・オパールのホームページ

植物起源の土粒子

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プラント・オパール

プラント・オパール(”Plant Opal”あるいは”Phytolith”)は、土壌中に残された植物珪酸体(シリカボディ)の総称である。

イネ・タケ・ヨシ・ススキなど、イネ科植物中には珪質化した細胞が存在し、植物が枯死したあとも土壌中に化石として残る。これをプラント・オパールと呼ぶ。

イネ科以外でも、カヤツリグサなどの草本からカシなどの樹木まで、プラント・オパールの給源になる植物は多い。

機動細胞の形状
 イネをはじめアワ・ヒエ・キビなど主要な雑穀類を含むイネ科植物の葉身中に存在する機動細胞(Motor cell)は、その細胞壁に珪酸が沈積しやすく、植物の種類ごとに特徴的な形状をしている。
 しかしまだ機動細胞シリカボディ標本の整備はまだ不十分で、基本的な研究を蓄積する必要がある。

土壌中のプラント・オパールの検出と給源植物の推定
 また、厚い珪化細胞壁は、植物が枯死した後も分解をうけにくいため機動細胞の形状を保ったまま永く土壌中にとどまっている。そこで、土壌中に残った珪化機動細胞の化石(プラント・オパール)を超音波で水中に分散させ、沈底法によって濃縮回収して、顕微鏡下で観察することで、給源植物を推定することができる。プラントオパールは0.05mm程度と非常に小さいので、分析中での汚染をさけるため使用する器具類はできるだけ使い捨てにしている。
 プラント・オパールは土粒子よりも比重が小さく比重2.4程度の液体(重液)に浮くことを利用して濃縮する方法(重液分離法)もあるが、重液が環境を汚染するために使い捨てにできないので重液分離法は使っていない。

定量分析
 さらに、プラント・オパールが全て土壌中に残っていると仮定できる場合には、現生植物中の珪化機動細胞密度を使って土壌中のプラント・オパールの量を給原植物体重に換算することにより、過去のイネ科植生やイネ科作物の生産量を推定することもできる。このような方法をプラント・オパール定量分析法と呼び、1970年代後半から発掘があいついだ各地の生産趾遺跡の土壌の分析をおこなってきた。

水田探査
 さらに進んで、1980年からは本格的な発掘調査に先だってプラント・オパール分析を行うことにより、埋没水田土層を発掘前に予測する実験(水田探査法)が開始され、夫敷遺跡(島根県)・若江北遺跡(大阪府)・垂柳遺跡(青森県)などで成功をおさめた。その後も多くの研究が積み重ねられているが、プラント・オパール水田探査結果と本発掘で確認された水田遺構の検出結果は一致する場合が多く、プラント・オパール水田探査は事前調査法として高い評価を得ている。

イネ機動細胞プラント・オパールの形状解析
 イネにはインディカとジャポニカがあることが知られている。ジャポニカはさらに温帯ジャポニカと熱帯ジャポニカに分類できる(旧来、それぞれインディカ・ジャポニカ・ジャバニカと呼ばれていた)。機動細胞の形や大きさも微妙に異なっておりプラント・オパール分析でも統計的に処理することで違いを明らかにできる。
 古代中国の遺跡からは、形状解析の結果、温帯ジャポニカのほか熱帯ジャポニカが検出されており、わが国でも、古い時代には熱帯ジャポニカが多く新しい時代になると温帯ジャポニカが多いが熱帯ジャポニカも栽培されていたことが明らかにされている。たとえば宮崎県都城市の坂本A遺跡の形状解析の結果では、(1)縄文時代の地層では、東南アジアなどに残る原初的なイネ・熱帯ジャポニカが多い(2)弥生時代以降から中世にかけては、現在広く主食にされている温帯ジャポニカと熱帯ジャポニカが混在(3)近世以降は温帯ジャポニカが中心―であることが判明した。

樹木のプラント・オパール分析
 イスノキなどいくつかの樹木はプラント・オパールを残す。火山灰層を基準にした南九州の土壌の分析から、喜界カルデラ噴火をはさんで照葉樹林が広がっていく様相が明らかにされてきた。

後世のプラント・オパールの紛れ込み
 プラント・オパールは直径50μm程度の微粒子であるので、微小な虫穴やクラックがあっても紛れ込んで、コンタミネーション(汚染)の原因になりかねない。試掘抗壁面からの採取であっても細心の注意が要求される。しかし後世のプラント・オパールによる汚染の可能性を皆無にすることはできない。
 最近、岡山県の彦崎貝塚や朝寝鼻貝塚など、縄文前期の貝塚からイネなどのプラント・オパールが検出され話題になっている。このことについて、コンタミネーションの可能性などさなざまな疑問や意見がだされている。私は、多様な角度からのクロスチェックが望ましいと考えている。

土器胎土中のプラント・オパール分析
 一方、機動細胞プラント・オパールは形も大きく熱にも強い。短時間であれば 1,000度をこえる高熱にもたえられる。縄文式土器の焼成温度は不明だが、一般的にはこれより低い600〜800度程度と考えられいる。その温度であれば、土器の胎土にプラント・オパールが含まれていれば十分検出できる。土器は考古学の編年の基準として使われており、後世の機動細胞プラント・オパールが土器片の内部にまで入り込む可能性は否定されるので、プラント・オパールの生成年代を特定することができる。
 しかし、土器胎土に栽培植物の機動細胞プラント・オパールが入っているのは偶然と言っても良いうえ、さらに焼成した土器はもちろん土器の素材(胎土)も人為的に移動された可能性があり、作物を栽培していた場所を示さないのが弱点ともなっている。

プラント・オパールの元になるシリカボディ標本の作成
イネ科植物の機動細胞のほか、マユ状細胞、結合組織細胞、毛などもプラント・オパールの給源になります。イネ科以外では樹木のプラント・オパールも知られています。
 写真集の整備も進んでいますが、植物標本を自分で作成することを奨励します。
 電気炉があれば300℃で十分に炭化させ、最後に550℃で完全に灰化させます。生の植物の方が好結果を得る場合が多いようです。
 ルツボを直接熱する場合は、少しの隙間が開くようにフタをし、徐々に熱っして炭化します。最後に、底部がほんのり赤くなるまで熱して灰にします。
 いずれの方法で灰化した場合でも、よくできた灰化組織をプレパラートにしておくと、どの部分の細胞が残るのかがよく解ります。
 残りの灰化組織はガラス棒で突き崩し、土壌中のプラント・オパールの検出方法と同じように、超音波で単一の粒子になるまで破壊して、沈底法で回収します。
 プレパラートに入れる標本は土壌試料にくらべ、きわめて少量ですみます。
色々な方向を向いた標本を見て全体のイメージをつかむことができるでしょう。
注)私が使っている写真は、顕微鏡に微分干渉装置をつけています。背景がブルーに写っていますが、実際には無色透明です。



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